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リザルト ポイント
第9戦 中国・世羅グリーンパーク弘楽園 第9戦 中国・世羅グリーンパーク弘楽園view

熱田孝高が今季初の総合優勝

2008年10月12日(日)
決勝
会場:広島県・世羅グリーンパーク弘楽園
天候:晴れ時々曇り
気温:18℃
コースコンディション:ドライ
観客:1万500人

前戦の近畿大会から約1カ月の間隔を空け、第9戦中国大会が広島県の世羅グリーンパーク弘楽園で開催された。アップダウンやテクニカルなジャンプ、広いコース幅などハイスピードなレイアウトを特徴とする会場である。

硬質の路面は、走行により下の岩盤がむき出しになってしまうこともあるが、事前に土を搬入しつつ入念な整備が行われたため、今大会はこれまで以上にいいコンディションでの開催となった。さらに今大会は天候にも恵まれ、予選前日に散水代わりの雨が降り、土曜日と日曜日は晴れ時々曇り。日曜日は気温が低めだったものの、絶好のモトクロス観戦日和となった。

この大会にHondaのTEAM HRCからは、増田一将と熱田孝高がIA1にエントリー。また、前戦をケガにより欠場したIA2平田優は、辛うじて今大会に復活を果たした。

▼IA1(450/250)ヒート1
熱田が好スタートを決め、通常コースの大部分がショートカットされた1周目をトップでクリア。成田亮(ヤマハ)、Honda DREAM RTの高濱龍一郎(Honda)らがこれに続いた。また、増田はケガを抱えた厳しい状態ながら、1周目10番手のポジションにつけた。2周目、熱田は成田にパスされて2番手。高濱も2台に抜かれて5番手に下がってしまう。

3周目以降、トップグループは成田が抜け出す展開。これを追った熱田も、徐々に後続を引き離していった。しかし、熱田と成田との差は周回ごとに拡大していく。後方では、4周目に6番手に下がった高濱と、2周目に8番手、5周目に7番手へと浮上した増田が、間隔を保ちながら周回を重ねていった。

そしてレースは20周でチェッカー。熱田は、残念ながら最後まで成田との差を縮めることができず、それでも新井宏彰(カワサキ)の追撃は阻止して2位でフィニッシュした。高濱は今季ベストとなる6位入賞。増田は万全にはほど遠い体調ながら、30分+1周を大きなミスなく走りきり、7位でゴールした。

▼IA1(450/250)ヒート2
ヒート1に続き熱田がスタートダッシュを決め、1コーナーの最もイン側を小さくクリア。オープニングラップからトップに立つと、レース序盤から後続を引き離していった。増田は1周目を9番手でクリア。2周目に8番手、4周目に7番手へとポジションをアップすると、さらに7周目には6番手まで浮上した。

レース中盤。5周目と6周目に熱田がややペースを落としたこともあり、トップの熱田に1周目10番手から追い上げてきた成田が接近。そして10周目、熱田は成田の逆転を許してしまった。しかしここで熱田も粘りを見せ、成田の背後で粘ると、次周のコントロールライン上でトップを奪還した。

ここから最終ラップまで両者のドッグファイトは継続。熱田と成田は幾度となく順位を入れ替えた。しかし15周目に熱田がトップに立ってからは、熱田が成田より少し速いラップタイムを刻む展開に。そしてそのまま19周でチェッカーとなり、熱田が今季2勝目を飾った。増田は、10周目に7番手に後退。その位置をキープしてフィニッシュした。

▼IA2(250/125)ヒート1
平田は大きく出遅れて、ショートカットの1周目を17番手でクリアする苦しい展開。それでも、2周目に16番手、3周目に13番手、4周目に11番手と順調にポジションを上げると、6周目にも1台をパスし、まずはトップ10入りを果たした。なおも追い上げを続けた平田は、8周目に9番手に順位を上げ、このレースの後半戦を迎えることになった。

10周目以降、平田は1周ごとに1台をパス。13周目に5番手まで浮上した。しかし、トップ4台との差は大きく、この順位のままフィニッシュとなった。レースは勝谷武史(カワサキ)が優勝。1周目を5番手でクリアしたSEKI Racing MotoRomanの星野優位(Honda)は、一時は4番手に上がる活躍をみせ、最終的には6位でゴールした。

