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2009年4月19日(日)
決勝
会場:オフロードヴィレッジ
天候:晴れ
気温:22℃
コースコンディション:ドライ
観客:1万6000人
全日本モトクロス選手権第3戦関東大会の舞台は、今年で全日本開催3年目となる、埼玉県のウエストポイント オフロードヴィレッジ。タイトなターンと多くのジャンプで構成され、コース幅は狭めというレイアウトを特徴とする。乾くとかなり硬い路面となり、大量のホコリも出るため、土に柔らかくて保湿効果のある木くずを混ぜることで、これに対処している。今年のコースは基本レイアウトこそ従来を踏襲するが、ビッグジャンプの数が削減された。
過去2回の全日本では、いずれも土曜日に激しい雨が降ったこのコース。しかし今年は、予選が行われた土曜日、決勝が開催された日曜日とも天候に恵まれ、春らしい暖かな日差しとさわやかな風が吹く中、レースが進行した。
▼IA1(450/250)ヒート1
ホールショットの田中教世(カワサキ)に、熱田孝高(スズキ)、新井宏彰(カワサキ)、DREAM Honda RT Fukudomeの福留善秀、溝口哲也(カワサキ)、DREAM Honda RT Masudaの増田一将、DREAM Honda RT Ogataの小方誠が続き、1周目をクリア。5周目には新井、熱田、福留、田中、溝口、増田、小方の順となった。
レース中盤、新井、熱田が集団から抜け出す一方で、3番手以降は激しい接近戦を展開。小方は若干後退したが、北居良樹(スズキ)がこれに加わったため、集団は5台のまま。硬いギャップができたコースはミスを犯しやすく、めまぐるしく順位を変えながらレースは続いた。この中で福留がまさかの転倒を喫して大きく遅れてしまった。
レース終盤、小方が再び3番手争いに追いつき、増田、北居、溝口、田中、小方の順になると、増田が北居に抜かれ、小方は田中をパス。溝口と田中は順に集団から脱落した。そして迎えたラストラップ、増田は1コーナーで北居のアウトに並ぶと、次のコーナーで3番手を奪取。最後は、増田、北居、小方が連なってゴールし、増田が3位、小方が5位を獲得した。
▼IA1(450/250)ヒート2
オープニングラップのジャンプ着地で、ここまでランキングトップの熱田を含めた3台が絡んで転倒するアクシデントが発生。この影響で小方は順位を落としたが、福留と増田はこれに巻き込まれることなく、福留がトップ、増田が2番手と、序盤から1-2態勢を築いた。2周目以降、この2名に北居と新井が続き、後続を引き離していった。
レース中盤になると、北居が集団から遅れ、残った3台の中でまずは福留と増田が激しいトップ争いを展開。そして増田がトップに浮上すると、今度は福留と新井による2番手争いとなった。そして、黄旗区間で福留が周回遅れを抜けずにいる間に差を詰めた新井が、福留をパス。その後、福留は後退した。
そしてレース終盤、増田と新井の差が縮まり、トップ争いに発展。増田は、新井を懸命にブロックしつつ走行を続けるが、阻止できずに2番手へと後退。しかし、あきらめることなく新井をマークすると、最終ラップまで果敢に攻め続けた。しかし、再逆転はならず2位となった。福留はレース終盤に2台にパスされて5位。1周目10番手から追い上げた小方は、6位に入った。
▼IA2(250/125)ヒート1
星野裕(スズキ)、勝谷武史(カワサキ)、深谷広一(HRF SEKI Racing MotoRoman & KBF-RS)の順でレースがスタート。前大会のヒート2で今季初優勝を挙げた平田優(Dream Honda RT Hirata)は、6番手で1周目をクリアした。2周目、平田は5番手に浮上。3周目には星野が後退して、勝谷、深谷、そして小島太久摩(ヤマハ)をパスした平田の順となると、深谷と平田は2番手争いを繰り広げた。
6周目、勝谷が転倒。平田は深谷を抜き、これで平田がトップに浮上。すると次周以降、平田は一気にスパートをかけ、深谷以下を引き離していった。一方の深谷は、勝谷、中村友則(カワサキ)、小島と、毎周のように順位を入れ替える激しいバトルを終盤まで続けた。結局、レースは平田が独走で優勝。深谷は最後まで健闘するも4位となった。
▼IA2(250/125)ヒート2
ヒート1では、スタートで若干出遅れて、レース序盤は思うような展開とならなかった平田が、このヒートではオープニングラップから積極的な攻めの走りを披露。するすると3台を抜いてポジションを上げ、1周目からトップに立った。そして2周目以降、早くも後続を引き離す展開。レース序盤の5周目までに、5秒以上のアドバンテージを築いた。
レース中盤、多数の周回遅れが発生し始めると、平田は堅実な走行へとスイッチ。これにより、2番手を走る勝谷との差は少し縮まったが、勝谷がレース終盤に単独転倒。結局、平田は21周を危なげなく走りきって今季3勝目。2年連続で関東大会の両ヒート制覇を達成した。なお、1周目10番手から追い上げた深谷は、このヒートでも4位に入賞した。
▼レディース
前大会で今季初優勝を果たした、SEKI Racing MotoRoman & KBF-RSの益春菜が好スタート。Honda 4ストロークマシンのCRF150のパワーにも助けられて、1コーナーを真っ先に駆け抜けると、そのまま一気に後続を引き離していった。2番手には、'07年チャンピオンの鈴木沙耶(スズキ)。しかし、地元大会とあっていつにも増して鋭い走りの益は、まったく鈴木を寄せつけず、最後は余裕のクルージングラップ。そのままゴールして、今季2勝目を挙げた。
