round 13

August 22 2010
IZOD IndyCar Series Indy Grand Prix of Sonoma County
第13戦 インフィニオン

ウィル・パワーがポール・トゥ・ウインで今シーズン5勝目。マリオ・アンドレッティ・トロフィーを受賞
武藤英紀は17位、佐藤琢磨は18位でロードコース最終戦を終える

インディ・グランプリ・オブ・ソノマの決勝日は、カリフォルニアならではの青々とした快晴に恵まれた。全長2.303マイルのアップダウンに富んだサーキットで行われた75周にわたる激しいファイトは、ポールポジションからスタートしたポイントリーダー、ウィル・パワー(Team Penske)が主導権を譲ることなく逃げ切り、今季5勝目を飾った。表彰式でパワーはIZODインディカー・シリーズの初代ロードコースチャンピオンとして、マリオ・アンドレッティから彼の名前が冠せれたトロフィーを手渡された。

年間ランキング2位でパワーを追うダリオ・フランキッティ(Chip Ganassi Racing)は、レース序盤はエリオ・カストロネベス(Team Penske)、レース中盤はライアン・ブリスコー(Team Penske)に続く3番手を走行する苦しい戦いとなったが、最後のピット・ストップを迎える頃に、ようやく2番手にポジションを上げ、パワーに照準を合わせた。

ゴールへ向け、フランキッティは路面コンディションがさらによくなるものと期待してハードコンパウンドのブラックタイヤをチョイスした。一方、チームメートのスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)は、ソフトのレッドタイヤを履いてハイペースを実現。ゴール前15周を切った時点でフランキッティをパスし、パワーを追いかけた。

ゴールを目前にディクソンはペースを上げ、果敢にアタックを続けたが、0.7432秒及ばなかった。パワーが勝利し、ディクソンは2位でフィニッシュ。フランキッティが少し離れた3位でゴールした。

  • ウィル・パワーウィル・パワー
  • ウィル・パワーウィル・パワー
  • ウィル・パワーウィル・パワー
  • スコット・ディクソンスコット・ディクソン
  • ダリオ・フランキッティダリオ・フランキッティ
  • スコット・ディクソン(左)、ウィル・パワー(中央)、ダリオ・フランキッティ(右)スコット・ディクソン(左)、ウィル・パワー(中央)、ダリオ・フランキッティ(右)
  • 武藤英紀武藤英紀
  • 佐藤琢磨佐藤琢磨
  • マリオ・モラレス(左)、武藤英紀(中央)、佐藤琢磨(右)マリオ・モラレス(左)、武藤英紀(中央)、佐藤琢磨(右)
  • インフィニオン・レースウェイインフィニオン・レースウェイ

パワーは他を圧倒する5勝目をマーク。フランキッティに対するポイントリードを第12戦終了時点の41点から59点へと大きく広げることに成功した。年間ランキング3位につけるディクソンはパワーと95点差、2位のフランキッティとは36点差となった。

武藤英紀(Newman/Haas Racing)は予選14位から17位。佐藤琢磨(KV Racing Technology)は予選17位から18位でレースを終えた。どちらのドライバーもトップ10入りが十分に可能な戦いぶりを見せていたが、武藤は序盤にタイヤトラブルが発生して遅れた上に、ゴール前に他車と接触してスピンに陥ったため、ばん回していた順位を再び下げてしまった。

佐藤はオーバーテイクを重ねて10番手までポジションアップしたが、ゴールを目前に控えてタイヤにエア漏れのトラブルが発生した影響で、マシンバランスが一気に崩れて他車と接触。完全にパンクしたタイヤを交換するためにピットストップを行い、順位を8つ落としてのゴールとなった。

2010年のIZODインディカー・シリーズにおけるロードレースは、今回が最後となる。残る4戦はすべて全長1.5マイルの高速オーバルでのレースとなる。

コメント

ウィル・パワー(優勝)「完ぺきな週末だ。すばらしいレースだった。最後にディクソンがすごいペースでアタックしてきた時、私のマシンはタイヤが汚れてしまっていたため、なかなかペースアップができずにいた。今シーズン、私にこんなチャンスを与えてくれたチームに感謝する。咋年は大きなアクシデントを起こし、決勝レースを病室で見た。そのコースで1年後にポール・トゥ・ウインでの勝利を飾れたなんて最高だ。残るオーバルでも全力で戦う。シーズンが終わる前にオーバルでも1勝したい」

