全4ヒートで、Hondaライダーが表彰台に登壇!

2009年4月5日(日)
決勝
会場:名阪スポーツランド
天候:曇りのち晴れ
気温:12℃
コースコンディション:ウエット/ドライ
観客:1万4196人

全日本モトクロス選手権第2戦の予選が行われた土曜日は、朝から天候がぐずつき気味で、昼ごろになって大粒の雨が降りだした。しかし、この雨は夜になって止み、日曜日になると天候は徐々に回復した。

サンド質の名阪スポーツランドは、この大会前に一部レイアウトが変更され、大幅に速度が落ちる場所がほとんどない、これまで以上にハイスピードなコースへと生まれ変わった。水はけがいい土質ではあるが、前日の雨量が多かったため、決勝日の午前中は路面がかなり軟らかい状態。午後にはベストコンディションとなったが、各所に深いわだちが発生したり、地盤が露出したりと、難易度が高いコースでのレースとなった。

▼IA1(450/250)ヒート1
DREAM Honda RT Masudaの増田一将、DREAM Honda RT Ogataの小方誠、DREAM Honda RT Fukudomeの福留善秀は、いずれも好スタートを決め、増田が2番手、小方が4番手、福留が5番手で1周目をクリア。2周目には、増田が熱田孝高(スズキ)とトップ争いを展開する一方で、福留と小方が順位を入れ替えた。

3周目、3番手を走っていた釘村太一(ヤマハ)の転倒により、福留は3番手に浮上。しかし小方は、この周に成田亮(ヤマハ)に抜かれたため5番手のままで、さらに次周には北居良樹(スズキ)にパスされて、6番手に後退した。5周目、成田のミスで上位陣は熱田、増田、福留、北居、小方、成田の順となった。

レース中盤、小方は集団から脱落。増田はペースが上がらず、終盤には福留、北居、成田に追いつかれて、4台による激しい2番手争いが展開された。そしてラスト2周となった18周目、福留が増田をパスして2番手に浮上。一方の増田は、最終ラップにも1台に抜かれて後退。最終的には福留が2位、増田が4位となった。なお小方は7位でゴールした。

▼IA1(450/250)ヒート2
増田が好スタートを決めたが、1コーナーでアウトから迫ってきた熱田をブロックする間に成田らの先行を許し、1周目を3番手でクリア。また福留は同7番手、転倒を喫した小方は同17番手からの追い上げレースとなった。3周目、増田は田中教世(カワサキ)を抜いて2番手に浮上。トップの成田を追った。

レース中盤まで、増田は成田をしっかりマーク。一方、一時は5番手にポジションアップした福留は、10周目には熱田に抜かれて6番手へと後退したが、13周目に2台をパスして4番手に浮上した。レース終盤になると、成田と増田の差は若干ながら拡大。優勝を狙っていた増田だったが、逆に追い上げてきた熱田に迫られてしまった。

しかし、ラストラップで増田が意地をみせ、最後まで逆転を許すことなくゴール。2位表彰台に上がった。福留は、新井宏彰(カワサキ)の追撃を振り切って4位でフィニッシュ。小方は、負傷の影響でペースが上がらない苦しい状況ながら20周を走りきり、9位まで順位を上げてチェッカーを受けた。

▼IA2(250/125)ヒート1
勝谷武史(カワサキ)、池谷優太(スズキ)、小島太久摩(ヤマハ)の順で1周目をクリア。今季初優勝を狙ったDREAM Honda RT Hirataの平田優は、同6番手から追い上げを図った。2周目、平田は直前を走っていたライダーの脱落により、難なく5番手に浮上。さらに3周目には、田中雅己(ヤマハ)を抜いて4番手に順位を上げた。

その後、平田は前を走る小島との差を徐々に詰め、レース中盤に小島をパス。しかし小島が追いすがり、2台は接近戦を続けながら、レース終盤には池谷の背後へと迫った。そして最後の数ラップには、3台による2番手争いが展開された。しかし2番手集団に順位変動はなく、勝谷、池谷、平田、小島の順でチェッカー。平田は3位表彰台に上がった。

▼IA2(250/125)ヒート2
オープニングラップを終えた段階で、平田、勝谷、尾崎友哉(ヤマハ)、深谷広一(HRF SEKI Racing MotoRoman & KBF-RS)のオーダーでスタートしたヒート2。その2周目、勝谷の転倒もあって深谷は2番手にポジションアップ。平田を追った。しかし平田は、序盤からハイペースで走行し、後続との差を拡大。レース中盤までに大きなアドバンテージを築き上げた。