▼IA2(250/125)ヒート2
ケガの影響で思うようにマシンコントロールができない平田は、再びスタートで遅れてしまい、1周目を19番手でクリア。それでも、2周目に15番手、4周目に14番手、6周目に12番手、そして7周目に11番手と、じりじりとポジションを上げた。しかし、ここから10番手に浮上するまでに4周、9番手にアップするのに3周を費やしてしまった。

それでも平田は、ラスト4周となった16周目に2つ順位アップ。7位でチェッカーを受けた。レースは、ヒート1に続き勝谷が優勝。序盤に4番手を走行したSEKI Racing MotoRomanの深谷広一(Honda)が5位入賞を果たした。今大会の結果、平田は勝谷と13ポイント差のランキング2位となり、最終戦での逆転シリーズタイトル獲得に望みをつなげた。

コメント

熱田孝高(IA1・2位/優勝)

「ヒート1は、スタートでうまく飛び出せたのですが、すぐに成田選手に抜かれて、しかも序盤に引き離されてしまいました。これでちょっと気が滅入って、切り換えようと思ってはいたのですが、そのままズルズルと差を広げられたままになってしまいました。それがとにかく悔しくて、ヒート2はまたしても成田選手に抜かれたのですが、気合いで抜き返しました。その後は最後までバトルになったのですが、チームが一丸となって僕のためにがんばってくれていたし、成田選手も疲れているはずだし、ここで負けたら男じゃないと最後までプッシュし続けて、勝つことができました。気持ちでつかんだ勝利で、久々に総合優勝も達成できました。次はいよいよ、僕の地元、スポーツランドSUGOでの最終戦です。今年こそ、アンドリュー・ショート選手といいトップ争いを繰り広げたいと思います」

増田一将(IA1・7位/7位)

「前戦の決勝ヒート2で負傷し、その後に病院で検査した結果、右手の指の骨が3本折れていました。大会の10日前くらいからバイクに乗りはじめ、何とか乗れる状態にはなりました。ただ、痛みはあまりないのですが、握力が足りない状態で、しかも土曜日、朝イチの練習走行でいきなり大クラッシュして、反対側まで痛めてしまいました。バイクを押さえ込めないので、その後はすごく苦労しました。IA1は甘いクラスではないので、乗り込み不足とケガが原因で、さすがにいいレースをすることができませんでした。とくに決勝は、ギャップも多いタフなコンディションだったので。でも、転倒などで大きく順位を落としてポイントを取りこぼすようなことはなかったので、まだいいほうだったのかもしれません。このあとの2週間、とにかくやれるだけのことをやって、いい形で最終戦を迎えたい と思います」

平田優(IA2・5位/7位)

「前戦の1週間前に左手を骨折してしまい、すぐに手術をして、この1カ月間はリハビリを続けてきました。バイクには乗っていませんでしたが、大会直前にテスト走行をしてみたら、レースに出場できる状態だったので、シリーズタイトル獲得の望みをつなげるために、この大会に参戦しました。でも決勝では、ケガの影響と自分のミスが重なって、両ヒートともスタートで出遅れてしまいました。さらに、クラッチレバーを操れないことでラインの自由度が少なかったので、集団がバラけてからでないと前を走るライダーを抜けず、追い上げにとても苦労しました。これでランキングは2番手に下がってしまいました。でも諦めるつもりはまったくありません。2週間後は、手の状態もずっとよくなっているはず。今回これだけ乗れたので、とにかく最終戦は勝利を狙っていきます」

渡部誠多|TEAM HRC 監督

「熱田は、ヒート1は残念ながら2位という結果に終わりました。そこでヒート2のスタートまでの間に、チーム各部署が成田選手との差を分析し、そのデータや意見などを熱田にすべてトスしました。熱田が、それらの情報を生かした走りを実際にできたことも、ヒート2の勝因になったと思っています。

増田は、前戦で右手を負傷し、しばらくバイクに乗れない状態でした。先週から練習走行を開始したのですが、本来の体調ではない状況でのレースとなりました。そういった中で、決勝両ヒートとも転倒のミスなく完走し、確実にポイントを獲得したことは、増田にとっても大きな収穫になったと思います。

平田は、大会直前にようやくバイクに乗りました。しかし、それでも両ヒートで確実にポイントを獲得できたのは、本人のがんばりがあったからこそだと思います。チーム監督として、今日の平田の走りを高く評価したいと思います。シーズンには苦しい場面も必ずやってきます。次の最終戦までには、体の状態もかなりよくなっていると思うので、ベストな状態で勝谷選手と勝負したいと思います。

