天候は、予選日の夜遅くに小雨が降ったものの、土日とも日中は晴天。しかも比較的標高が高いこともあって風は涼しく、絶好の観戦日和となった。ただし強い日差しにより路面が乾き、多くの土ぼこりが発生した。
HondaファクトリーチームのTEAM HRCから、IA1に参戦する熱田孝高と増田一将、IA2に参戦する平田優の3選手は、いずれも予選から好調な走りを披露。熱田と平田は予選レースをトップ通過、増田は熱田と同組で走って2位でフィニッシュし、決勝は全選手が好位置からスタートすることになった。
▼IA1(450/250)ヒート1
このサーキットは、安全のために1周目がショートカットコースとなる設定。そのオープニングラップを、トップでコントロールラインへと戻ってきたのは増田だった。2周目、増田は溝口哲也(カワサキ)に抜かれるが、3周目に入ると同時に、抜き返して再び首位に浮上。その後は、徐々に後続を引き離しにかかった。
一方熱田は、好スタートを切ったものの、スタートから2つ目のコーナー内側で、2台のマシンにはさまれて転倒。これに後続が次々と突っ込んできたため、すぐに再スタートを切ることができず、1周目27番手と苦しい展開となってしまった。しかしここから猛追撃を開始した熱田は、7周目には10番手まで順位を回復した。
その後も追い上げを続けた熱田は、最終ラップには溝口を抜き、4位でフィニッシュした。これに対し増田は、3周目以降は一度も順位を変えることなく、トップを独走。19周を危なげなく走りきり、昨シーズン第8戦ヒート2以来となる全日本での優勝を挙げた。
▼IA1(450/250)ヒート2
IA1決勝ヒート2では、TEAM HRCの両ライダーがまずまずのスタートを決め、熱田が6番手、増田が7番手で1周目をクリア。2周目には、チームメート同士で激しいバトルを繰り広げつつも、そろって順位を上げ、増田が5番手、熱田が6番手というオーダーとなった。ここからまずは増田がペースを上げ、4周目には一気に2台をパスして3番手へと浮上。さらに6周目には2番手へ上がると、増田は前を走る小島庸平(スズキ)を追った。
一方熱田も、増田より少し遅れて追い上げを開始し、5周目には2台をパスして4番手、7周目にも1台を抜いて3番手へと浮上。再びチームメートである増田の後ろへと着けた。
すると次の周、小島の様子をうかがっていた増田がついに動きを見せ、これを鮮やかにパス。さらに小島と熱田を引き離しにかかった。これに対し熱田は、4周後の12周目にようやく小島の攻略に成功。ここからペースを上げて、前を走る増田を追った。しかし、最後まで2人の順位は変わることなく、増田が1位、熱田が2位でゴール。TEAM HRCが今季初の1-2フィニッシュを決めた。
▼IA2(250/125)ヒート1
スタートで若干出遅れてしまった平田。しかし、短い1周目を7番手で通過すると、フルコースとなった2周目には5番手、3周目には4番手、4周目にはこのヒートのファステストラップを叩き出して3番手へ浮上。前を走る新井宏彰(カワサキ)と小島太久摩(ヤマハ)を追った。そして6周目には平田がついに小島をパスし、2番手へと浮上した。
この時点で、平田と新井の差は約6秒と、平田の逆転に向けては少し厳しい展開。それでも平田はハイペースを保ち、チャンスを待ち続けた。しかしレースが後半に入ると、平田のペースが少し落ち、これにより新井との差が拡大。終盤になって平田は再びペースを取り戻すも、新井には届かず、平田は最速ラップタイムは記録したが2位となった。
▼IA2(250/125)ヒート2
スタートを完全にミスした平田は、32台中24番手という極めて悪い順位で1周目をクリア。2周目には18番手、3周目には15番手へとジャンプアップするが、その後は土ぼこりが舞う混戦のなかで、思うように順位を上げることができずにいた。すると6周目に、ジャンプで体勢が崩れて転倒。しかも、再スタートに時間がかかってしまった。
これにより平田は、なんと31番手まで後退。もはや、入賞は絶望的になってしまった。それでもあきらめることなく上位を目指した平田は、レースが残り5周となる15周目にはベストラップも記録しつつ、少しずつ順位を回復。最終的には15位でフィニッシュして、今後のタイトル争いで重要になるであろう貴重な6ポイントを獲得した。 |