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
1 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 21 | 32:02.985 |
2 | 9 | 熱田孝高 | スズキ | 21 | +00:15.289 |
3 | 3 | 増田一将 | Honda | 21 | +00:37.396 |
4 | 6 | 北居良樹 | スズキ | 21 | +00:37.704 |
5 | 8 | 小方誠 | Honda | 21 | +00:38.250 |
6 | 5 | 田中教世 | カワサキ | 21 | +00:41.795 |
8 | 10 | 福留善秀 | Honda | 21 | +01:23.887 |
9 | 62 | 出口隼飛 | Honda | 20 | +1Lap |
10 | 24 | 芹沢直樹 | Honda | 20 | +1Lap |
11 | 20 | 高濱龍一郎 | Honda | 20 | +1Lap |
13 | 98 | 松本耕太 | Honda | 20 | +1Lap |
14 | 13 | 辻健二郎 | Honda | 20 | +1Lap |
16 | 26 | 片倉久斗 | Honda | 20 | +1Lap |
17 | 03 | 筒井卓也 | Honda | 20 | +1Lap |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
1 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 21 | 31:50.059 |
2 | 3 | 増田一将 | Honda | 21 | +00:02.136 |
3 | 6 | 北居良樹 | スズキ | 21 | +00:43.225 |
4 | 5 | 田中教世 | カワサキ | 21 | +00:48.478 |
5 | 10 | 福留善秀 | Honda | 21 | +01:02.331 |
6 | 8 | 小方誠 | Honda | 21 | +01:05.783 |
7 | 13 | 辻健二郎 | Honda | 20 | +1Lap |
8 | 62 | 出口隼飛 | Honda | 20 | +1Lap |
9 | 98 | 松本耕太 | Honda | 20 | +1Lap |
11 | 24 | 芹沢直樹 | Honda | 20 | +1Lap |
13 | 03 | 筒井卓也 | Honda | 20 | +1Lap |
RT | 26 | 片倉久斗 | Honda | 14 | +7Laps |
RT | 20 | 高濱龍一郎 | Honda | 11 | DNF |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
1 | 36 | 平田優 | Honda | 21 | 32:21.628 |
2 | 411 | 中村友則 | カワサキ | 21 | +00:07.712 |
3 | 1 | 勝谷武史 | カワサキ | 21 | +00:11.101 |
4 | 39 | 深谷広一 | Honda | 21 | +00:13.313 |
5 | 935 | 小島太久摩 | ヤマハ | 21 | +00:14.730 |
6 | 40 | 井上眞一 | カワサキ | 21 | +00:50.630 |
11 | 62 | 出口隼飛 | Honda | 21 | +01:10.275 |
13 | 64 | 杉山和起 | Honda | 21 | +01:25.700 |
14 | 67 | 黒澤良太 | Honda | 21 | +01:26.640 |
20 | 70 | 冨田健二 | Honda | 20 | +1Lap |
25 | 91 | 松下光 | Honda | 19 | +2Laps |
RT | 69 | 芹沢翔悟 | Honda | 12 | DNF |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
1 | 36 | 平田優 | Honda | 21 | 32:16.934 |
2 | 1 | 勝谷武史 | カワサキ | 21 | +00:03.663 |
3 | 411 | 中村友則 | カワサキ | 21 | +00:34.791 |
4 | 39 | 深谷広一 | Honda | 21 | +00:50.747 |
5 | 935 | 小島太久摩 | ヤマハ | 21 | +00:54.372 |
6 | 41 | 星野裕 | スズキ | 21 | +00:55.619 |
11 | 64 | 杉山和起 | Honda | 21 | +01:21.957 |
14 | 62 | 出口隼飛 | Honda | 21 | +01:27.843 |
20 | 67 | 黒澤良太 | Honda | 20 | +1Lap |
22 | 69 | 芹沢翔悟 | Honda | 20 | +1Lap |
26 | 91 | 松下光 | Honda | 19 | +2Laps |
27 | 70 | 冨田健二 | Honda | 19 | +2Laps |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
1 | 熱田孝高 | スズキ | 117 |
2 | 増田一将 | Honda | 116 |