9周目、深谷は中村友則(カワサキ)に抜かれて3番手に後退。その後は単独走行となった。レース終盤、ペースの落ちた平田に、じりじりと追い上げてきた中村が接近。ラストラップには、ついに背後に迫られた。しかし平田は僅差で逃げきり、昨年第7戦以来、今季初となる勝利を挙げた。また、深谷も最後まで順位をキープして、3位入賞を果たした。

▼レディース
Honda DREAM RT 垂水の山本泉と、SEKI Racing MotoRoman & KBF-RSの益春菜が好スタートを決め、Honda勢がオープニングラップから1-2態勢を形成。山本と益は接近戦を演じつつ、後続を大きく引き離していった。4周目に、昨年度王者の益が山本をパス。その後は勢いをキープして、山本との差を広げていった。レースは9周でチェッカー。危なげなく走りきった益が今季初優勝。山本が2位表彰台に上がった。

コメント

増田一将(IA1・4位/2位)

「ヒート1の序盤はペースがよく、熱田選手の走りを分析する余裕もありました。ところが、勝負をかけるはずだった中盤以降、周回遅れなどの影響で、自分のリズムを崩してしまい、変に力が入ってしまったようで、急激にペースが悪くなってしまいました。勝負どころを間違えたというか、とにかくもったいないレースでした。そこでヒート2は、序盤からハイペースで走るようにしました。ただ、成田選手は先行逃げきりタイプのライダーとあって、なかなか差を詰められず、つかず離れずの我慢比べとなってしまいました。そこに追い上げタイプの熱田選手が迫ってきて、最後は苦しい展開でしたが、ヒート1ではラスト2周で2台も抜かれてしまっていたので、さすがに踏ん張りました。スピードが劣っているわけではないし、課題も明確。ここ数年の中では、シーズン序盤からの成績もいいので、残り8戦、焦らずに戦っていきます」

福留善秀(IA1・2位/4位)

「ヒート1は、スタートそのものはよかったのですが、1コーナーでうまく前に出られなくて、追い上げのレースとなりました。中盤以降はペースもよく、2番手までは上がれましたが、トップには届きませんでした。あと1周あれば、せめてトップの背後には迫れたと思うので、その1周分を序盤に作っておくことが、今後の課題となりそうです。ヒート2は、マシンの合わせ込みがまだ完ぺきでない点が影響してしまいました。ヒート1のようにルーズなコンディションだとごまかせるのですが、ヒート2はシビアでした。もっと乗り込んで、自分好みにセッティングしていく必要があると感じました。09年型のマシンは大きく変わっているので、データ取りにもう少し時間が必要かもしれません。ただ、そんな状態でもスピードで劣っているわけではないし、レース展開をきっちり組み立てれば、チャンスはあると思うので、まずは1勝を狙ってがんばります」

小方誠(IA1・7位/9位)

「ヒート1は、スタートで出られたのですが、その後はペースが上げられず、後退してしまいました。ヒート2は、スタートはまずまずだったのですが、最初から攻めていこうと思ったら、ミスして転んでしまいました。その後は、あまり追い上げもできませんでした。実はこの大会の直前に手をケガをしてしまい、痛み止めを飲みながらの参戦でした。開幕戦の成績がよかっただけに、この成績はとても残念ですが仕方ありません。次の関東大会までの期間は、まずはとにかくケガを治すことに専念したいと思います。そんなにひどいケガではないので、完治とはいかないまでも、何とかそれに近いコンディションまで近づけたいと考えています。地元が関東ということもあるので、少しでもいい走りと成績が残せるようにがんばります」

平田優(IA2・3位/優勝)

「やっと勝てました。昨年の第7戦以来、ケガをして以降初めての優勝なのでうれしいです。ヒート1は、スタートも出られなかったし、あまり好きなコンディションではなかったこともあって、動きが硬かったと思います。ただ、抜きどころがない状況で、それでも3位には上がれたので納得はしています。ヒート2は、自分らしい先行逃げきりの展開に持ち込めました。序盤にかなり飛ばしたので、中村選手に追いつかれて最後はかなり苦しかったのですが、耐えることができました。これで波に乗れると思います。プライベーターになってもこれまでと変わらず応援やサポートをしてくれている、たくさんの人たちのおかげで勝つことができました。本当にありがとうございました!」

深谷広一(IA2・9位/3位)

