モータースポーツ IRL インディカー・シリーズ松浦孝亮のだからインディはおもしろい!
松浦孝亮の「実感篇 だからインディはおもしろい!」

vol6
6.ドラフティングを使っても
そんなに速くはならない。

むしろ、ハンドリングを乱す乱気流の影響がイヤ。
ドラフティングというより、インディドライバーの間ではタービュランスと呼ぶことが多いね。先行するマシンの真後ろにつくと、風が遮られて風の抵抗が減り、速度が上がって先行車を抜くことができるという現象のこと。F1ではスリップストリームって言うよね。
でも、インディの場合、このタービュランスを利用しても、スッと先行車を追い抜けるほど速度は上がらないんだ。F1マシンはリアに空気を整流する板(ディフューザー)がついていて、マシンの後ろでは空気が跳ね上げられて真空状態に近くなるから、先行車の真後ろにつくと極端に抵抗が減って速度が上がるんだ。でもインディカーの場合、そのディフューザーがないのでマシンの後ろも風が乱れて残っている。だから真後ろについてもそれほど速度が上がらない。
ただし、インディの場合、前に3台とか4台マシンが並んでいることが多いでしょ。そんなときタービュランスを利用すると速度が上がって、ズバッと先行車を抜けるよ。

それよりも、インディで言うタービュランスは、マシンのハンドリングが乱れるのでむしろ嫌なくらい。タービュランスに入ると、いきなりアンダーステア(フロントが外に膨らむ)やオーバーステア(リアが外に膨らむ)になるのでコントロールしにくくなる。この現象を逆利用して、アウトからかぶせ、後続車を自分のマシンのタービュランスの中に入れてハンドリングを乱させた上で抜いていく、という高度なテクニックもある。


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