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転倒後の追い上げで3位入りを果たした高濱 |
今シーズンもいよいよ終盤に突入し、残すところ今大会を含めて4戦となった。
ここ名阪スポーツランドは、兵庫出身の高濱にとってはホームグラウンド的存在であり、駆けつけたファンの前でその雄姿を見せる最高の場。また勝谷にとっては、前戦で肩を脱臼してリタイアを喫しているだけに、今大会ではその悔しさをぶつけたいところだ。一方IA125の芹沢と辻は、チャンピオン獲得に向けて、優勝が必須条件となる終盤の1戦となる。
長いインターバル後に幕を開けた近畿大会は晴天に恵まれたが、予想以上に気温が上昇し、ライダーにとっては体力の消耗と格闘するレースとなった。
▼250ccヒート1
ホールショットは成田亮(Suzuki)が奪い、すぐさま増田一将(Suzuki)との1-2フォーメーションを形成。今シーズンの流れから、この2人がレースをリードするかに思われたが、高濱龍一郎(Honda CRF450R)がそのパターンを崩した。スタートで4位と好位置につけ、小池田猛(Yamaha)を抜き3位へ浮上した高濱は、猛然と前の2台を追いかける。
7周目、増田がトップの成田を捕らえる間に、高濱が急接近。虎視眈々と2人のバトルを見ていた高濱は、10周目に成田、増田を一気に抜き去りトップへ。観客に優勝を意識させる猛烈な勢いだった。しかし、周回遅れが行く手に現れ始めると同時に、再び増田、成田に先行を許してしまい、3位でレースを終えた。
スタートで出遅れた勝谷は、中盤から渡辺学(Yamaha)、納屋望(Suzuki)、釘村太一(Yamaha)らと激しい5位争いを繰り広げていたが、それを制し、最後は小池田まで抜いて4位を獲得。カムバック戦としては立派なリザルトを残した。 ▼250ccヒート2
高濱、勝谷とも、スタートで失敗してしまい、中盤からの追い上げレースとなった。しかし、今日の高濱には強烈な勢いがあった。2周目には8位、3周目には5位、4周目には3位まで追い上げ、前を走る成田、増田にプッシュ。地元の高濱ファンの手にも力が入り、Suzukiの牙城を高濱が打ち砕く瞬間を待ちわびた。勝谷も徐々にペースを上げ、5周目には9位に浮上していた。
ところが6周目、3コーナー出口の下りで、高濱がまさかの転倒。10位まで順位を落とす。しかし、再スタートを切った高濱の勢いは途絶えてはいなかった。ハイペースで順位を上げていき、残り8周で4位まで挽回。成田、増田に続く3位の納屋に迫った。
残り2周、高濱が消耗した納屋に接近し、一気に抜き去り3位でチェッカー。ヒート1のトップ争いもさることながら、ヒート2のこの追い上げも、高濱の復活を予感させるものだった。勝谷は粘りのレースで6位を獲得。ケガでバイクに乗れなかったインターバルはあったが、今大会ではファクトリーライダーとしてのプライドをしっかりと見せてくれた。
▼125ccヒート1
スタートを決めたのは、溝口哲也(Kawasaki)、井上眞一(Kawasaki)。辻健二郎(Honda)は3番手につけ、すぐさま2位へ浮上。芹沢直樹(Honda CRF250R)も5番手とまずまずのスタートだったが、2コーナーまでの混戦の中で8位へと順位を落としてしまう。
4周目、辻がトップの溝口を捕らえたが、すぐさま逆転を許し再び2位へ。辻はその後、出原忍(Yamaha)にも抜かれてしまい、3位を単独走行し、ラスト3周で出原のテールに迫ったが、結局3位でレースを終えた。
一方の芹沢は、5周目には6位まで順位を上げ、前の小島庸平(Suzuki)に猛プッシュ。しかし7周目、2コーナーから3コーナーへ向かう下りのジャンプで、競り合う他車と空中で接触。芹沢はコース外に着地して転倒し、ダメージを受けリタイアとなった。 ▼125ccヒート2
ホールショットは溝口。その後に井上、中澤裕伺(Yamaha)、佐合潔(Honda CRF250)、そして辻と続く。ヒート1の転倒ダメージが大きかった芹沢が、このヒートはサイティングラップを走った後に出走を断念していたので、Hondaの期待を背負った辻に注目が集まっていた。
3周目、井上が溝口を抜きトップに立つ。辻も中澤、佐合を抜き、3位まで順位を上げ、溝口に肉迫。4周目、溝口を抜き辻は2位へ浮上。溝口はその後、徐々にペースが落ちて後退していったが、トップの井上のペースが思った以上に速かった。約4秒の差が縮まらないまま、レースは終盤へ突入していった。
残り4周、突然、辻に勝機が訪れた。トップの井上がスリップダウンし、その隙にトップの座を奪ったのだ。井上は2位でレース復帰、3位は出原。最終ラップ、北居良樹(Suzuki)が出原を抜き3位に浮上すると、そのオーダーのままレースは終了。辻は第3戦以来の優勝を果たし、残り3ラウンドで逆転チャンプを誓った。
●高濱龍一郎(250cc・3位/3位)
「トップとの差は感じるんですけど、本来の僕に戻りつつあります。前戦からの長いインターバルの中で色々考えたんですけど、まだまだ僕の中に甘えが残ってたことに気づきました。誰もが頑張ってる中で、自分ってまだまだちゃうかなって。生まれ変わるつもりで頑張るので、残りのラウンドは期待していてください」
●勝谷武史(250cc・4位/6位)
「相変わらずスタートが悪くて追い上げのレースだったんですけど、藤沢で肩を脱臼してからずっとバイクに乗れなくて、1週間前にやっと乗れるようになったんです。それが成績に出ましたね。九州までには乗り込んで、必ずトップ争いに加わって、藤沢みたいな勢いを見せます」
●辻健二郎(125cc・3位/1位)
「ヒート1は溝口選手のペースが思ったより上がらなかったんです。だから抜いたんですけど、その後に僕もリズムを崩しちゃって転倒やミスがありました。でも、終盤に調子が戻って表彰台に立てました。価値ある3位だと思います。ヒート2は思い通りのレース展開、そして結果でした。久々の優勝で嬉しかったです」
●芹沢直樹(125cc・DNF/DNS)
「ヒート1、追い上げ途中に接触してしまって、不安定な状態でジャンプを踏み切ってコースアウト。右足と右手を痛めてしまいました。骨折はしてないと思いますが、ヒート2は欠場して皆に迷惑をかけてしまいました。ノーポイントに終わったので、チャンピオンの獲得は難しくなりましたが、残り6ヒート、すべて優勝するつもりで頑張ります」
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