予選や決勝ヒート1は、一部区間をショートカットしなければならないほどのコースコンディションとなり、選手はグリップの悪さや深いワダチに苦しめられた。さらに、決勝日午後になって雲のすき間から太陽が顔をのぞかせると、一気に気温が上昇。サンドを多く含んだ土質ということもあり、コンディションは多少よくなったが、今度は暑さに苦しめられることになった。
HondaファクトリーのTEAM HRCから参戦した、IA1クラスの熱田孝高と増田一将、IA2の平田優は、それぞれ順当に予選をクリア。中でも平田は、総合トップでの予選通過を果たし、決勝レースでの活躍に期待が集まった。
▼IA1(450/250)ヒート1
ホールショットを奪ったのは小島庸平(スズキ)。TEAM HRCの熱田と増田は、ともにスタートで出遅れ、オープニングラップを熱田が9番手、増田が12番手でクリアする、苦しい展開となった。3周目、熱田は数少ないパッシングポイントを見つけて7番手へと浮上。しかし増田は転倒を喫し、15番手へと後退してしまう。
前が空いたことでペースが上がった熱田は、続く4周目に6番手へと上がると、さらにラップタイムを縮めて、6周目には3番手集団へと接近。そして、7周目にHonda DREAM RTの高濱龍一郎らを抜いて4番手に浮上すると、次周にはさらに加賀真一(スズキ)をパスして、ついに表彰台圏内に入った。
ところがこの8周目終了時点で、2番手を走る成田亮(ヤマハ)との差は約40秒もあり、これ以上の追い上げは厳しい状況となってしまっていた。それでも熱田は、9周目にベストラップを出すなど、最後まであきらめずに周回を重ね、14周を走りきって3位表彰台へと上がった。1位は小島、2位に成田。高濱は6位に入賞し、増田は転倒後に追い上げて11位でゴールした。
▼IA1(450/250)ヒート2
午前のスケジュール進行が遅れたため、IAクラスのヒート2は、本来より5分短い25分+1周とされた。IA1決勝ヒート2は、再びホールショットを奪った小島に、増田と熱田が続く展開でスタートした。1周目、熱田が増田をパスして2番手に浮上。しかし増田も、大きく引き離されることなく熱田と小島をマーク。レース序盤から、この3台が後続を大きく引き離した。
2番手に浮上した熱田は、ハイペースで逃げ切りを図る小島を冷静に追撃。そして6周目にパッシングに成功し、トップに立った。ところが同じ周に増田は、コーナーで転倒。しかも再スタートに2分近くを費やし、21番手まで後退してしまった。これによりトップ集団は、熱田と小島の2台となった。
熱田は、トップに立った次周にベストラップを叩き出し、小島を引き離しにかかった。そして、見事これに成功すると、難しいコンディションの中、13周を危なげなく走りきってゴール。今季3度目のヒート優勝を達成した。一方の増田は、タイムロス後も懸命に走行を続け、16位まで追い上げてチェッカーを受けた。
▼IA2(250/125)ヒート1
バイクに泥が付着するのを嫌い、スタート前のサイティングラップ出走をやめた平田は、1周目を6番手でクリア。次周には、一気にポジションを上げて、3番手へと浮上した。そして、7秒ほど前を走る池谷優太(スズキ)を追うと、ジワジワとその差を詰め、ちょうどレース時間が半分過ぎた6周目に、池谷の攻略に成功した。
しかしこの段階で、トップを走る釘村忠(ヤマハ)との差は30秒弱と、大きく開いてしまっていた。それでも、8周目にはベストラップを出しつつ、極めて安定したラップタイムで周回を重ねた平田は、釘村との差を6周で15秒も削り取ってゴール。2位表彰台に登壇した。3位には、ポイントランキングトップの新井宏彰(カワサキ)が入っている。
▼IA2(250/125)ヒート2
IA1のヒート2と同じく、こちらのレースも25分+1周に短縮された。ホールショットを奪ったのは平田。さらに、ヒート1で7位に入ったSEKI Racing MotoRomanの星野優位が、1周目に2番手に浮上し、Hondaの1-2態勢でオープニングラップを終えた。平田はここから一気に後続との差を広げ、序盤から早くも独走。一方の星野は、3周目に3番手に後退するが、その後は粘りの走りを続けた。
レース中盤、この星野をパスした釘村が、平田との差を急激に詰めて接近。すると平田は、ラスト3周で釘村よりも約2秒速いファステストラップを叩き出す余裕をみせつつスパート。最終的には釘村との差を約20秒まで拡大してゴールし、今季3勝目を挙げた平田が総合優勝を果たした。2位には釘村。3位には星野が入り、IA昇格後初の全日本表彰台に上がった。
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