round 11

August 07 2011, RACE
IZOD IndyCar Series Honda Indy 200 presented by Westfield Insurance
第11戦 ミッドオハイオ

スコット・ディクソンがライバル勢を圧倒して今季初勝利
佐藤琢磨は予選9番手から自己ベストの4位フィニッシュ

IZODインディカー・シリーズ第11戦は、オハイオ州のほぼ中央に位置する都市、コロンバスの郊外にあるミッドオハイオ・スポーツカー・コースで27台のエントリーを集めて開催されました。コロンバスはホンダオブアメリカマニュファクチャリング・インコーポレーテッドのファクトリーがあるメアリーズビルからも近く、決勝日が快晴に恵まれたことも手伝って、多くのファンがサーキットに詰めかけ、レーススタートの時を待ってコースサイドに陣取っていました。

アメリカ屈指のテクニカルさを誇るミッドオハイオ・スポーツカー・コースは、今年で50周年。記念すべき年に開催されたHondaインディ200は、インディカーならではのスピードと、エキサイティングなバトルで、集まったファンが堪能できるレースとなりました。

全長2.258マイルのコースを85周するレースは、アクシデントによるフルコースコーションが2回しか出されなかったことからハイペースで進み、2回のピットストップでゴールまで走りきれる展開となりました。ポールポジションからスタートしたスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)は、レース序盤はピットタイミングをずらしたルーキーのジェームズ・ヒンチクリフ(Newman Haas Racing)にトップを走らせ、2回目のピットストップのタイミングでちょうど出されたフルコースコーションによって、チームメートのダリオ・フランキッティ(Chip Ganassi Racing)に先行を許すシーンもありましたが、プラクティスと予選で保ち続けてきた速さを決勝レースでも変わることなく発揮し、リスタート後にフランキッティをパスしてトップに返り咲くと、リードを7秒以上にまで広げて悠々とゴールしました。

  • 左からダリオ・フランキッティ、スコット・ディクソン、ライアン・ハンターレイ左からダリオ・フランキッティ、スコット・ディクソン、ライアン・ハンターレイ
  • スコット・ディクソンスコット・ディクソン
  • ダリオ・フランキッティダリオ・フランキッティ
  • ライアン・ハンターレイライアン・ハンターレイ
  • 佐藤琢磨佐藤琢磨
  • 佐藤琢磨佐藤琢磨
  • 佐藤琢磨佐藤琢磨

圧倒的なパフォーマンスで勝利したディクソンでしたが、この優勝は今シーズン初めてのものとなりました。キャリア26勝目で、ミッドオハイオでは3勝目。また、53点という高得点を1レースで稼ぎ、ポイント2位のウィル・パワー(Team Penske)が14位と低迷したことから、差を68点から一気に31点まで縮めました。また、ランキングトップのフランキッティも、2位のパワーに62点もの差をつけ、シリーズタイトル争いをさらに有利な状況へ進めています。

予選9番手だった佐藤琢磨(KV Racing Technology-Lotus)は、決勝前のファイナルプラクティスでは27台の中で26番手のラップタイムしか出せませんでしたが、今週末に3台体制のチームが集めたデータを再度検討して決勝用セットアップを考案し、スタートに臨みました。レースを走り出すと、佐藤のペースは十分に競争力があり、60周目のリスタートでは6番手から4番手へジャンプアップ。前を走るライアン・ハンターレイ(Andretti Autosport)をパスすべく全力での走行を続けましたが、惜しくも届かずに4位でのゴールとなりました。佐藤のキャリアベストは今年のセント・ピーターズバーグとテキサスでの5位だったため、今日の4位によって自己ベストの更新を成し遂げました。

次戦は来週、東部ニューハンプシャー州ラウドンで開催される225マイルレース。1995年にHondaがアメリカン・オープンホイールの最高峰シリーズで初めての勝利を記録した1マイルオーバル、ニューハンプシャー・モーター・スピードウェイでのレースです。

