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リザルト ポイント
第1戦 近畿・名阪スポーツランド 第1戦 近畿・名阪スポーツランドview

IA1は増田一将が両ヒートで表彰台を争う健闘
IA2では平田優が総合2位を獲得!

2008年4月13日(日)
決勝
開催地:奈良県・名阪スポーツランド
天候:晴れのち雨
気温:19℃
コースコンディション:ドライ
観客:1万4157人

HondaファクトリーチームのTEAM HRCは、今季の全日本モトクロス選手権IA1に熱田孝高と増田一将、IA2に平田優という、昨年と同様の布陣で挑む。使用マシンは、IA1がCRF450R、IA2はCRF250R。実力ある3名のライダーと、熟成と革新が続くマシンの充実した体制で、両クラスのシリーズタイトル獲得を目指す。また、昨年はアメリカのレースに参戦した福留善秀が、今季はTeam BASからCRF450Rで全日本にフル参戦する。

今季は、開幕戦の舞台が3年ぶりに名阪スポーツランドへと戻った。天候が心配されたが、雨は金曜日には止み、サンド質で水はけのよいコースは予選が行われた土曜日こそ軟らかめだったが、決勝が開催された日曜日はベストコンディションとなった。日曜日の午後から再び雨が降り出したが、降雨がコースに大きな影響を与える前に全スケジュールが終了した。

▼IA1(450/250)ヒート1
前日の予選レースをトップで通過し、決勝での活躍が期待された福留は、スタート直後に転倒して最後尾に。さらに、2コーナーや3コーナーでも転倒者が出る荒れたオープニングとなった。このような展開の中で熱田と増田は好位置をキープできず、1周目を終えて増田が10番手、熱田が14番手と、苦しい展開となった。

増田は2周目に8番手へと浮上するも、4周目に転倒して11番手へと後退。この段階で12番手にいた熱田とともに、上位進出を狙うことになった。トップの小島庸平(スズキ)と成田亮(ヤマハ)がハイペースで逃げる一方、3番手以降はレース中盤になっても激しい順位争い繰り広げる。この中、増田は今度は順調にばん回していった。

後半になると成田がトップを独走。2番手を新井宏彰(カワサキ)がキープし、大きく遅れて小島が3番手。その背後には、4番手にまで浮上した増田が迫った。しかし、最終的にはわずか0.67秒届かず、増田は4位フィニッシュとなった。なお熱田は、レース後半に転倒した際に、他車と接触して負傷した。自力でピットに戻ったが、リタイアとなってしまった。

▼IA1(450/250)ヒート2
ヒート1で負傷した熱田は、午後のヒート2をキャンセル。予選で手を負傷したHonda DREAM RTの高濱龍一郎が決勝への出場を断念したのに続き、Hondaにとっては不運の多い開幕戦となってしまった。レースは、1周目を小島、成田、溝口哲也(カワサキ)、増田の順でクリアする展開。福留は8番手から2周目以降のジャンプアップを狙った。

3周目、成田が転倒により大きく後退すると、その後の数周で小島に溝口と増田が追いつき、レース時間の半分が経過したころには、トップ3台が接近戦となった。そして、粘り強くチャンスをうかがい続けた増田は、残り4周となった17周目に、まずは溝口をパス。さらにその勢いのまま、トップを走る小島へと迫った。

レース後半になってペースが落ちた小島に対して、増田は変わらずハイペースを維持。ラスト2周で、小島をパスしかける。ところがこの際に2台が接触して両者転倒。2台とも再スタートを切ったが、これにより増田は5位でゴールすることになってしまった。レースは溝口が優勝。2位の新井に続き、福留が3位でゴールする結果となった。

▼IA2(250/125)ヒート1
1周目をトップで戻ってきたのは小島太久摩(ヤマハ)。これに勝谷武史(カワサキ)らが続き、スタートで若干出遅れた平田は1周目7番手からのレースとなった。平田は、2周目に早くもポジションを2つ上げると、開幕戦優勝に向けて猛アタック。しかし、この段階ですでに前を行く4台とは、大差がついてしまっていた。

それでも、5周目に4番手に浮上すると、その勢いのまま次周には3番手へとポジションを上げる。大きく差が広がってしまったトップ2台に追いつこうと、さらにコースを攻め続けた。レース後半には、2番手を走る勝谷のミスもあって差を縮めるも、序盤につけられた差が非常に大きく、平田は小島、勝谷に次ぐ3番手でゴールした。

▼IA2(250/125)ヒート2
平田はヒート2でもスタートに失敗し、1周目を11番手でクリアする苦しい展開となった。レースは、ヒート1に続き小島と勝谷が序盤からトップ2を形成。これを、2周目に3番手へと浮上した、SEKI Racing MotoRomanの深谷広一らが追った。また、平田も順調にポジションアップを果たし、2周目には8番手、4周目には7番手まで順位を上げた。