最終戦には、全日本のレースをより盛り上げるため、昨年に続きアメリカンホンダのアンドリュー・ショート選手が参戦してくれることになっています。また、IA1の熱田と増田は、最終戦はさらにポテンシャルの上がった09モデルを駆ります。IA2の平田は、最後までしぶといレースをお見せしたいと考えております。ぜひ会場に足をお運びいただき、HondaとTEAM HRCの走りをお楽しみください」

決勝リザルト

IA1 : ヒート1

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
1 1 成田亮 ヤマハ 20 33:20.687
2 712 熱田孝高 Honda 20 +00:10.652
3 331 新井宏彰 カワサキ 20 +00:12.435
4 44 小島庸平 スズキ 20 +00:36.832
5 5 北居良樹 スズキ 20 +00:41.622
6 8 高濱龍一郎 Honda 20 +00:57.481
7 4 増田一将 Honda 20 +01:01.909
8 11 小方誠 Honda 20 +01:03.306
10 27 納屋望 Honda 20 +01:07.735
13 52 辻健二郎 Honda 20 +01:37.877
20 30 片倉久斗 Honda 19 +1Lap

IA1 : ヒート2

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
1 712 熱田孝高 Honda 19 32:28.389
2 1 成田亮 ヤマハ 19 +00:03.018
3 44 小島庸平 スズキ 19 +00:08.824
4 331 新井宏彰 カワサキ 19 +00:12.321
5 411 中村友則 カワサキ 19 +00:23.715
6 12 出原忍 ヤマハ 19 +00:34.205
7 4 増田一将 Honda 19 +00:37.958
10 11 小方誠 Honda 19 +00:59.438
13 27 納屋望 Honda 19 +01:16.827
15 52 辻健二郎 Honda 19 +01:35.487
16 8 高濱龍一郎 Honda 19 +01:36.273
21 30 片倉久斗 Honda 18 +1Lap

IA2 : ヒート1

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
1 111 勝谷武史 カワサキ 19 32:01.204
2 103 渡辺学 ヤマハ 19 +00:03.740
3 935 小島太久摩 ヤマハ 19 +00:05.249
4 444 星野裕 スズキ 19 +00:05.593
5 197 平田優 Honda 19 +00:29.884
6 50 星野優位 Honda 19 +00:31.019
13 59 富田俊樹 Honda 19 +01:11.616
18 03 出口隼飛 Honda 19 +01:31.787
20 68 黒澤良太 Honda 19 +01:37.316
24 24 杉山和起 Honda 18 +1Lap
RT 42 深谷広一 Honda 12 DNF

IA2 : ヒート2

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
1 111 勝谷武史 カワサキ 19 32:43.039
2 103 渡辺学 ヤマハ 19 +00:04.141
3 935 小島太久摩 ヤマハ 19 +00:06.174
4 444 星野裕 スズキ 19 +00:06.856
5 42 深谷広一 Honda 19 +00:26.175
6 61 矢野和都 カワサキ 19 +00:37.674
7 197 平田優 Honda 19 +00:48.853
8 50 星野優位 Honda 19 +00:52.021
10 59 富田俊樹 Honda 19 +00:59.654
22 68 黒澤良太 Honda 19 +01:31.208
23 24 杉山和起 Honda 19 +01:39.246
24 03 出口隼飛 Honda 19 +01:39.596

ポイントスタンディング

IA1

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1成田亮ヤマハ 373
2小島庸平スズキ 334
3増田一将Honda 300
4 新井宏彰 カワサキ 279
5田中教世カワサキ244
6北居良樹スズキ 232
8福留善秀Honda190
8小方誠Honda 190
10 熱田孝高 Honda 159
13辻健二郎Honda 136
18鈴木友也Honda79
19高濱龍一郎Honda 77
24芹沢直樹Honda 42
24納屋望Honda 42
26片平竜英Honda22
27片倉久斗Honda 20
34太田幸仁Honda1

IA2

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 勝谷武史 カワサキ 360
2平田優Honda 347
3小島太久摩ヤマハ 297
4 渡辺学 ヤマハ 272
5深谷広一Honda 246
6 井上眞一 カワサキ 240
10星野優位Honda 166
13富田俊樹Honda 113
30出口隼飛Honda 21
31黒澤良太Honda 17
33杉山和起Honda12
36芹沢翔悟Honda6

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