コメント

スコット・ディクソン(優勝)「ずっと勝てていなかったので、久しぶりの優勝はとてもうれしいです。プラクティス、予選、そして決勝と我々Chip Ganassi Racingのマシンは本当に速く、安定していました。今年から、ミッドオハイオ向けに新たに投入されたタイヤによるものか、路面が変化したのか、週末を通してコースは非常に滑りやすく、マシンのセットアップもドライビングも本当に難しいものになっていたと思います。我々はライバル勢よりも安定感があり、勝利をつかむことができました。献身的に働き続けてくれているクルーたちのためにも、今日勝つことができたことをとても喜んでいます。残るレースでもできる限り多くのポイントを稼ぎ、一つでも上のランキングへと上がれるよう全力を尽くしていきます」

ダリオ・フランキッティ(2位)「1回目のピットストップのあとには燃費セーブに徹し、できるだけピットインのタイミングを遅らせようとがんばっていました。それを成功させ、スコット・ディクソンの前に出ることに成功したのですが、レース終盤のリスタートのあとにパスされてしまいました。ディクソンは先週のテストの段階からチームメートの私より少し速かったのですが、今週もプラクティス、予選と続けて彼は優位を保っていました。そして、レースでも彼は本当に速かったです。トップに立った彼はリードを広げていったため、私はタイヤをいたわってライアン・ハンターレイにパスされないよう慎重に、冷静に走り続けました。それがディクソンとの差をさらに広げることにつながりました。しかし、私は最後までアタックを続けてきたハンターレイの前の2位でゴールすることができました。チャンピオン争いを行っている相手であるウィル・パワーは、今日はまったく不運でしたね」

ライアン・ハンターレイ(3位)「ブラックとレッド、2種類のタイヤを使ってのレースは本当に難しかったと感じていますが、それこそがシリーズにタイヤを供給しているファイアストンの狙っているところです。タイヤが2種類あることによって、レースはとてもおもしろいものになっていました。リスタート直後のマシンはコントロールが難しく、何度もアクシデントを起こしそうになっていました。最後はダリオ・フランキッティとのバトルになりましたが、我々のペースはほぼ同じで、トップを行くスコット・ディクソンは我々よりも速いペースで逃げていってしまいました。3位という結果は、とてもうれしいものです」

佐藤琢磨(4位)「4位は自己ベストですからうれしいです。今週末はスムーズにスタートを切れず、予選は9番手でした。トップ10入りできた予選結果は決して悪いものではありませんでしたが、昨年のこのコースで予選3番手だった自分としては、今年は最前列を狙っていましたから、9番手はものすごくガッカリしました。決勝日のウオームアップでは、チームの3台が全部異なるパッケージで走り、自分のマシンはあまりよくなくて、26番手という順位でした。そこからデータをしっかり見直した結果、レースではいいペースで走ることができました。リスタートもトラブルを避けてポジションアップできていました。トップ3にはあと一歩届きませんでしたが、そこにチャレンジをするレースができましたし、残るシーズンへ向けていい手応えをつかむことができたと思います」

エリック・バークマン|HPD社長「オーバーテイクは少なかったかもしれませんが、このコースはそれが難しいのです。緊張感のある張り詰めたエキサイティングなレースとなっていました。ピットストップのタイミングなどを利用して順位を上げることもミッドオハイオでのレースでは必要です。85周というレース距離は、作戦の重要性を高めていると思います。フルコースコーションの出るタイミングや回数もそこにはからんできますからね。ルーキーのジェームズ・ヒンチクリフは見事なレースを戦っていましたが、コースアウトで上位フィニッシュを逃しました。しかし、彼は能力の高さを見せました。佐藤琢磨もポテンシャルの高さを見せ、もう少しで表彰台という4位でフィニッシュしました。とても多くのファンが集まってくれたミッドオハイオでのレースは、好天にも恵まれ、とてもすばらしいものとなりました」