3 | 新井宏彰 | カワサキ | 114 |
4 | 北居良樹 | スズキ | 104 |
5 | 小方誠 | Honda | 90 |
6 | 田中教世 | カワサキ | 90 |
8 | 福留善秀 | Honda | 84 |
9 | 辻健二郎 | Honda | 63 |
11 | 高濱龍一郎 | Honda | 50 |
12 | 芹沢直樹 | Honda | 44 |
15 | 筒井卓也 | Honda | 34 |
16 | 出口隼飛 | Honda | 25 |
18 | 片倉久斗 | Honda | 22 |
19 | 鈴木友也 | Honda | 20 |
20 | 松本耕太 | Honda | 20 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
1 | 平田優 | Honda | 127 |
2 | 中村友則 | カワサキ | 119 |
3 | 深谷広一 | Honda | 112 |
4 | 勝谷武史 | カワサキ | 107 |
5 | 小島太久摩 | ヤマハ | 99 |
6 | 伊藤正憲 | ヤマハ | 78 |
13 | 出口隼飛 | Honda | 40 |
16 | 黒澤良太 | Honda | 27 |
17 | 星野優位 | Honda | 25 |
18 | 杉山和起 | Honda | 23 |
22 | 冨田健二 | Honda | 11 |
25 | 富田俊樹 | Honda | 9 |
コメント
増田一将(IA1・3位/2位)
「ヒート1はスタートがあまり決まらず、それでもなんとか追い上げたのですが、溝口選手をパスするのに時間を使ってしまい、その間に前2台が逃げてしまいました。ヒート2は、スタートもよく、序盤は福留選手の後ろにつけて、ポイントを探っていました。ずば抜けて何秒もタイム差が出るようなコースではないので、パッシングも難しいのですが、うまく前に出ることができました。新井選手に追いつかれてからは、ラインを定められないようにと走っていたのですが、ちょっとしたミスがあったときにインに入られてしまいました。その後もぴったりと後ろにつけ、逆転を狙うシーンもあったのですが、アンラッキーなことに周回遅れに阻まれて失敗しました。ただ、ポイントを取りこぼしたわけではないし、両ヒート表彰台ですから、あまり得意なコースではないわりには、いい成績だったと思います」
小方誠(IA1・5位/6位)
「ヒート1は、レース中盤まではライン取りが悪くてペースが上がらなかったのですが、途中からよくなり、追い上げることができました。最終ラップには3番手争いに加われたのですが、抜くには時間が足りませんでした。ヒート2は、スタートはそれほど悪くなかったのですが、前でクラッシュがあって、避けるために停止。さらにその前でも転倒者が出たので避けている間に、前との差がだいぶん開いてしまいました。もう少し追い上げが早ければ、最後は福留選手と勝負できたはずなので、むしろそちらが悔やまれます。今回は、地元大会だったので少し残念な成績でした。それでも、前大会のときと比べれば手のケガもかなりよくなってきていますし、1カ月弱のインターバルで身体を万全な状態に治せれば、次の中国大会ではもっと前を走れる、という手応えがつかめたレースでした」
福留善秀(IA1・8位/5位)
「ヒート1は、いい位置でレースができていたのに、周回遅れをパスしようとラインを変えた時に、自分のミスで転んでしまいました。ヒート2は、スタートで前に出たので、とにかく最初から全開でいこうと、飛ばし続けました。実際には転ぶ寸前という感じでしたが、レース中盤まではトップを走ることができました。しかし、その後はさすがにペースが落ち、さらに北居選手と接触してしまい、転倒しました。現状は、一発のタイムはマシンを押さえ込めば出る状態ですが、そのスピードを30分+1周の間は持続させづらい状況です。もう少し、自分の好みにマシンのセッティングを煮詰める必要があると思います。とはいえ、このレースウイークだけでも、バイクの状態はかなり僕の好みに近づいてきました。最後までトップを走り続けられる日は、もうすぐ来ると思います。応援よろしくお願いします」
平田優(IA2・優勝/優勝)
「Hondaのホームコースなので、どうしても勝ちたいと思いレースに臨みました。完ぺきなレースだったと思います。ヒート1は、序盤のペースが上がらなくて、苦しいなあとは思っていたのですが、深谷選手をなんとか抜いて、勝谷選手が転倒したことでトップに立ったら、一気にペースが上がったので、自分の展開だと思いました。流れが自分にあったレースだったと思います。ヒート2は、自分でもびっくりでした。スタートは、1コーナーの段階ではそんなによくなくて、自分の前には今シーズンの有力なライバルになるであろう3台がいました。ところが、なんだかあっさりとパスできてしまいました。これで、気持ち的には少し楽になりました。今回の優勝は、協力してくれた大勢のみなさんのおかげです。しっかり調整して、次戦以降もがんばります」
益春菜(レディース・優勝)
「ほぼ完ぺきなレースだったと思います。スタートもうまく決まり、すぐに後続を引き離すこともできました。唯一、だいぶん差が開いたことで、逆にレース終盤は走りが堅くなってしまったのが、反省点だと思います。次は、もっと後続を引き離したままゴールしたいと思います。今回は地元の大会ということで、応援してくださる方々が大勢いらっしゃいました。おかげで本当に気持ちよく走ることができました。ありがとうございました」