2010年のIZODインディカー・シリーズは14戦目を迎えている。これから最終戦の第17戦まではすべてが1.5マイル・オーバルでのレースである。高速オーバル4連戦が幕を開けるのは、アメリカ第3の都市、シカゴ郊外にあるシカゴランド・スピードウェイだ。
今回のラウンドに、エド・カーペンター(Panther Racing)、サラ・フィッシャー(Sarah Fisher Racing)とジェイ・ハワード(Sarah Fisher Racing)、デイビー・ハミルトン(de Ferran Dragon Racing)がエントリーしたことにより、シカゴでのレースにはインディ500を除けば今シーズン最大となる29台が集まった。そして、出場台数の多さにより、今回からIRLは予選方式を変更。これまでは4周連続のアタックが行なわれてきたが、今シーズンの残り4レースではアタックは2周連続とされ、その合計タイムで予選順位を決定する。
くじ引きでアタック順が決まるのはこれまで通り。今日の予選では4番目にアタックしたダリオ・フランキッティ(Chip Ganassi Racing)が、エリオ・カストロネベス(Team Penske)のベストを上回る平均時速215.593マイルを記録してトップに立った。フランキッティのトップはその後しばらく続いたが、18番目にコースインしたライアン・ブリスコー(Team Penske)が計測1周目に25秒2945=平均時速216.332マイルをマーク。2周目にスピードアップした彼は、出場29台中で唯一平均時速を216マイル台に載せてポールポジションを獲得した。これは今シーズン3回目、キャリア11回目、そしてシカゴランドでの3年連続のポールとなった。そして、Team Penskeにとっては今シーズン12個目のポール獲得である。フランキッティは予選2番手、予選3番手にはウィル・パワー(Team Penske)が食い込み、カストロネベスは予選4番手となった。
武藤英紀(Newman/Haas Racing)は2周平均215.055マイルで、予選結果は8番手だった。予選前のプラクティスで決勝用セッティングを重点的に行い、予選でも安定した走りを披露した武藤は、第5戦カンザス・スピードウェイでの予選4番手、第7戦テキサスでの7番手に次ぐ、好スタート位置を手に入れた。
佐藤琢磨(KV Racing Technology)は予選10番手。今回がキャリア5戦目とオーバルでの経験はまだまだ少ないが、これまでにも何度か予選でのパフォーマンスでチームメートたちを上回ってきた。今日の予選10位はオーバルのおける予選結果としては第8戦アイオワでの7位に続くもので、3台体制のチーム内でベストグリッド獲得を達成した。
土曜日の決勝スタートは、涼しくなり始める時間帯の夜7時過ぎに切られる。レースに近いコンディションでの走行となるファイナルプラクティスは、金曜日の夕方5時から30分間行われる。各チームとも、決勝用のマシンセッティングをこの走行セッションで完成させなければならない。
ライアン・ブリスコー(ポールポジション)「今日のマシンはピタリと決まっていた。アタックを終えた時、自信過剰になるつもりはなかったが、このタイムを破るのは難しいだろうと考えた。ダウンフォースは削れるだけ削ってあった。それでもマシンは安定していた。明日もこの調子で走れるとうれしい。過去2年ともシカゴでの我々のマシンはよく、レースを楽しむことができている。広くてスムーズなコースでのレースはとてもエキサイティングだ」
ダリオ・フランキッティ(2番手)「オーバルでの予選は、エンジニアリングの勝負を行う場になっている。あらゆる要素を完ぺきに揃えなくてはらならない。今日のブリスコーのように完ぺきに整えることができたら、望んだ結果を手にできる。ポールポジションのボーナスポイント1点を手に入れたかったが、それは果たせなかった。しかし、我々はフロントローからスタートする権利を手に入れた上に、レース用セッティングもかなりよいものにできていると思う。1.5マイルオーバルでのレースでは何が起きても不思議はない。一瞬ですべてが悪い方向へと進んでしまうケースも起こり得る。明日はレースを通してトップグループで戦い続けられることを願っているが、同時に何が起きても対応できるだけの準備も行うつもりだ」
ウィル・パワー(3番手)「プラクティスでは決勝用のマシンセッティングを順調に進め、予選用のマシンも非常に高いレベルで安定していた。レース用セッティングで走ったトラフィックの中でもマシンのハンドリングは好感触だった。シカゴランドの1.5マイルオーバルでは、毎年激しいバトルが休む間もなく演じられる。明日の夜に行われるレースが今から本当に楽しみだ。シーズン序盤のオーバルで我々はいい走りを見せたが、勝利を飾るところまでは到達できなかった。今シーズンが終わる前にオーバルで初勝利を挙げることは、我々に課された義務だと考えている」
武藤英紀(8番手)「プラクティスでは決勝用セッティングを重点的に行い、予選用セッティングはチームメートが試したものを借りました。215マイル台を出せたのはチームのエンジニアリングが優れていたからで、そうしたセッティングを使わせてくれたチームワークに感謝します。プラクティスからマシンの感じはいいのですが、予選でトップ10に食い込めるとは思っていませんでした。決勝用のマシンもいいものにできていると思いますが、夕方のウオームアップでトラフィック内でのハンドリングをさらに向上させたいです」
佐藤琢磨(10番手)「10番手はうれしい結果です。先に走ったドライバーたちのラインが私とは違い、そちらがいいと考えられたので、アタックでトライしてみました。ウオームアップラップでは高いラインを走って勢いをつけ、アタック1周目から新しいラインを走行。その1周目で得られたフィーリングをもとにして2周目にはさらにいい走りができました。マシンの仕上がりはよく、私の週末のベストを予選アタックの中で記録できました。レースに向けてはトラフィックでのハンドリングが重要なので、夕方のウオームアップでそれをよくしていこうと考えています」
