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リザルト ポイント
第10戦 スポーツランドSUGO 第10戦 スポーツランドSUGOview

昨年に引き続きスポット参戦した
アンドリュー・ショートがIA1完全制覇!

2008年10月26日(日)
決勝
会場:宮城県・スポーツランドSUGO
天候:曇り
気温:18℃
コースコンディション:ドライ
観客:9700人

今季も年間10戦で競われた全日本モトクロス選手権シリーズ。その最終戦がスポーツランドSUGOで開催された。10月下旬ながら、大会が行われた週末の日中は気温が20℃前後まで上昇。土曜日は好天、日曜日は曇り空が続いたものの降雨からは免れた。

粘土質の路面は、金曜日の大雨により大量の水を含み、深いワダチやギャップが発生する難しい状況だったものの、天候の回復と入念なメンテナンス作業により、日曜日の決勝レースはベストなコンディションとなった。

この今季最終戦にも、HondaファクトリーチームのTEAM HRCからは、増田一将と熱田孝高がIA1に、逆転でのシリーズタイトル獲得を狙う平田優がIA2にエントリーした。また、アメリカのHonda Red Bull Racingに所属するアンドリュー・ショートがIA1に参戦。ショートは、AMAスーパークロス選手権とモトクロス選手権に出場し、2008年シーズンは両トップクラスで年間ランキング3位に輝いている。また、昨年の全日本最終戦IA1にも出場し、両ヒートを制覇している。

▼IA1(450/250)ヒート1
ホールショットの成田亮(ヤマハ)を、ショート、スポット参戦のセバスチャン・プーセル(カワサキ)、小島庸平(スズキ)が追う展開でレースがスタート。さらにその後方には、増田と熱田が続いた。1周目からトップ3台は激しいバトルを繰り広げ、いったんはプーセルがトップに立つが、再び成田、ショート、プーセルの順となった。

2周目、ショートが成田をパスしてトップに浮上。この周に最速ラップタイムを叩き出したショートは、一気に後続を引き離していった。また熱田は、増田と順位を入れ替えて5番手にアップ。レース中盤、増田はポジションを落とすが、熱田は単独走行の5番手をキープ。ショートはトップ独走を続けた。

レース後半になると、一時はペースを落としていたプーセルが、徐々にショートとの差を縮め、残り2周の段階でついに超接近戦となった。しかしここはショートが意地を見せ、最後はプーセルを再び引き離して逃げきり、優勝を飾った。熱田は、最後まで単独の走行を続け5位入賞。増田は9位でゴールした。

▼IA1(450/250)ヒート2
ショートはホールショットを奪うと、1周目だけで後続を2秒以上も引き離す、圧倒的なスピードを披露。3周目には、このヒートのファステストラップを叩き出し、4周目までに2番手のプーセルから7秒以上のアドバンテージを得た。そして5周目以降は、少しペースを落として周回を重ねた。

一方、熱田は1周目7番手から2周目に5番手へ浮上し、レース中盤までそのポジションをキープ。増田は1周目を8番手でクリアするも2周目に転倒を喫し、14番手まで順位を落とした。そして9周目にプーセルが転倒し、その次周まで走行したところでリタイア。これにより、ショートは楽な状況となり、熱田も4番手に順位を上げた。

レース終盤、勝利を確信したショートはさらにペースダウン。残り4周で3番手を走る小島の背中が見えてきた熱田は、ハイペースをキープして表彰台登壇を狙った。そしてショートは、17周目を完全にクルージング走行してトップチェッカー。熱田は、小島に0.24秒届かず4位フィニッシュ。増田は13位でゴールした。

▼IA2(250/125)ヒート1
ホールショットの須田純(カワサキ)を、すぐさま勝谷武史(カワサキ)がパスしてトップを走行。勝谷より前でゴールすることが、シリーズタイトル獲得のための最低条件となる平田は、1周目6番手からのレースとなった。2周目以降の5台による2番手争いの中で、4周目に平田は順位を2つアップ。さらに、前を走る小島太久摩(ヤマハ)に迫った。

ところが6周目、平田はまさかの転倒。すぐに再スタートしたものの、10番手まで順位を落としてしまった。その後、10周目にようやく9番手にポジションアップした平田は、ラスト4周でさらに4台を抜き、17周を走りきり5位でゴールした。レースは勝谷が逃げきって優勝。これにより、平田と勝谷のポイント差はさらに拡大してしまった。

▼IA2(250/125)ヒート2
平田は好スタートを決め、1コーナーを2番手でクリアすると、すぐさま勝谷をパスしてトップに浮上した。ところが、勝谷に抜き返されて再び2番手に戻ると、最終コーナーでバランスを崩して転倒。これにより、1周目を28番手でクリアする苦しい展開となった。それでも平田は、レースをあきらめることなく追い上げを開始。3周目には順位を6つ上げた。