「ヒート1は、スタート直後のマルチクラッシュに巻き込まれて、大きく出遅れました。前日の雨の影響で、このヒートはラインが1本しかなく、あまり追い上げることができませんでした。ヒート2はコースも整備され、スタートもまずまずだったので、いけるところまでいこうと思いました。ただ、最初は平田選手についていけたのですが、徐々に引き離されて、逆に中村選手に抜かれてしまいました。とはいえ、次の大会に向けて課題が明確になったので、それはそれでよかったのかもしれません。あまり好きではないコースで、3位とはいえ表彰台にも上がれましたし。次の第3戦関東大会は、平田選手が速いコースなので、何とかして勝てるように僕もがんばります」

益春菜(レディース・優勝)

「前回の九州大会では、情けない走りをしてしまい、表彰台に上がることすらできませんでした。今回は、うまく走れないセクションもありましたが、優勝できたのでうれしいです。シーズンオフにアメリカへ練習に連れて行ってもらい、向こうでレースをしたい気持ちが高まってきました。今年は速さをみがくため、全日本ではIBクラスにも挑戦しています。もちろんレディースでは、タイトル防衛を目指してがんばります。応援よろしくお願いします!」

決勝リザルト

IA1 : ヒート1

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
19熱田孝高スズキ1932:26.521
210福留善秀Honda19+00:03.442
36北居良樹スズキ19+00:04.811
43増田一将Honda19+00:05.362
51成田亮ヤマハ19+00:06.092
6331新井宏彰カワサキ19+00:41.615
78小方誠Honda19+01:16.682
920高濱龍一郎Honda18+1Lap
1013辻健二郎Honda18+1Lap
1403筒井卓也Honda17+2Laps
RT26片倉久斗Honda4DNF

IA1 : ヒート2

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
11成田亮ヤマハ2033:20.039
23増田一将Honda20+00:01.971
39熱田孝高スズキ20+00:02.664
410福留善秀Honda20+00:29.556
5331新井宏彰カワサキ20+00:33.666
65田中教世カワサキ20+00:43.797
98小方誠Honda20+01:19.976
1013辻健二郎Honda20+01:26.654
1320高濱龍一郎Honda19+1Lap
1526片倉久斗Honda19+1Lap
1803筒井卓也Honda18+2Laps

IA2 : ヒート1

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
11勝谷武史カワサキ1933:07.873
255池谷優太スズキ19+00:12.939
336平田優Honda19+00:13.894
4935小島太久摩ヤマハ19+00:16.133
5411中村友則カワサキ19+00:42.708
648伊藤正憲ヤマハ19+01:07.024
939深谷広一Honda19+01:22.000
1267黒澤良太Honda19+01:46.589
1370冨田健二Honda19+01:48.199
1962出口隼飛Honda18+1Lap
2247富田俊樹Honda18+1Lap
2789鈴木拓也Honda17+2Laps

IA2 : ヒート2

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
136平田優Honda1931:50.635
2411中村友則カワサキ19+00:00.505
339深谷広一Honda19+00:31.350
448伊藤正憲ヤマハ19+00:47.018
556尾崎友哉ヤマハ19+00:48.600
6935小島太久摩ヤマハ19+00:50.049
1247富田俊樹Honda19+01:35.749
1562出口隼飛Honda19+01:39.383
1867黒澤良太Honda18+1Lap
2070冨田健二Honda18+1Lap
2889鈴木拓也Honda15+4Laps

ポイントスタンディング

IA1

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 熱田孝高 スズキ 95
2 成田亮 ヤマハ 85
3 増田一将 Honda 74
4 北居良樹 スズキ 66
5 新井宏彰 カワサキ 64
6 小方誠 Honda 59
8 福留善秀 Honda 55
9 辻健二郎 Honda 42
10 高濱龍一郎 Honda 40
13 芹沢直樹 Honda 23
15 筒井卓也 Honda 22
16 鈴木友也 Honda 20
18 片倉久斗 Honda 17

IA2

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 中村友則 カワサキ 77
2 平田優 Honda 77
3 深谷広一 Honda 76
4 小島太久摩 ヤマハ 67
5 勝谷武史 カワサキ 65
6 伊藤正憲 ヤマハ 58
15 星野優位 Honda 25
16 出口隼飛 Honda 23
18 黒澤良太 Honda 19
21 冨田健二 Honda 10
23 富田俊樹 Honda 9
25 杉山和起 Honda 5