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2009年の全日本モトクロス選手権シリーズは、昨年より3週間ほど早く、01年の島原以来となる九州での開幕を迎えた。会場に選ばれたのは、開幕戦初開催となるHSR九州。阿蘇のふもと、二輪車の生産などを行う熊本製作所敷地内にあるコースだ。全日本開催20回記念となる今回のレース、新たに大量の土が搬入されるなど、事前に入念な整備が行われた。
大会前日は天候が大きく崩れ、予選が行われた土曜日のコースは、ひどいマディコンディション。このため予選は大幅にショートカットされたコースで行われた。しかし、日曜日になると完全に天候が回復し、懸命な整備のおかげもあって、コースはベストな状態となった。
Hondaは今季の全日本モトクロス選手権において、(株)ホンダモーターサイクルジャパンが、(株)ホンダ・レーシングや(株)本田技術研究所二輪開発センターと協力しながら、多くのライダーやチームの参戦をサポート。IAクラスのダブルタイトル獲得を目指す。
▼IA1(450/250)ヒート1
好スタートを決めたDREAM Honda RT Masudaの増田一将が、1周目を3番手でクリア。さらにDREAM Honda RT Fukudomeの福留善秀は5番手、DREAM Honda RT Ogataの小方誠が9番手に着けた。2周目、ハイペースで走る福留は、増田を含む2台をパス。さらに3周目にも2台をパスし、トップに立った。
ところが5周目、福留のマシンにトラブルが発生し、そのままリタイアとなってしまった。これにより増田は、3番手に順位を回復。しかし、2周目に8番手、3周目に5番手まで順位を上げた小方に迫られると、7周目には3番手の座を小方に明け渡した。増田はその後もペースが上がらず、9周目には北居良樹(スズキ)にも抜かれてしまう。
しかし、粘りの走りを続けた増田は、ラスト5周となった14周目に北居をパスし、再び4番手に浮上。ところが2周後にエンジンをストールさせてしまい、最終的には7位となった。一方、小方は7周目以降も安定した走りを披露。3番手をキープし続けてゴールし、IA1初の表彰台登壇を果たした。
▼IA1(450/250)ヒート2
成田亮(ヤマハ)を、TEAM HAMMERホンダ学園の高濱龍一郎、福留、増田が追う展開でレースがスタート。ヒート1で3位に入賞した小方は、スタート直後に転倒して24番手から追い上げる苦しい展開となった。増田は、2周目に福留をパス。3周目には、高濱が8番手まで後退したため、2番手に浮上した。
しかし、7周目に増田は熱田孝高(スズキ)に抜かれて3番手に後退。これ以降、成田と熱田を少し離れてマークする周回が続いた。福留は、レース中盤に激しい4番手争いを展開するが、後続車にパスされ、12周目には6番手に後退してしまった。
レース終盤、増田はトップの2台との差を少しずつ削るが、逆転にはなおも苦しい状況。福留は6番手をキープ。9周目に10番手まで順位を上げてきた小方は、さらに2台をパスして、8番手で走行を続けた。そして3名ともがそのままの順位でゴール。増田は3位表彰台に上がり、両ヒート総合成績でも3位を獲得した。
▼IA2(250/125)ヒート1
Honda勢は、SEKI Racing MotoRoman & KBF-RSの深谷広一が6番手、DREAM Honda RT Hirataの平田優が7番手で、1周目をクリア。深谷は3周目に5番手、4周目には4番手に浮上。平田も4周目と5周目に1台ずつをパスする。5周目には、勝谷武史(カワサキ)、中村友則(カワサキ)、深谷、小島太久摩(ヤマハ)、平田の順となった。
そして10周目、平田は小島のパッシングを試みた。ところがこの際に、両車が接触してともに転倒。平田は、大きく遅れて9番手での再スタートとなってしまった。これにより、3番手の深谷は、2番手と4番手に約10秒差ずつの単独走行となった。12周目、トップを走っていた勝谷が転倒し、深谷は2番手に浮上。レースは18周でチェッカーとなり、深谷は2位入賞を果たした。
▼IA2(250/125)ヒート2
深谷がスタート直後からアグレッシブな走りを見せ、1周目に2番手へと浮上。平田は1周目を7番手でクリアした。2周目、深谷は勝谷をパスしてトップに浮上する。さらに、この2台に小島が追いつき、レース序盤からトップ3台が後続を引き離す展開となった。6番手に浮上した平田は、すぐさま4番手争いに加わり、着実なポジションアップを続けていった。
レース中盤、深谷のマシンにトラブルが発生。この影響で深谷は小島にパスされると、勝谷にも迫られた。しかし13周目に勝谷が転倒し、深谷は2番手をキープ。また、9周目に4番手まで浮上していた平田は3番手に繰り上がった。そしてレースは、18周でチェッカー。深谷が2位、平田が3位に入賞し、これにより深谷がクラス初となる大会総合成績トップに輝いた。
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
1 | 9 | 熱田孝高 | スズキ | 18 | 32:15.666 |
2 | 1 | 成田亮 | ヤマハ | 18 | +00:03.240 |
3 | 8 | 小方誠 | Honda | 18 | +00:40.738 |
4 | 6 | 北居良樹 | スズキ | 18 | +00:53.047 |
