去年まで住んでいたこともあり、インディは地元のような気がします。5月はチームの雰囲気も違うというか、みんなの想いがこのレースに集中しているのが自然と解りますから、特別なレースなんだと改めて感じますね。特に意識はしなくても、自然とテンションが上がるレースです。街中でもよく『ヒデキ!』って声をかけられますし、やさしい人が多い街ですよ。
このコースには似たようなコーナーが4つあるんですが、性格は全部違います。ターン1(A)は比較的バンクを感じるというか、一番グリップを感じるコーナーで走りやすいんですが、逆に次のターン2(B)はすごくフロントが抜けやすく、急にフロントが軽くなってアンダーステアになりがちです。入り口にはバンプもあるので、けっこう難しいですね。
ターン3(D)はある意味、コーナーとしては一番簡単です。ターン1(A)と同じ幅とは思えないほど広く感じるし、あまり気を使わなくていい。でも次のターン4(E)は日によって風に影響されやすく、時間によって風の強さが変わるので注意しないといけません。フロント・ストレート(F)も日陰になるとグリップが変わって後ろが少し軽くなるので、ターン1(A)への進入は気を使いますね。
ターン4(E)を立ち上がってフロント・ストレート(F)に入ると、威圧感のようなものを感じます。やっぱり両側にずうっとスタンドがあるからでしょうか。ファンの数もすごいし、ちょっと狭く感じるほど。反対にバック・ストレート(C)はスタンドがない分、開放的な感じです。バンプもなくフラットなので、走りやすいですね。
クルマのセットアップは予選用と決勝用で、まったく別物に仕上げなければならないです。予選は4周で、その平均スピードで争われるのですが、全周に渡って速く走るのはすごく難しい。決勝は200周で、レース中に風向きが変われば、タイヤ・カスも多くなるので、クルマのバランスを合わせるのが大変です。コクピット内で何度もウエイト・ジャッカー(クルマの重心を変える装置)で調整し、常にバランスを整えることが重要ですね。
2008年成績:予選9位 決勝7位
フロント・ストレートは約1キロにも及び、両側のスタンドは観客で埋め尽くされる