第15戦ケンタッキーが終了し、次はいよいよインディジャパンです! 今シーズンのこれまでの戦いを振り返り、注目のドライバーと絶対に見逃せないポイントをまとめました。白熱の2010シーズンもついに残り2戦、タイトルを左右する重要なインディジャパンで、今年はどんな感動のドラマが誕生するのでしょう?
6勝目をインディジャパンで狙うのが、ウィル・パワーです。開幕戦ブラジル、第2戦セント・ピーターズバーグ、第9戦ワトキンス・グレン、第10戦トロント、第13戦インフィニオンと今季5勝を挙げて現在ランキング・トップにいるパワー。今年からチーム・ペンスキーのレギュラーに抜擢された29歳のオーストラリア人は、インディカー・シリーズの新しいヒーローとして今年のインディジャパンにやってきます。
2005年からチャンプカーを戦ってきたパワーは、アメリカン・オープン・ホイール・シリーズ統合によって、08年からKVレーシングとともにインディカー・シリーズに参戦しました。昨年、脱税容疑の裁判(無罪)で休戦を余儀なくされたエリオ・カストロネベスの代役として、6レースだけのスポット契約でペンスキーから参戦。エドモントンで見せた圧勝をチームオーナーのロジャー・ペンスキーが高く評価し、今年のフル参戦が決まったのです。
みごとインディカーの新時代を切り開いたパワーですが、勝ったコースのすべてがロード/ストリート・コースで、オーバルは未勝利。インディジャパンで優勝すれば、オーバル初優勝が達成されます。パワーにとってツインリンクもてぎは初めてのコースであり、一見不利なように見えるものの、今年唯一のショート・オーバルである第8戦アイオワでポール・ポジションを獲得。同様の小さなターン3&4を持つツインリンクもてぎでの活躍も、十分に期待できるといっていいでしょう。
17ポイント差まで縮まり、ますます目が離せなくなっているのがチャンピオン争いです。第13戦インフィニオンでパワーがポール・トゥ・ウインを成し遂げ、今季5勝目をマークした時点で誰もが新チャンピオンの出現を予測したのではないでしょうか。今年から新設された、ロード/ストリート・コースのチャンピオンを決める“マリオ・アンドレッティ・ロード・コース・チャンピオンシップ”に輝いたパワーが、終盤のオーバル4連戦でも活躍するのは時間の問題だと考えられていました。
ところが実際にふたを開けた第14戦シカゴランドでは、ランキング2位の大ベテラン、ダリオ・フランキッティが最後のピットでタイヤ無交換の作戦に出て今季3勝目。パワーは燃料供給装置の不具合で燃料切れとなり、追加のピットを強いられて19位に終わったため、59ポイントもあった差が23ポイントに短縮しました。第15戦ケンタッキーではフランキッティが5位、パワーは8位でゴールしたことで17ポイント差まで短縮したのです。
パワーとしては、残り2戦で再びフランキッティとの差を広げたいところ。しかし前述のとおり第16戦インディジャパンの舞台、ツインリンクもてぎは初めてのコースで、成田空港での乗り継ぎ以外、パワーは日本滞在の経験もありません! 一方のフランキッティは今年が11度目となるツインリンクもてぎのレースで、優勝こそないものの2位2回、3位2回と4回のトップ3フィニッシュを記録。フランキッティ有利で迎えるインディジャパン、チャンピオンシップの行方やいかに。
27ポイントの差をつけてフランキッティがランキング・トップにいるのは、今年から始まった“AJフォイト・オーバル・チャンピオンシップ”です。今シーズンただ一人オーバルで2勝(第6戦インディ500と第14戦シカゴランド)しているフランキッティは、オーバルだけの年間王者を決めるこのチャンピオンシップの最有力候補として、インディジャパンにやってきます。
フランキッティに次ぐオーバル・ランキング2位は、チームメートのスコット・ディクソン。同ランキング3位のカストロネベスはフランキッティと29ポイント差、同ランキング4位のトニー・カナーンは31ポイント差と、まだまだ逆転が可能です。昨年のウイナーであるディクソンや、06年覇者のカストロネベス、07年ウイナーのカナーンといったインディジャパン優勝経験者が、フランキッティにどんな戦いを挑むのか注目しましょう。
3人の日本人ドライバーが凱旋することになった今年のインディジャパン。3年目の母国レースとなる武藤英紀の今シーズンのハイライトは、第5戦カンザスで予選4位、第15戦ケンタッキーで予選5位と得意のオーバルで2度もトップ5からスタートしています。まだレースでは思うような結果を残せていませんが、ニューマン/ハース・レーシングは昨年のインディジャパンで3−4位フィニッシュを達成しており、決勝に期待がもてます。
今年から参戦を開始した佐藤琢磨は、さすが元F1ドライバーだけに常設ロード・コースでその強さを発揮してきました。第9戦ワトキンス・グレンで予選5位、第12戦ミド-オハイオでは日本人の常設ロード・コースの過去ベストとなる予選3位に入り、2度トップ5スタートを記録。KVレーシングは昨年のインディジャパンで予選2位、決勝5位と好成績をマークしているので、ぜひ予選から注目したいところです。
第15戦ケンタッキーで急きょインディジャパン参戦が発表されたロジャー安川は、これでインディカー・シリーズに8年連続で参戦することになります。デビューした2003年から毎年参戦してきたわけですが、もちろん日本人としては最多であり、同時にインディジャパンでも日本人の最多出場となる6回目の参戦です。最近はモータースポーツ・ジャーナリストとしても活躍している安川、1年ぶりのインディカーでどんな走りを見せてくれるでしょう。母国で奮闘する日本勢の活躍に期待!