さらに平田は、レースが後半に入る9周目には15番手までポジションアップ。11周目には13番手、12周目には12番手まで順位を回復した。しかしこの段階で、前を走るライバルとの差は大きく、今季最終の全日本レースを12位で終えた。この結果、平田はケガにより1大会を欠場しながらも、Hondaで2年連続となる年間ランキング2位の座を獲得した。

コメント

アンドリュー・ショート (IA1・優勝/優勝)

「2年連続でこの大会に参加させてもらい、とてもうれしく思っています。スポーツランドSUGOは、難しいけれど楽しめるコースです。日本のファンの方々も、すごく応援してくれます。また、Hondaの日本人ライダーと走る機会もあり、昨年の大会に出場したこともあって、日本にもポテンシャルの高いライダーが多くいることも知っているので、日本でレースするのも好きです。今回も、Hondaが最高によいマシンを用意してくれて、両ヒートで優勝を飾ることができました。2009年型のニューマシンは、とくに旋回性に優れています。それから、450ccなのに250ccのように軽く、自分の身体によくフィットする感覚があり、とても扱いやすいです。スーパークロスのコースでもベストなマシンです。来年のことはまだ詳しく言えませんが、僕と新型CRFの活躍にぜひ期待していてください!」

熱田孝高 (IA1・5位/4位)

「ヒート1は、スタートはまずまずだったのですが、すぐに腕がパンパンになってしまい、思うように順位を上げられず、ふがいないレースをしてしまいました。ヒート2は、スタートで他車と接触しそうになって少し遅れました。レース後半、前を走る小島選手との差がなかなか詰まらず、ようやく捕らえかけたところでチェッカーが振られてしまいました。マシンのセッティングを煮詰められなかったことや、乗り込み不足だったことも影響しました。ただ、マシンのポテンシャルはすごく高いので、詰めていけばもっとすごいマシンになると思っています。今季は、ケガもあり全戦出場はできませんでした。それでも後半戦はまずまずの成績を収めることができたのですが、最終戦はよい結果でまとめることができませんでした。この悔しさを、来年につなげたいと思います。一年間、応援どうもありがとうございました」

増田一将 (IA1・9位/13位)

「今季の最終戦でしたが、あまりいい走りとレース内容ではありませんでした。せっかくいいマシンに乗せてもらったのに、うまく乗りこなせず残念です。今回も、ケガの影響で体力的に厳しい状況でした。とくに手は、握力が落ちていてバイクが押さえ込めず、走りに影響が出てしまいました。しかも今回は、コースがかなりタフなコンディションで、いつものようには乗れていませんでした。来年に向けての走りがしたかったのですが、それは達成できませんでした。一年間応援してくださったみなさんに、チャンピオンという結果で恩返しすることができず残念ですが、それでも全部のレースに参加することができ、戦い抜くことができたことはよかったと思っています。来年こそはという気持ちで、このシーズンオフに臨みたいと思います。僕、Honda、そしてモトクロスに対する今年一年の応援に、感謝します」

平田優 (IA2・5位/12位)

「ケガが完治していない手の状態は、前大会よりはよかったのですが、今回は自分の気持ちが弱かったのだと思います。ヒート1は、クラッシュパッドにクラッチレバーを引っ掛けるミスで転倒してしまいました。これにより、シリーズタイトル獲得に関しては絶望的な状況だったので、ヒート2はとにかく転んでもいいから優勝だけを狙っていこうと思っていました。それで1周目から全開で走った結果、最終コーナーでアウトに膨らんでしまったところで他車と接触し、再び転倒してしまいました。今シーズンは、途中まで非常に順調でしたが、ケガですべてが変わってしまいました。これも、僕の甘さだと思います。今年もまた、他人の胴上げを見なければならない結果となってしまいました。まずは身体を完ぺきに治し、自分に厳しく練習に取り組んでいきたいと思います。一年間、応援ありがとうございました」

渡部誠多|TEAM HRC 監督

「今回、IA1には2009年型CRFを3台投入し、ショートが両ヒートで優勝を果たしました。前大会でのヒート優勝に続き、ニューマシンのポテンシャルの高さを証明することができたと思います。

2年連続のショート参戦に対して、今回もHRCとして全面的にバックアップいたしました。これは、アメリカン・ホンダモーターと日本サイドの二輪開発センターの双方で協力し、実現しました。

Hondaファンの皆さん、今年一年間の応援に感謝しております。大変ありがとうございました。残念ながら今季は、両クラスともシリーズタイトルを獲得することができませんでしたが、来年に向けてより一層の努力をしていきますので、今後とも応援をよろしくお願い申し上げます」

