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250ccヒート1で4位入賞を果たした勝谷 |
第8戦の会場は、阿蘇山の裾野にあるHSR九州。土日とも好天に恵まれたため、コース上には舞い上がる砂塵が増え、頻繁に散水を施しながらのレース開催となった。チームHRCは、125ccクラスでCRF250Rを駆る芹沢直樹(Honda CRF250R)が、前戦で負ったけがのため欠場。一方の250ccクラスは、上り調子の高濱龍一郎(Honda CRF450R)と勝谷武史(Honda RC250M)がシーズン終盤のこのレースに臨んだ。
土曜の予選レースでは、高濱が転倒リタイアを喫すハプニングがあり、その際に頭部と上半身を強打して、決勝レースへの影響が心配された。高濱にはシード権があるため、決勝には進めたが、グリッド順が最後になってしまい、不利なアウト側からのスタートとなった。
▼250ccヒート1 ホールショットの大河原巧次(Yamaha)をかわして、オープニングラップでトップに立ったのは釘村太一(Yamaha)。勝谷は1周目4番手、高濱は8番手につけた。2周目、勝谷がミスにより7番手に後退。高濱もペースが上がらず、苦しい序盤となった。4周目には混戦が整理され、トップに成田亮(Suzuki)、そして田中教世(Kawasaki)、釘村、大河原が続くオーダーとなり、ここから先は成田vs田中のデッドヒートが繰り広げられた。
トップ2台の背後には、やがて増田一将(Suzuki)が浮上してくる。レース中盤になり、3周ほど田中がトップを走ったが、12周目に成田がリーダーに返り咲くと、田中の勢いが衰え、16周目には増田が2位に浮上。ポジションアップを図る勝谷は、レース中盤に大河原、釘村を立て続けにパスし、4位まで挽回した。一方で前日の転倒で満身創痍の高濱は、ペースを上げることができず、中団から抜け出せないままだった。
終盤トップの成田に増田が接近したが、成田が僅差で逃げ切って優勝。勝谷は田中に次ぐ4位をゲット。高濱は10位にとどまった。
▼250ccヒート2 好スタートを切った増田が1周目からトップに立ち、大河原、渡辺学(Yamaha)が続く形で始まったヒート2。高濱は11番手、勝谷は出遅れてさらに後方の集団に飲み込まれてしまった。序盤にして独走態勢に持ち込んだ増田だったが、背後では成田と田中が2番手グループに浮上、増田のリードが徐々に削り取られていく展開となった。
中盤8周目には、高濱が6番手と躍進。勝谷もトップ10まであと一歩のところまで挽回してきた。11周目にはリーダーが増田から成田に代わり、2台はテールトゥノーズのまま周回を続けた。
レース終盤になると、高濱が前を行く大河原に急接近。ラスト1周で大河原を抜き去った高濱は、5位入賞を果たした。勝谷は順調にポジションアップを遂げ、8位でフィニッシュ。トップ争いは接戦のまま、成田、増田の順でチェッカーとなった。
▼125ccヒート1 溝口哲也(Kawasaki)がホールショットから飛び出し、福留善秀(Suzuki)、折原徹(Honda)、深谷広一(Suzuki)、辻健二郎(Honda)と続く。散水で滑りやすくなった部分で転倒が相次ぎ、福留、折原らが脱落。これで上位は溝口、深谷、辻というオーダーに変わった。
中盤に差しかかった7周目、辻が2番手に浮上し溝口を追走する。一時は7秒ほど離されたビハインドを、終盤では2秒差まで挽回した辻だったが、溝口にはわずかに及ばず2位でチェッカーを受けた。また、辻と同様にCRF250Rを駆る折原は、レース後半の粘りでポジションを挽回し、A級2年目の自己ベストとなる5位入賞を達成した。
▼125ccヒート2 オープニングラップで溝口、福留、辻というトップ3が形勢され、この中から溝口が徐々にリードを広げていく。辻は激しいバトルの末、6周目に2番手に浮上し、溝口との差を詰めにかかった。
逆転への期待が高まる態勢ではあったが、レース後半になると溝口がリードを広げ、2位辻、3位福留というポジションが確定。ヒート1同様、溝口がスタートトゥフィニッシュを決めたレースとなった。好調の折原は、好スタートからセカンドグループでレースを進め、このヒートでも5位入賞。CRF250Rのポテンシャルをアピールした。
●高濱龍一郎(250cc・10位/5位) 「予選のクラッシュは、砂ぼこりで前が見えなくて、ジャンプの飛び出しで大きな石に乗ってしまったんです。それで前転して、脳しんとうと、首と肩と手首を痛めて、それから肋骨もヒビがいってるかも…。痛くて深呼吸できない状況です。今日は精一杯やったけど、ヒート1は晴れ用のタイヤで行ったら、予想以上に散水個所があって、ペースが上がりませんでした。ヒート2の後半でようやくいい走りができるようになったのは、メカニックのサインのお陰です。調子自体は良かったので、また前を走れる自信はすごく高まっています」
●勝谷武史(250cc・4位/8位) 「脱臼した肩の治り具合は70%ぐらいで、30分走り込めるようになったのもごく最近のことです。前回の名阪よりは回復しているのですが、成績が下がったのが残念です。ヒート1は水を撒いたところで滑って、転倒こそ免れましたが、大きく順位を下げてしまいました。ヒート2はスタート自体は決まったんだけれど、1コーナーでかぶせられて引いちゃいましたね。でも、言い訳はしたくないので、広島までにはコンディションを90%に持っていって、菅生には100%で臨みますよ」
●辻健二郎(125cc・2位/2位) 「ヒート1は最後、1秒ちょっとまで追い上げたんですけど、あと少し届かなかったですね。途中でミスしてラップが3秒くらい落ちた時があって、それが命取りになったなと思っています。ヒート2は序盤に8番(福留)と競ってしまって、その間に逃げられちゃいましたね。チャンピオンを取る可能性は残っていますが、もう大差をつけられているし、テツ(溝口)のミスを待ってもしようがないので、毎戦アタマを取ることだけを考えて、攻めるしかありません」 |