TEAM HRCは2006年シーズン、全日本モトクロス選手権IA1クラスに3人体制で挑む。昨年のIA1クラス3位の増田一将選手、2005年IA2チャンピオンの福留善秀選手、そして4年間の世界GP転戦から帰国した熱田孝高選手という充実した編成。使用マシンは4ストローク車、CRF450R3台である。
今年のレースカレンダーには、5月21日に世界選手権日本グランプリが組み込まれているため、全日本選手権のシーズンインが早まり、開幕戦の舞台が名阪スポーツランドからスポーツランドSUGOへと変更された。
新しいセクションがアレンジされたコースは、霜の影響などで湿気を含んだ土が大半を占めていた。しかしスケジュールの進行につれて土が乾くと、元来の硬いギャップが増えてきて、マシンコントロールが難しいコンディションとなった。
▼IA1(450/250)ヒート1
ホールショットを取った熱田選手に、高濱龍一郎選手(Honda)、増田選手、福留選手らが続き、オープニングラップはHonda勢が上位を独占する形となる。ここに成田亮選手(ヤマハ)と中村友則選手(カワサキ)が割って入り、高濱選手と福留選手が徐々に後退。序盤のトップスリーは、熱田選手、増田選手、成田選手に一旦落ち着いた。
レース開始から10分が過ぎる頃、増田選手は成田選手の先行を許して3番手に後退。その後8周目には、5位走行中だった福留選手がエンジンをストールさせ、トップグループからは脱落した。
先頭を行く熱田選手は、一時リードを3秒弱まで広げた。レース終盤になると、成田選手の追撃を受けて激しい接近戦が展開されたが、熱田選手が逃げきり、帰国後初の優勝を飾った。
▼IA1(450/250)ヒート2
1周目から熱田選手がトップに躍り出る一方で、1コーナー先で福留選手が転倒に巻き込まれるアクシデントが発生。福留選手は担架で運ばれ、残念ながらリタイアを喫した。熱田選手の背後には成田選手、中村選手、高濱選手らがつけてトップグループを形成。増田選手はスタートの失敗により、1周目10番手と出遅れた。
5周目には、成田選手がエンジンストップで7番手まで後退。2番手に浮上した中村選手が、8周目に熱田選手をかわしてリーダーとなる。中村選手と熱田選手は、2〜3秒間隔を維持しながら、息の詰まるトップ争いを続けた。
レース終盤になると、熱田選手が満を持して反撃に転じる。ラスト2周のS字で、中村選手に襲いかかった熱田選手がリーダーの座を奪取。そのまま逃げ切った熱田選手が優勝を果たし、ヒート1と合わせてパーフェクトウインを達成した。3位には高濱選手が入賞。増田選手は5位までばん回してみせた。
なお、転倒リタイアした福留選手は、胸と肘を打撲したため近くの病院に入院した。骨に異状はないとのことである。
▼IA2(250/125)ヒート1
平田優選手(カワサキ)が好スタートを切り、3周目までトップを走った。平田選手に代わってリーダーとなったのは、オープニング2番手につけた新井宏彰選手(カワサキ)。6周目には2番手に小島庸平選手(スズキ)が浮上したが、新井選手は着実にリードを広げて独走態勢に持ち込んだ。
レース中盤、4番手にはCRF250Rを駆る芹沢直樹選手(Honda)が浮上。表彰台を目指したが、ラスト2周で尾崎友哉選手(ヤマハ)の先行を許して5位でチェッカーとなった。結局、中盤からの独走を維持した新井選手が優勝。2位小島選手、3位平田選手と続いた。
▼IA2(250/125)ヒート2
新井選手がオープニングからリードしたが、2周目には小島選手が前に出る。井上眞一選手(カワサキ)、平田選手を挟んで、5番手には芹沢選手がつけた。今季から古巣のセキレーシングモトロマンに復帰した勝谷武史選手(Honda)は、スタート7番手からポジションアップを目指した。
レース後半になって、足を負傷した芹沢選手が大事を取ってリタイア。トップ争いの小島選手と新井選手は、終始テールトゥノーズを維持したが、レースも大詰めを迎えると小島選手がリードを広げて優勝。3位には中盤に井上選手をかわした平田選手が入賞。Honda勢の中では、4位に入った勝谷選手が最上位となった。
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