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ヒート1でIA250初優勝を飾った勝谷の走り |
第7戦の近畿大会で芹沢直樹(Honda CRF250R)が負傷し戦線離脱することになり、IA125でチャンピオン争いに残ったのは辻健二郎(Honda)のみとなった。前戦の九州大会では溝口哲也(Kawasaki)に完全優勝を許したものの、ここ広島の予選では最速のタイムを記録し、トップでチェッカー。逆転チャンピオンに向け、一縷の望みをつないだ。
一方のIA250でも、勝谷武史(Honda RC250M)が予選で健闘してB組をトップで通過。スタートで中盤以下に出遅れた高濱龍一郎(Honda CRF450R)は、6位まで挽回して予選を終えた。また、第7戦の近畿大会から復帰した小方誠(Honda)も同組で、釘村太一(Yamaha)、増田一将(Suzuki)に続く4位で通過し、決勝での走りが期待された。
▼250ccヒート1 スタートで飛び出した小池田猛(Yamaha)を抜き、1周目に高濱がトップを奪った。その後に増田、小池田、釘村と続く。高濱は渾身の走りで、2位に浮上してきた増田との差を徐々に広げていく。一方で、スタートで出遅れた勝谷も混戦を抜け出し、5周目には5位、6周目には3位に浮上。そして、ペースの上がらない増田を後方からプッシュし始める。
ところが、7周目に突如、高濱がペースダウン。増田、勝谷に差を縮められ、9周目にはその2台に先行を許してしまう。さらに10周目には、9コーナーで転倒を喫し、高濱は9位まで後退。その後もペースを上げられず、厳しいレース展開となった。
13周目、増田を攻め続ける勝谷が、ついにトップへ。増田も負けじと勝谷に詰め寄ったが、勝谷はゴールまで逃げ切り、嬉しいIA250初優勝を飾った。3位には釘村、4位には小池田、5位には成田亮(Suzuki)というオーダーでヒート1は幕を閉じ、この時点で成田のチャンピオンが決定した。
▼250ccヒート2 スタートで前に出た勝谷と高濱。これまでには見られなかった勢いで、HRCの2台がレース序盤をリードした。後方では、田中教世(Kawasaki)、大河原功次(Yamaha)、増田がし烈な3位争いを展開。レースが動いたのは6周目で、増田が3位の田中を抜き、Honda勢に襲いかかる。7周目には高濱、8周目には勝谷がパスされ、増田がそのままレースをリード。その後、高濱のペースは上がらず、追い上げてきた成田、田中、そして大河原にも先行され、小池田にも迫られる。
終盤、2位を走行する勝谷もペースを上げられず、トップの増田との差も10秒以上となった。集中力を切らした成田は7位まで後退し、単独3位の田中の後方では、大河原、小池田、そして息を吹き返した高濱の激しいバトルが展開されていた。
結局、増田がリードを守り優勝。勝谷、田中、小池田、高濱の順でチェッカーを迎えることとなった。
▼125ccヒート1 ホールショットを奪った溝口と、それを追いかける辻の2人が、序盤からレースをリードする。少し遅れる形で福留善秀(Suzuki)、出原忍(Yamaha)、井上眞一(Kawasaki)と続く。
中盤、辻はトップの溝口に2〜3秒のリードを許すものの、徐々にその差を縮め始める。3番手の福留との差は10秒以上となり、この2台のトップ争いに注目が集まった。
ラスト5周、辻と溝口との差は1.5秒。そして、残り3周で1秒以内となり、レースは終盤戦を迎えた。届きそうで届かない溝口のテール。必死に食い下がる辻…。しかし、あと一歩というところでチェッカーが振られ、辻は悔しい2位。そう簡単にチャンピオンは獲らせないという、辻の気迫が伝わる走りだった。3位には福留、4位には井上、5位には出原が入った。
▼125ccヒート2 中盤に突入し、レースは溝口、尾崎友哉(Yamaha)、福留のオーダーとなっていた。9周目、福留が尾崎をパスして、さらにペースが落ち始めた溝口に迫る。そしてテール・トゥ・ノーズとなった15周目、ついにトップが入れ替わる。福留は溝口を離しかけるものの、ラストラップで溝口が巻き返して急接近。しかし、福留がトップを守って、全日本初優勝を果たした。3位には尾崎を抜き、出原が入った。
怒涛の追い上げを見せ、なんとしてでも溝口のチャンピオンを阻止したかった辻だったが、終盤にも転倒を喫し、左肩を負傷。結局、ノーポイントでこのヒートを終え、チャンピオンは溝口に決まった。
●高濱龍一郎(250cc・12位/5位)
「ヒート1、2ともスタートでうまく前に出られて良い感じだったんですけど、九州で痛めた手首が痺れてきて、レース後半になってバイクを抑えられなくなりました。もう必死だったんですけど、両ヒートともペースダウンしちゃいました。でも、これさえ治せば、トップを走れるスピードはあると思うので、最終戦は期待してください。表彰台の真ん中に帰ってきます」
●勝谷武史(250cc・1位/2位)
「ヒート1は、理想的と言えるレース展開でした。スタートで出遅れたんですけど、徐々に追い上げていって、増田選手の後ろについたとき、差が縮まり出したんです。で、今日は行けるって思って、後半さらにペースアップしました。IA250に上がって3年目の優勝…。ここまですごく長かったです。ヒート2はスタートで出られたんですけど、ヒート1で本当に力を出し切ったので、増田選手に優勝を奪われました。完全優勝を狙ってたんですけどね…。後は最終戦だけですが、もっと良いところを見せられるように頑張ります」
●辻健二郎(125cc・2位/27位)
「今日は100%で、溝口選手とぶつかり合えたと思ってます。ヒート1はスタートで前に出られて、ずっと全開で走ってたんですけど、溝口選手には届かなかった。ヒート2は、井上選手の転倒を避け切れずに転倒したんです。再スタートしてから、とにかく1ポイントでも取ろうって追いかけたんですけど、限界を超えてしまって、終盤にまた転倒…。路面もかなり荒れてたんで、どうしようもなかったです。チャンピオンを逃す結果になりましたが、気持ちはさっぱりしてます。やり切ったって満足感もあります。でも正直、悔しいです…」
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