このコースの路面は、非常にハード。今回も、走行のたびに土の中の岩盤が浮き出してきた。そして、例年よりも少ない散水量だったことなどから、両日ともに大量の土ぼこりが発生。選手たちはライバル以外に、硬い路面や視界の悪さとも格闘しなければならない状況となった。
今大会にも、HondaファクトリーチームのTEAM HRCは、IA1クラスに熱田孝高と増田一将、IA2に平田優という、今シーズンのここまでと同様の体制で参戦。両クラスとも、ここまでライバルにポイントランキングにおいて先行を許しており、最終戦での逆転タイトル獲得に望みをつなぐためにも、是が非でも負けられない大会となった。
▼IA1(450/250)ヒート1
熱田と増田は、いずれもスタートでやや出遅れてしまい、ショートカットコースとなる1周目を、増田が7番手、熱田が10番手でクリア。一方、Honda DREAM
RTの高濱龍一郎は、1周目を5番手でクリアした。ここから、まずは増田が激しい追い上げを見せ、2周目に5番手へ浮上。3周目には、早くも3番手へと上がりかけた。
ところが、3周目の終わりのフィニッシュジャンプの着地で、増田は激しく転倒。このままリタイアとなってしまった。一方、熱田は、3周目にはまだ8番手を走行していたが、その次周に一気に順位を4つアップ。さらに5周目に3番手、レースが折り返し地点となった9周目には、2番手へと浮上した。
しかしこの段階で、トップの成田亮(ヤマハ)とは大差があり、そのまま成田に次ぐ2位でゴールすることになった。また高濱は、4周目には7番手まで順位を落とすが、その後にじわじわとポジションアップ。レース終盤には、ついに3番手を走る溝口哲也(カワサキ)へと迫った。そして最終ラップ半ばで、ついに溝口をかわしてチェッカー。2006年第2戦以来となる、全日本の表彰台に上がった。
▼IA1(450/250)ヒート2
ヒート1で転倒した増田は、このレースへの出走をキャンセル。Honda勢は、1周目を終えた段階で高濱が4番手、熱田が5番手と、好ポジションからレースをスタートした。さらに2周目には、高濱が一気に3台をパスして、トップへと躍り出た。すると高濱は、次周にはベストラップを叩き出し、後続を引き離しにかかった。
ところが、独走になりつつあった6周目に、硬い路面のためタイヤがパンク。これにより高濱は、タイヤ交換を余儀なくされてしまった。一方、熱田は、4周目に4番手へと浮上すると、その後は成田と激しいバトルを繰り広げつつ、順位をアップ。7周目にはこれが2番手争い、そして2人で同一周回に溝口をパスした12周目以降は、これがトップ争いとなった。
その後も熱田は成田と、幾度となく前後を入れ替えながらバトルを展開。そのまま、レースは終盤を迎えた。すると、ラスト4周となった16周目、トップに立った熱田がラストスパート。一気に成田を引き離すことに成功し、そのまま優勝のチェッカーを受けた。これにより熱田は、両ヒート総合成績でもトップとなった。
▼IA2(250/125)ヒート1
平田は、前日の予選から好調な走りをみせ、これをトップでクリア。1番最初に、マシンをスターティンググリッドへと入れた。しかし、スタートでやや出遅れ、他車とも接触。これにより、ショートカットコースとなる1周目を9番手でクリアすることになった。それでも平田は、すぐに追い上げを開始。早い段階でのトップ浮上を狙った。
ところがフルコースとなった2周目中盤のジャンプで、平田と尾崎友哉(ヤマハ)が接触し、両者とも転倒。平田は、そのまま担架で医務室へと運ばれてしまった。レースは新井宏彰(カワサキ)が優勝。SEKI
Racing MotoRomanの深谷広一が、レース序盤からの追い上げで、Honda勢最上位の6位でゴールとなった。
▼IA2(250/125)ヒート2
ヒート1で転倒した平田は左ヒザを負傷。ダメージは大きく、ヒート2の出走をキャンセルしても当然というような状態だった。それでも平田は、最後までタイトル争いをあきらめない姿勢をみせ、決勝のグリッドへと並んだ。しかし、思うようにはバイクを走らせることができず、1周目を終えた段階でピットへと戻り、そのままリタイアした。
この平田のリタイアにより、新井のIA2クラスタイトル獲得が決定。レースは、その新井が序盤から逃げ切りを図り、ヒート1に続いて優勝した。なおその後方では、深谷が激しい追い上げを展開。1周目16番手と出遅れた深谷だったが、レースの序盤と終盤に大きくポジションを上げ、最終的には表彰台まであと一歩となる4位でチェッカーを受けた。
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