インディ500のとても、とても変わった予選方式
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 インディアナポリス500(以下、インディ500)の予選は、世界の他のどんなレースの予選にも似ても似つかない方法で行なわれる。それは、とても変わった、非常にユニークなシステムである。
 まず違うのは、どんなドライバーであってもインディ500では絶対に予選を通過しなければならない点だ。NASCARではクラッシュやマシントラブルなどで予選を通過できなかったレーサーたちのために、通常スターティンググリッドの最後尾に救済処置的なスポットが設けられている。この暫定スターティンググリッドによって、例えばトニー・スチュアート(現NASCARチャンピオン)がエンジントラブルでタイムを出せなかったとしても、最後尾からレースには出場できるようにできている。
 F1においても、もしミハエル・シューマッハのエンジンが予選中に壊れても、ピットレーンからスタートすることによって、レースには参加でき、人気レーサーの走りを楽しみに来ているファンたちを、ある程度満足させることができるようになっている。

 そういった温情はインディ500には一切ない。インディ500ではドライバーが予選を通過するのではなく、実はマシンが予選を通過しなければならないといえる。一旦予選が始まるや、たとえ輝かしい戦歴を誇るベテラン・レーサーのマイケル・アンドレッティであっても、経験という財産以外にまったくアドバンテージはなく、2003年ルーキーのロジャー安川と同じコンディションで戦わなければならないのだ。

 2003年のインディ500の予選は以下のようなシステムで行なわれた。
 2003年は、予選が4日あった昨年までとは異なり、5月10日の土曜日、5月11日の日曜日、そして5月18日の日曜日の3日間にわたってインディ500の予選が行なわれた。5月4日にゲートオープンし、最初の予選日の5月10日までの一週間、各チームは本戦の行なわれるインディアナポリス・モーター・スピードウェイでテストを繰り返し、予選通過のためのセッティングを入念に行なう。
 予選のスタート順は、予選日前日の夜に抽選によって決められる。無論、この抽選も公正に行なわれ、マイケル・アンドレッティも、ロジャー安川も、ケニー・ブラックも、予選走行を行なう順番は純粋にクジ運で決まるのだ。

 予選は、ウォームアップを2周(サーキットの気温が10度以下の場合は3周)行なう。最高時速225マイル(約363km)で壁すれすれにアタックを繰り返す予選では、タイヤ温度は非常に大事な要素となり、タイヤが充分温まっていないとたちまちトラクションを失い、指から弾き飛ばされた輪ゴムのようにマシンは壁に叩きつけられてしまうことになる。ウォームアップラップが済むと、各ドライバーは4周の予選アタックを行ない、その4周の平均速度で予選通過が決まる仕組みになっている。
 実は、予選アタックはウォームアップ走行のあとに自動的に始まるとは限らない。ピットクルーが予選アタックをコントロールする仕組みになっていて、自分のチームのピットクルーがグリーンフラッグを振らない限り予選アタックは始まらないし、予選アタック中に、自分たちのチームのマシンが満足のいく走りをしていなければ、4周のアタックが終る前にイエローフラッグでドライバーをピットに呼び戻したりする。もちろんドライバー自身の判断でピットに戻ってくることもあるが。
 1日に3回、計12周の予選アタックができることになっていて、ピットに戻るたびにドライバーは新しいマシンに乗り換えてはコースへと出て行く。

(選手名や数字などの記述、写真等は2003年時のもの) 
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