5 | 5 | 田中教世 | カワサキ | 18 | +01:00.809 |
6 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 18 | +01:07.557 |
7 | 3 | 増田一将 | Honda | 18 | +01:31.040 |
9 | 24 | 芹沢直樹 | Honda | 17 | +1Lap |
10 | 13 | 辻健二郎 | Honda | 17 | +1Lap |
11 | 20 | 高濱龍一郎 | Honda | 17 | +1Lap |
13 | 18 | 鈴木友也 | Honda | 17 | +1Lap |
15 | 03 | 筒井卓也 | Honda | 16 | +2Laps |
17 | 26 | 片倉久斗 | Honda | 16 | +2Laps |
RT | 10 | 福留善秀 | Honda | 4 | DNF |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
1 | 9 | 熱田孝高 | スズキ | 18 | 31:49.981 |
2 | 1 | 成田亮 | ヤマハ | 18 | +00:01.515 |
3 | 3 | 増田一将 | Honda | 18 | +00:13.224 |
4 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 18 | +00:20.133 |
5 | 5 | 田中教世 | カワサキ | 18 | +00:27.846 |
6 | 10 | 福留善秀 | Honda | 18 | +01:01.192 |
8 | 8 | 小方誠 | Honda | 18 | +01:19.911 |
9 | 18 | 鈴木友也 | Honda | 18 | +01:47.880 |
10 | 24 | 芹沢直樹 | Honda | 17 | +1Lap |
11 | 20 | 高濱龍一郎 | Honda | 17 | +1Lap |
12 | 13 | 辻健二郎 | Honda | 17 | +1Lap |
14 | 26 | 片倉久斗 | Honda | 17 | +1Lap |
15 | 03 | 筒井卓也 | Honda | 16 | +2Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
1 | 411 | 中村友則 | カワサキ | 18 | 32:59.227 |
2 | 39 | 深谷広一 | Honda | 18 | +00:25.614 |
3 | 53 | 島崎大祐 | スズキ | 18 | +00:47.390 |
4 | 41 | 星野裕 | スズキ | 18 | +00:48.514 |
5 | 40 | 井上眞一 | カワサキ | 18 | +00:56.993 |
6 | 1 | 勝谷武史 | カワサキ | 18 | +01:00.862 |
8 | 42 | 星野優位 | Honda | 18 | +01:09.351 |
9 | 36 | 平田優 | Honda | 18 | +01:16.095 |
13 | 62 | 出口隼飛 | Honda | 17 | +1Lap |
16 | 64 | 杉山和起 | Honda | 17 | +1Lap |
19 | 67 | 黒澤良太 | Honda | 17 | +1Lap |
22 | 70 | 冨田健二 | Honda | 17 | +1Lap |
26 | 89 | 鈴木拓也 | Honda | 17 | +1Lap |
30 | 91 | 松下光 | Honda | 16 | +2Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
1 | 935 | 小島太久摩 | ヤマハ | 18 | 32:23.231 |
2 | 39 | 深谷広一 | Honda | 18 | +00:10.693 |
3 | 36 | 平田優 | Honda | 18 | +00:19.254 |
4 | 48 | 伊藤正憲 | ヤマハ | 18 | +00:25.165 |
5 | 49 | 三原拓也 | カワサキ | 18 | +00:27.619 |
6 | 40 | 井上眞一 | カワサキ | 18 | +00:30.657 |
9 | 42 | 星野優位 | Honda | 18 | +00:40.200 |
14 | 62 | 出口隼飛 | Honda | 18 | +01:37.890 |
16 | 67 | 黒澤良太 | Honda | 18 | +01:50.575 |
20 | 70 | 冨田健二 | Honda | 17 | +1Lap |
25 | 89 | 鈴木拓也 | Honda | 17 | +1Lap |
26 | 91 | 松下光 | Honda | 17 | +1Lap |
RT | 64 | 杉山和起 | Honda | 12 | DNF |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
1 | 熱田孝高 | スズキ | 50 |
2 | 成田亮 | ヤマハ | 44 |