決勝リザルト

IA1 : ヒート1

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
1 129 アンドリュー・ショート Honda 18 33:27.112
2 901 S.プーセル カワサキ 18 +00:04.023
3 1 成田亮 ヤマハ 18 +00:43.320
4 44 小島庸平 スズキ 18 +01:03.796
5 712 熱田孝高 Honda 18 +01:37.454
6 331 新井宏彰 カワサキ 18 +01:40.789
9 4 増田一将 Honda 18 +02:02.388
10 11 小方誠 Honda 17 +1Lap
16 25 鈴木友也 Honda 17 +1Lap
19 52 辻健二郎 Honda 17 +1Lap
21 30 片倉久斗 Honda 16 +2Laps
23 18 芹沢直樹 Honda 16 +2Laps
27 93 太田幸仁 Honda 15 +3Laps
RT 8 高濱龍一郎 Honda 9 DNF

IA1 : ヒート2

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
1 129 アンドリュー・ショート Honda 17 32:13.337
2 1 成田亮 ヤマハ 17 +00:03.562
3 44 小島庸平 スズキ 17 +00:29.881
4 712 熱田孝高 Honda 17 +00:30.121
5 411 中村友則 カワサキ 17 +01:21.254
6 7 溝口哲也 カワサキ 17 +01:21.715
13 4 増田一将 Honda 16 +1Lap
14 11 小方誠 Honda 16 +1Lap
15 52 辻健二郎 Honda 16 +1Lap
19 18 芹沢直樹 Honda 16 +1Lap
20 30 片倉久斗 Honda 8 +1Lap
23 93 太田幸仁 Honda 15 +2Laps
RT 25 鈴木友也 Honda 16 DNF

IA2 : ヒート1

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
1 111 勝谷武史 カワサキ 17 32:44.504
2 444 星野裕 スズキ 17 +00:05.363
3 54 島崎大祐 スズキ 17 +00:13.524
4 103 渡辺学 ヤマハ 17 +00:13.605
5 197 平田優 Honda 17 +00:37.911
6 935 小島太久摩 ヤマハ 17 +00:40.869
8 42 深谷広一 Honda 17 +00:46.734
11 50 星野優位 Honda 17 +00:55.618
15 59 富田俊樹 Honda 17 +01:17.418
17 24 杉山和起 Honda 17 +01:34.210
18 03 出口隼飛 Honda 17 +01:34.518
20 68 黒澤良太 Honda 17 +01:50.617
22 69 芹沢翔悟 Honda 16 +1Lap
RT 08 飯沼泰裕 Honda 4 DNF

IA2 : ヒート2

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
1 444 星野裕 スズキ 17 33:25.138
2 935 小島太久摩 ヤマハ 17 +00:17.528
3 103 渡辺学 ヤマハ 17 +00:19.302
4 111 勝谷武史 カワサキ 17 +00:27.510
5 51 伊藤正憲 ヤマハ 17 +00:28.095
6 54 島崎大祐 スズキ 17 +00:33.671
7 42 深谷広一 Honda 17 +00:37.147
9 50 星野優位 Honda 17 +00:40.263
12 197 平田優 Honda 17 +00:59.833
13 59 富田俊樹 Honda 17 +01:01.488
15 24 杉山和起 Honda 17 +01:27.927
16 69 芹沢翔悟 Honda 17 +01:38.970
17 03 出口隼飛 Honda 17 +01:39.764
24 08 飯沼泰裕 Honda 16 +1Lap
RT 68 黒澤良太 Honda 8 DNF

ポイントスタンディング

IA1

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 成田亮 ヤマハ 421
2 小島庸平 スズキ 378
3 増田一将 Honda 326
4 新井宏彰 カワサキ 312
5 田中教世 カワサキ 268
6 北居良樹 スズキ 262
8 小方誠 Honda 214
9 熱田孝高 Honda 199
10 福留善秀 Honda 190
13 辻健二郎 Honda 150
18 鈴木友也 Honda 87
20 高濱龍一郎 Honda 77
24 芹沢直樹 Honda 47
25 納屋望 Honda 42
26 片倉久斗 Honda 24
27 片平竜英 Honda 22
34 太田幸仁 Honda 1

IA2

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 勝谷武史 カワサキ 409
2 平田優 Honda 378
3 小島太久摩 ヤマハ 340
4 渡辺学 ヤマハ 316
5 深谷広一 Honda 279
6 井上眞一 カワサキ 257
8 星野優位 Honda 194
13 富田俊樹 Honda 133
28 出口隼飛 Honda 34
30 杉山和起 Honda 28
33 黒澤良太 Honda 21
35 芹沢翔悟 Honda 14

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