決勝
順位 No. ドライバー チーム C/E/T タイム
19スコット・ディクソンChip Ganassi RacingD/H/F1:48:46.9509
210ダリオ・フランキッティChip Ganassi RacingD/H/F+7.6508
328ライアン・ハンターレイAndretti AutosportD/H/F+9.0784
45佐藤琢磨KV Racing Technology-LotusD/H/F+12.3062
582トニー・カナーンKV Racing Technology-LotusD/H/F+19.9748
677アレックス・タグリアーニSam Schmidt MotorsportsD/H/F+20.6267
726マルコ・アンドレッティAndretti AutosportD/H/F+20.9094
82オリオール・セルビアNewman Haas RacingD/H/F+23.0252
919セバスチャン・ブルデーDale Coyne RacingD/H/F+23.6411
1014ヴィットール・メイラA.J. Foyt EnterprisesD/H/F+26.2582
1183チャーリー・キンボールChip Ganassi RacingD/H/F+27.4550
1278シモーナ・デ・シルベストロHVM RacingD/H/F+29.0438
13 22シモン・パジェノーDreyer & Reinbold RacingD/H/F+29.7880
1412ウィル・パワーTeam PenskeD/H/F+42.5675
1559E.J.ヴィソKV Racing Technology-LotusD/H/F+45.3255
166ライアン・ブリスコーTeam PenskeD/H/F+45.7141
1724アナ・ベアトリスDreyer & Reinbold RacingD/H/F+47.0943
1817マーティン・プロウマンSam Schmidt MotorsportsD/H/F+48.3700
193エリオ・カストロネベスTeam PenskeD/H/F+48.8679
2006ジェームズ・ヒンチクリフNewman Haas RacingD/H/F+49.4093
217ダニカ・パトリックAndretti AutosportD/H/F+59.9851
2267エド・カーペンターSarah Fisher RacingD/H/F+69.2913
2318ジェームズ・ジェイクスDale Coyne RacingD/H/F+69.5303
2438グラハム・レイホールChip Ganassi RacingD/H/F+2Laps
254J.R.ヒルデブランドPanther RacingD/H/F+4Laps
2627マイク・コンウェイAndretti AutosportD/H/F+22Laps
2734セバスチャン・サーベドラConquest RacingD/H/F+65Laps
ポイントスタンディング
順位 ドライバー マシン 総合ポイント
1ダリオ・フランキッティChip Ganassi Racing428
2ウィル・パワーTeam Penske366
3スコット・ディクソンChip Ganassi Racing335
4トニー・カナーンKV Racing Technology-Lotus283
5オリオール・セルビアNewman Haas Racing268
6マルコ・アンドレッティAndretti Autosport258
7ライアン・ブリスコーTeam Penske253
8グラハム・レイホールChip Ganassi Racing230
9エリオ・カストロネベスTeam Penske224
10J.R.ヒルデブランドPanther Racing222
11アレックス・タグリアーニSam Schmidt Motorsports214
12佐藤琢磨KV Racing Technology-Lotus212
13ライアン・ハンターレイAndretti Autosport211
14ヴィットール・メイラA.J. Foyt Enterprises209
15ダニカ・パトリックAndretti Autosport207
16マイク・コンウェイAndretti Autosport190
17ジェームズ・ヒンチクリフNewman Haas Racing185
18ジャスティン・ウィルソンDreyer & Reinbold Racing183
19シモーナ・デ・シルベストロHVM Racing167
20E.J.ヴィソKV Racing Technology-Lotus162
21チャーリー・キンボールChip Ganassi Racing160
22アナ・ベアトリスDreyer & Reinbold Racing141
23セバスチャン・サーベドラConquest Racing130
24ジェームズ・ジェイクスDale Coyne Racing126
25セバスチャン・ブルデーDale Coyne Racing122
26エド・カーペンターSarah Fisher Racing84
27ポール・トレイシーDragon Racing68
28ラファエル・マトスAFS Racing67
29ダン・ウェルドンBryan Herta Autosport with Curb/Agajanian59
30アレックス・ロイドDale Coyne Racing58
31シモン・パジェノーDreyer & Reinbold Racing41
32ベルトラン・バゲットRahal Letterman Lanigan30
33トーマス・シェクターKV Racing Technology-SH Racing28
34ジェイ・ハワードRahal Letterman Lanigan Racing27
35デイビー・ハミルトンDreyer & Reinbold Racing26
36タウンゼント・ベルSam Schmidt Motorsports21
37バディ・ライスPanther Racing20
38ジョン・アンドレッティRichard Petty/Andretti Autosport16
39ピッパ・マンConquest Racing15
40マーティン・プロウマンSam Schmidt Motorsports12
41ワイド・カニンガムSam Schmidt Motorsports10
42ブルーノ・ジュンケイラA.J. Foyt Enterprises 0
43ホーピン・タンSchmidt Dragon Racing0
44スコット・スピードDragon Racing0