後半戦へと突入した第6戦北海道大会の会場、わっさむサーキットは、道央の旭川から30kmほど北上した和寒町にある、山の斜面に作られたアップダウンの多いコース。かねてより石の多さに悩まされてきたため、今回はコースの一部にもみ殻や土を入れるなどして、改善に向けての努力がなされた。
梅雨とは無縁の北海道とあって、天候は土・日を通じて快晴。強い日差しが照りつけ、真夏並みの暑さを感じるコンディションとなった。その結果、決勝日午後を中心に、多くの砂塵が舞うこととなった。
TEAM HRCは今季、熱田孝高選手、増田一将選手、福留善秀選手の3名を起用し、トップクラスとなるIA1に参戦。しかし福留選手は、前回の九州大会で左ヒジを負傷したため、この大会を欠場。第8戦近畿大会での復帰を目指し、手術を受けるなどの治療を続けている。
土曜日に行われた予選では、熱田選手が4位。増田選手は転倒を喫したものの、9位で決勝グリッドに並んだ。なお、ここまでポイントリーダーだった成田亮選手(ヤマハ)が、予選で負傷し決勝レースをキャンセルしたため、ランキング2番手の熱田選手に、トップ浮上のチャンスが訪れた。
▼IA1(450/250)ヒート1 1周目を終えて、トップに溝口哲也選手(カワサキ)、2番手に大河原功次選手(ヤマハ)、3番手に熱田選手という布陣。パッシングポイントが少なく、さらに前走車からの飛び石と砂塵が多いので、スタートが非常に重要とされるコースだが、増田選手も1周目6番手とまずまずの順位を確保した。増田選手は、2周目5番手、4周目4番手、6周目3番手と、序盤で着実に順位を上げた。熱田選手も4周目に2番手へと浮上したため、TEAM HRCは2台ともが表彰台圏内にポジションアップ。ランデブー走行を行いつつも、前を走る溝口選手を追った。
レース中盤の9周目には、増田選手が熱田選手を抜いて2番手に浮上。熱田選手がその後もタイムを上げられずにいる一方で、増田選手はペースアップを果たし、溝口選手との距離を徐々に縮めていった。そしてスタートから約20分が過ぎた13周目に、増田選手は全ライダーのベストラップより1秒近くも速いファステストラップを叩き出し、ついに溝口選手の背後へと接近した。なおも勢いの止まらない増田選手は、次周にあっさりと溝口選手をパス。そのまま逃げ切って、今季初優勝を挙げた。熱田選手は3位、ホンダドリームRTから参戦する高濱龍一郎選手は、一時は10番手まで後退しながらも、後半に粘りを見せて5位でチェッカーを受けた。
▼IA1(450/250)ヒート2 午前のレースで今季初優勝を達成して波に乗る増田選手が、スタート直後の1コーナーを3番手で通過すると、このラップで一気に2台を抜き去りトップに浮上。このヒートで3位以内に入ればポイントリーダーになれる熱田選手は、6番手で1周目をクリアした。一方で高濱選手は、スタート直後に他車と接触してバランスを崩し、大きく出遅れた18番手で1周目のコントロールラインを通過した。
トップを走る増田選手は、序盤こそ後続を引き離せずにいたものの、7周目には2番手と約4秒半の差を確保。レース終盤まで、この差を保ちながら周回を重ねた。逆に熱田選手は、ヒート1の増田選手と同じように、2周目に5番手、4周目に4番手、9周目に3番手へと浮上。さらに13周目には溝口選手を抜いて2番手に上がり、5秒前を走るチームメイトを追った。
しかしその差は劇的には縮まらず、レースは大詰めへ。ラスト2周となる18周目には、熱田選手がこん身のファステストラップを記録し、増田選手に約1秒差と急接近。しかし増田選手も意地を見せ、最終周にこのヒートのベストラップを叩き出して逃げ切り、昨年開幕戦以来となる両ヒート優勝を果たした。さらに熱田選手が2位に入ったため、TEAM HRCは1-2フィニッシュを達成。また熱田選手が、4ポイント差で暫定ランキングトップに立った。なお高濱選手は、レース前半で10番手まで追い上げ、最終的には7位まで浮上してゴールしている。
▼IA2(250/125)ヒート1 ホールショットを奪ったのは平田優選手(カワサキ)。これに、小島庸平選手(スズキ)、勝谷武史選手(Honda)、渡辺学選手(ヤマハ)が続いた。1周目、早くも小島選手がトップに浮上。しかし勝谷選手は、2周目に転倒を喫し、チームメイトの深谷広一選手(Honda)に次ぐ8番手まで後退してしまった。
しかもばん回を図った勝谷選手は、5周目にようやく6番手へと浮上するも、8周目にエンストさせてしまい、9番手まで後退。そのため勝谷選手は、レース終盤で再び追い上げたものの、6位でゴールとなった。また深谷選手は、後半に激しい4番手争いを展開。最終周に抜かれてしまったものの、5位でフィニッシュした。なおレースは、後半になってトップに返り咲いた平田選手が優勝。2位に渡辺選手、3位に小島選手が入った。
▼IA2(250/125)ヒート2 午後に行われたヒート2も、再び小島選手がトップで1周目を通過。これに、釘村忠選手(ヤマハ)、平田選手が続き、勝谷選手はその3台を追う4番手でオープニングラップを終えた。2周目には釘村選手の転倒もあり、勝谷選手は平田選手をパスし、一気に2番手へと浮上した。その後方では、深谷選手が6番手を走行。前大会に続く上位進出を狙ったが、思うようにペースは上がらず、前との差はジワジワと開いてしまった。
勝谷選手は、2周目以降は常に小島選手をマーク。ピッタリと後ろに付け、逆転のチャンスを狙い続けた。そして、スタートから25分過ぎ、残り5周のところで、ついにトップの座を小島選手から奪った。さらに勝谷選手は、その次周にこのヒートのファステストラップを叩き出し、一気に小島選手を振り切って最後は独走。第3戦ヒート2以来となる今季2勝目を挙げた。2位は小島選手、3位には渡辺選手が入賞。深谷選手は7位でフィニッシュした。
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