レース中盤、3番手を走る深谷から、6番手に浮上した平田までの4台がし烈な表彰台争いを繰り広げた。レース後半になって、トップ争いから勝谷が脱落。これで深谷は2番手に浮上し、レース終盤にはトップの小島へと迫った。深谷は逆転はできなかったものの、2位でフィニッシュした。また平田は、最終ラップに順位を上げ、4位でゴールした。

コメント

増田一将(IA1・4位/5位)

「ヒート1はスタートで出遅れ、しかも途中で集中力不足と焦りから転倒してしまって、苦しい展開でした。最後は3位が見えたのですが、少し時間が足りませんでした。ヒート2は、狙い通りの展開で、トップに立とうと思っていましたが、小島選手と接触してしまいました。転ばないように耐えたのですが、ダメでした。レースだから、仕方のないアクシデントだったと思います。勝てるレースだったので、もちろん悔しいですけれど、こういうときもあります。開幕の成績としては昨年よりはいいですし、調子も悪くはないので、あとは詰めるところをキッチリと詰めれば、十分にシーズンを戦い抜いていけると思います。もちろん、目標はシリーズチャンピオンです。次戦はHondaのホームコースで、なおかつ僕の地元からも近いオフロードヴィレッジです。いつもの自分の走りをして、好成績を目指します」

熱田孝高(IA1・29位/DNS)

「決勝ヒート1で、スタートに失敗。そのあと、身体が本調子でないこともあって、なかなかペースを上げられずにいたら、イージーミスでスリップダウンしてしまいました。そしてバイクを起こそうと思ったときに、すぐ後ろからきたバイクにひかれてしまい、指の骨を折ってしまいました。もちろん、自分が転ばなければひかれなかったので、後ろのライダーを責める気はありません。ただ、次のオフロードヴィレッジはたぶん出場できないと思います。とはいえまだ開幕戦ですし、レースは何が起こるか分からないですから、なるべく早く復帰して、残り全部勝つ気でいきます。チャンピオンを目指してあきらめずにがんばります」

福留善秀(IA1・27位/3位)

「今年は全日本選手権にフル参戦することになりました。その初戦だったのですが、ヒート1はスタートで遅れて、しかも他車と接触して1コーナーで転倒してしまいました。そのときにフロントブレーキを壊してしまいました。その状態のままで走って、追い上げてはいたのですが、途中からマシンを抑えきれなくなったので、ピットインしてホイール交換をしました。ヒート2もスタートに失敗して、追い上げるのに時間がかかってしまいました。表彰台には上がれましたが、実力ではなくて、もらった3位です。両ヒートとも、スタートが出られれば展開は変わっていたはず。スタートは得意なほうですが、マシンのパワーがありすぎてちょっと難しかったです。次までに練習しておきます。シーズンは長いので、取れるレースは取って、調子が悪いときは抑える、メリハリのあるレースを続けてチャンピオンを目指したいと思います」

平田優(IA2・3位/4位)

「悔しいです。本当に、それしか感想がありません。まず、スタートで出られなかったのが大きな敗因でした。そして、本来ならそこから追い上げられるはずが、ほかのライダーと同じペースのまま周回してしまい、抜け出せずにいるうちに両ヒートともチェッカーになってしまいました。今回はコースがきれいすぎて、みんなと同じラインを走るしかない、差が出にくいコンディションだったことも、影響していると思います。だからこそ、スタートから前にいれば勝てたと思いますが……。せっかくチームにたくさんテストをしてもらい、マシンも満足できるレベルに仕上がってきていたので、悔しくてたまりません。このあと、もう一度気合いを入れなおして、残り全戦勝ってチャンピオンになれるよう、がんばるだけです」

深谷広一(IA2・8位/2位)

「ヒート1はスタートで大きく出遅れて、そのあとに転倒もあって、追い上げきれないレースでした。でも、走りそのものは悪くない感じで、前日も調子がよかったので、この名阪スポーツランドは本来はあまり得意ではなく、ちょっと不安もありましたけど、ヒート2は上位に入れる感触がありました。そしてヒート2のスタートを切ったら結構順位がよくて、コースは整備されていてとてもフラットだったので、とにかく後ろを気にせずに前だけを見て走ろうと考えました。ラッキーな部分もあったし、優勝したわけではないので、手放しでは喜べませんが、今季は初戦から表彰台に上がれたので、このあとのレースが楽しみです。得意のSUGOやHSR九州では、優勝を目指したいです」