ロジャー・グリフィス|HPD テクニカル・ディレクター「今回から予選が2周のアタックとルールが変更されたため、ピットから走り出した最初のラップから思う存分に攻めた走りを行う必要があり、同時にアタック2周をミスなく上手にまとめ上げる完成度の高さも求められる予選となっていた。そして、ブリスコーが見事な走りでポールポジションを獲得。フランキッティは惜しくも2番手となってボーナスポイント1点を稼ぎ損なった。ポイントリーダーのパワーは3番手と好グリッドを獲得。明日のレースはTeam PenskeとChip Ganassi Racingによる戦いとなる可能性が高いが、予選結果が15位と悪かったスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)が果たして上位に這い上がれるのかに注目したい。それができなければ、フランキッティは孤軍奮闘しなくてはならない。Andretti AutosportとNewman/Haas Racingの調子もよさそうだ。武藤英紀、佐藤琢磨の日本人ドライバー2人も上位グリッドから明日のレースを戦う。今年もシカゴランドでのレースは息をもつかせぬエキサイティングな戦いとなりそうだ」
順位 | No. | ドライバー | チーム | C/E/T | タイム |
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1 | 6 | ライアン・ブリスコー | Team Penske | D/H/F | 00:50.5857 |
2 | 10 | ダリオ・フランキッティ | Chip Ganassi Racing | D/H/F | 00:50.7624 |
3 | 12 | ウィル・パワー | Team Penske | D/H/F | 00:50.7792 |
4 | 3 | エリオ・カストロネベス | Team Penske | D/H/F | 00:50.7902 |
5 | 26 | マルコ・アンドレッティ | Andretti Autosport | D/H/F | 00:50.8265 |
6 | 02 | グラハム・レイホール | Newman/Haas Racing | D/H/F | 00:50.8281 |
7 | 4 | ダン・ウェルドン | Panther Racing | D/H/F | 00:50.8789 |
8 | 06 | 武藤英紀 | Newman/Haas Racing | D/H/F | 00:50.8892 |
9 | 37 | ライアン・ハンターレイ | Andretti Autosport | D/H/F | 00:50.9074 |
10 | 5 | 佐藤琢磨 | KV Racing Technology | D/H/F | 00:50.9154 |
11 | 20 | エド・カーペンター | Panther Racing | D/H/F | 00:50.9423 |
12 | 7 | ダニカ・パトリック | Andretti Autosport | D/H/F | 00:50.9616 |
13 | 11 | トニー・カナーン | Andretti Autosport | D/H/F | 00:50.9896 |
14 | 19 | アレックス・ロイド | Dale Coyne Racing | D/H/F | 00:51.0285 |
15 | 9 | スコット・ディクソン | Chip Ganassi Racing | D/H/F | 00:51.0761 |
16 | 8 | E.J.ヴィソ | KV Racing Technology | D/H/F | 00:51.0901 |
17 | 24 | トーマス・シェクター | Conquest Racing | D/H/F | 00:51.1179 |
18 | 2 | ラファエル・マトス | de Ferran Dragon Racing | D/H/F | 00:51.1462 |
19 | 77 | アレックス・タグリアーニ | FAZZT Race Team | D/H/F | 00:51.1617 |
20 | 34 | ベルトラン・バゲット | Conquest Racing | D/H/F | 00:51.2162 |
21 | 32 | マリオ・モラレス | KV Racing Technology | D/H/F | 00:51.2700 |
22 | 24 | アナ・ベアトリス | Dreyer & Reinbold Racing | D/H/F | 00:51.2770 |
23 | 22 | ジャスティン・ウィルソン | Dreyer & Reinbold Racing | D/H/F | 00:51.2875 |
24 | 14 | ヴィットール・メイラ | A.J. Foyt Enterprises | D/H/F | 00:51.3547 |
25 | 67 | サラ・フィッシャー | Sarah Fisher Racing | D/H/F | 00:51.3573 |
26 | 18 | ミルカ・デュノー | Dale Coyne Racing | D/H/F | 00:51.4342 |
27 | 78 | シモーナ・デ・シルベストロ | HVM Racing | D/H/F | 00:51.4625 |
28 | 21 | デイビー・ハミルトン | de Ferran Dragon Racing | D/H/F | 00:51.5051 |
29 | 66 | ジェイ・ハワード | Sarah Fisher Racing | D/H/F | 00:51.5991 |