3 | 増田一将 | Honda | 34 |
4 | 新井宏彰 | カワサキ | 33 |
5 | 小方誠 | Honda | 33 |
6 | 北居良樹 | スズキ | 32 |
8 | 芹沢直樹 | Honda | 23 |
9 | 鈴木友也 | Honda | 20 |
10 | 辻健二郎 | Honda | 20 |
11 | 高濱龍一郎 | Honda | 20 |
12 | 福留善秀 | Honda | 15 |
14 | 筒井卓也 | Honda | 12 |
15 | 片倉久斗 | Honda | 11 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
1 | 深谷広一 | Honda | 44 |
2 | 中村友則 | カワサキ | 39 |
3 | 小島太久摩 | ヤマハ | 34 |
4 | 平田優 | Honda | 32 |
5 | 井上眞一 | カワサキ | 31 |
6 | 須田純 | カワサキ | 27 |
7 | 星野優位 | Honda | 25 |
15 | 出口隼飛 | Honda | 15 |
16 | 黒澤良太 | Honda | 7 |
20 | 杉山和起 | Honda | 5 |
22 | 冨田健二 | Honda | 1 |
コメント
増田一将(IA1・7位/3位)
「ヒート1は、小方選手に抜かれたあたりから、今まで経験したことがないほどに腕上がりの症状が出てしまいました。それでもなんとか堪えて、終盤に4番手まで上がったのですが、腕がパンパンでクラッチがうまくつなげなくて、エンジンをストールさせてしまいました。ちょっと力が入り過ぎていたと思います。ヒート2もスタートは決まって、いい位置を確保できたので、後半が勝負だと思って周回を続けました。そして、実際にレース後半には、成田選手や熱田選手との差をじりじりと詰めた周回もあったのですが、相手のミスなしでは極端に差がつまることがないコース状況ということもあり、逆転することはできませんでした。参戦体制が変わり、大変な部分もありますが、開幕したからにはやるだけです」
小方誠(IA1・3位/8位)
「IA1に参戦を始めてから、自分でも年数を忘れてしまうくらい時間がかかってしまいましたが、ようやくIA1の表彰台に立つことができました。今季は参戦体制が大きく変わりましたが、同時にシーズンオフの間に生活環境も大きく変えました。具体的には、これまでの一人暮らしから実家生活に戻しました。炊事や洗濯などの家事を両親に助けてもらうことで、より多くの時間をトレーニングや練習に使えるようになり、感謝しています。シーズンオフのテストでは、サポートしてくださる皆さんのおかげで、バイクがかなり自分好みに仕上がりました。増田選手など、Hondaの速い先輩ライダーと一緒に走れる機会も多く、とても勉強になっています。今季は、ランキングは最低でも昨年以上が目標。レースでは、初優勝を目指してがんばります」
福留善秀(IA1・DNF/6位)
「ヒート1は、エンジンにトラブルが出てしまいました。レースインターバルで載せ換えたのですが、完ぺきな状態ではなく、ヒート2も苦戦しました。開幕前の準備不足が原因だと思っています。昨年とは参戦体制がまるで違い、さまざまな要因により、準備に充てられる期間が短か過ぎました。トラブルが出ることを想定した対応が、十分ではありませんでした。ただ、自分のスピードについてはヒート1の序盤で確認でき、自信にもなりました。結果は結果、これを受け止めて、足りなかった部分を補って、残り9大会でがんばります。今季は、取りこぼしなくポイントを集めてのタイトル獲得を狙っていましたが、初戦でいきなり予定が狂いました。次戦以降、全開で攻めて、逆転を狙います」
深谷広一(IA2・2位/2位)
「地元の九州大会で、しかも以前に優勝したことのあるコースなので、両ヒートとも2位という結果には悔しさが残ります。でも、両ヒート総合成績では初めてのトップなので、うれしい気持ちも少しあります。今回は、練習からずっと冷静に走れていました。ヒート2は、トップを走っていてラスト10分でマシントラブルが発生したのですが、あせることなく対処できたと思います。少しセーブして走れたことが、2位という成績につながったと思います。初めて自分の地元コースでシーズンが開幕して、いい流れでスタートを切ることができました。これを弾みに第2戦以降もがんばっていきたいと思います。とは言っても、まだ9戦もあるので、大きくポイントを落とすことがないように心がけながら、じっくりと戦っていきたいと思います」
平田優(IA2・9位/3位)
「ヒート1は、左コーナーで小島選手のインを突いたのですが、接触して転倒してしまいました。勝負をかけた上でのレースアクシデントなので、仕方ない部分もあるかとは思います。ヒート2は、序盤のペースがあまり上がりませんでした。この成績では、言えることがあまりないのですが、シーズンはまだ18ヒートもありますし、ここは全日本レギュラーコースの中で唯一勝ってない苦手な場所です。開幕戦では好成績を残せず悔しい思いをしましたが、最終的にはいい結果につなげていこうと思います。 昨年はケガでシリーズタイトル獲得をふいにしてしまったので、今年はまず、大きなケガをしないように注意したいです。今年こそチャンピオンになれるよう、がんばります」