渡部誠多|TEAM HRC 監督

「昨年は両クラスでランキング2位という屈辱を味わい、この開幕戦までにライダーのトレーニングやマシンのセットアップなどを、精力的に続けてきました。そして、いい状態で開幕を迎えたのですが、レースはやってみないと分からないというだけあって、今回はリザルトに結びつけることができませんでした。平田は両ヒートともスタートの出遅れと、レース中のペースアップがいまひとつだったのが反省点です。熱田は残念ながらヒート1で転倒し、その際に負傷してしまいました。今後はケガの回復を見つつ、復帰時期を決めます。増田はヒート2は勝てる展開でしたが、お互いが熱くなった中で接触し、転倒につながってしまいました。レース終盤だったため、そのあと追い上げることはできませんでした。ただしこのヒート2で、シーズン序盤にして一気にレース勘を取り戻せたのではないかと、私自身はホッとしています。増田自身の走りをすれば、次からいくらでもチャンスはあると思います。次戦はHondaのホームコースで開催されます。確実に結果を残せるよう、チーム一丸となってがんばっていきたいと思います」

決勝リザルト

IA1 : ヒート1

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
1 1 成田亮 ヤマハ 20 33:12.570
2 331 新井宏彰 カワサキ 20 +00:09.44
3 44 小島庸平 スズキ 20 +00:16.55
4 4 増田一将 Honda 20 +00:17.22
5 5 北居良樹 スズキ 20 +00:37.88
6 14 釘村太一 ヤマハ 20 +00:40.45
8 11 小方誠 Honda 20 +00:46.83
12 52 辻健二郎 Honda 20 +01:12.69
14 25 鈴木友也 Honda 19 +1Lap
19 23 片平竜英 Honda 19 +1Lap
22 30 片倉久斗 Honda 18 +2Laps
23 93 太田幸仁 Honda 18 +2Laps
27 952 福留善秀 Honda 16 +4Laps
28 18 芹沢直樹 Honda 15 +5Laps
29 712 熱田孝高 Honda 15 +5Laps

IA1 : ヒート2

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
1 7 溝口哲也 カワサキ 20 32:57.303
2 331 新井宏彰 カワサキ 20 +00:10.18
3 952 福留善秀 Honda 20 +00:16.15
4 44 小島庸平 スズキ 20 +00:17.82
5 4 増田一将 Honda 20 +00:18.04
6 1 成田亮 ヤマハ 20 +00:33.79
10 11 小方誠 Honda 20 +00:54.20
15 52 辻健二郎 Honda 20 +01:14.01
17 25 鈴木友也 Honda 20 +01:43.22
18 18 芹沢直樹 Honda 19 +1Lap
20 23 片平竜英 Honda 19 +1Lap
23 30 片倉久斗 Honda 18 +2Laps
26 93 太田幸仁 Honda 18 +2Laps

IA2 : ヒート1

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
1 935 小島太久摩 ヤマハ 19 31:55.336
2 111 勝谷武史 カワサキ 19 +00:01.01
3 197 平田優 Honda 19 +00:11.41
4 41 井上眞一 カワサキ 19 +00:39.57
5 102 田中雅己 ヤマハ 19 +00:44.77
6 103 渡辺学 ヤマハ 19 +00:47.29
8 42 深谷広一 Honda 19 +00:55.74
9 59 富田俊樹 Honda 19 +00:56.48
22 50 星野優位 Honda 18 +1Lap
27 03 出口隼飛 Honda 18 +1Lap

IA2 : ヒート2

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
1 935 小島太久摩 ヤマハ 20 33:25.662
2 42 深谷広一 Honda 20 +00:01.75
3 103 渡辺学 ヤマハ 20 +00:07.59
4 197 平田優 Honda 20 +00:12.49
5 111 勝谷武史 カワサキ 20 +00:33.39
6 131 吉田勝 カワサキ 20 +00:40.94
12 50 星野優位 Honda 20 +01:00.56
17 59 富田俊樹 Honda 20 +01:13.85
23 03 出口隼飛 Honda 19 +1Lap

ポイントスタンディング

IA1

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 新井宏彰 カワサキ 44
2 成田亮 ヤマハ 40
3 小島庸平 スズキ 38
4 溝口哲也 カワサキ 37
5 増田一将 Honda 34
6 田中教世 カワサキ 28
8 小方誠 Honda 24
12 福留善秀 Honda 20
14 辻健二郎 Honda 15
15 鈴木友也 Honda 11
20 芹沢直樹 Honda 3
21 片平竜英 Honda 3

IA2

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 小島太久摩 ヤマハ 50
2 平田優 Honda 38
3 勝谷武史 カワサキ 38
4 深谷広一 Honda 35
5 渡辺学 ヤマハ 35
6 井上眞一 カワサキ 32
13 富田俊樹 Honda 16
18 星野優位 Honda 9

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