スコット・ディクソン(2位)「今日のレースでは、レッドタイヤとブラックタイヤで昼と夜ぐらいの違いがあった。ソフトコンパウンドのレッドタイヤの新品が我々には1セットしかなく、ゴールに向けて装着したのは少し周回を行っているものだった。それでもパワーの前に出てゴールしようと、最後は全力でアタックした。しかし、オーバーテイクを仕掛けるところまで近づくことさえできなかった。彼のマシンは路面にガッチリ吸いついていた。タイヤを上手にセーブして走っていたということだ。6番手スタートでの2位フィニッシュは決して悪くない結果だ。残るシーズンも全力で戦う」

ダリオ・フランキッティ(3位)「我々も全力で戦い、持っているものは出しきったと思う。最後のピットストップでハードコンパウンドのブラックタイヤを装着したのは、一種のギャンブルだった。残念ながらその作戦が功を奏することはなかった。レッドタイヤで走ったディクソンの方が速かったので、彼にポジションを譲った。パワーもパスして優勝してくれることを願ったが、それも叶わなかった」

武藤英紀(17位)「スタート時のマシンはハンドリングもよかったのですが、15〜16周もするとフロントタイヤのグリップがなくなり、ペースが落ちた上、まっすぐ走るのも大変な状況になっていました。タイヤマネジメントがうまくいきませんでした。レース終盤にはアレックス・タグリアーニ(FAZZT Race Team)と接触があり、さらにはマリオ・モラレス(KV Racing Technology)ともぶつかってスピンし、ポジションを落としてしまいました。マシンはトップ10入りができる仕上がりだっただけに、悔しいレースとなりました。次のシカゴランドからはオーバルでの連戦なので、気持ちを切り替えて攻めのレースをしたいと思います」

決勝後インタビュー動画 >

佐藤琢磨(18位)「決勝日のウオームアップを走っても、まだマシンがうまく仕上がっていなかったのですが、レースではかなりのオーバーテイクもできて、トップ10までポジションを上げることができました。しかし、最後はスローパンクが起きていたのか、何かメカニカルなトラブルが発生していたのか、マシンのフロントが上がった状態でペースが大幅に落ち、他車と接触してしまいました。今年のロードレースはこれが最後となりますが、思い描いていた結果を残せませんでした。しかし、ロードレースで得た多くの経験を生かして、残されたオーバルでの4戦を戦いたいと思います」

決勝後インタビュー動画 >

ロジャー・グリフィス|HPD テクニカル・ディレクター「1年前にすごいアクシデントにあっていながら、パワーは見事なパフォーマンスで優勝を飾った。恐怖を乗り越えてポールポジションを獲得し、レースではライバルたちを突き放す速さを誇っていた。ロードコースチャンピオンとなったパワーは、シリーズチャンピオンを目指して戦い続ける。彼はまだオーバルでの経験は少なく、実績もない。しかし、今年のインディ500でポールポジション争いを行うなど、彼はオーバルでも非常に速いドライバーへと成長する可能性を秘めている。今シーズン中に彼がオーバルで勝利を挙げたとしても何の不思議もない。彼を追うフランキッティとディクソンの2人は、タイトル獲得経験を持ち、オーバルでの実績も十分で、彼らにはプレッシャーがない。残るオーバル4レースでの戦いを彼らも楽しみにしていることだろう。IZODインディカー・シリーズは今年も最終戦まで目の離せない戦いが繰り広げられることだろう」

決勝
順位 No. ドライバー チーム C/E/T タイム/差
112ウィル・パワーTeam PenskeD/H/F01:52:34.1915
29スコット・ディクソンChip Ganassi RacingD/H/F+0.7432
310ダリオ・フランキッティChip Ganassi RacingD/H/F+6.6132
46ライアン・ブリスコーTeam PenskeD/H/F+7.8607
53エリオ・カストロネベスTeam PenskeD/H/F+10.4594
622ジャスティン・ウィルソンDreyer & Reinbold RacingD/H/F+10.9095
711トニー・カナーンAndretti AutosportD/H/F+11.5246
837ライアン・ハンターレイAndretti AutosportD/H/F+11.8938
902グラハム・レイホールNewman/Haas RacingD/H/F+17.5019
1019アレックス・ロイドDale Coyne RacingD/H/F+18.2069
1132マリオ・モラレスKV Racing TechnologyD/H/F+20.2411
1226マルコ・アンドレッティAndretti AutosportD/H/F+20.6759
1378シモーナ・デ・シルベストロHVM RacingD/H/F+21.8239
1477アレックス・タグリアーニFAZZT Race TeamD/H/F+22.4858
1514ヴィットール・メイラA.J. Foyt EnterprisesD/H/F+24.2879
167ダニカ・パトリックAndretti AutosportD/H/F+46.1339
1706武藤英紀Newman/Haas RacingD/H/F+1Lap
185佐藤琢磨KV Racing TechnologyD/H/F+7.3222
198E.J.ヴィソKV Racing TechnologyD/H/F+13.8428
20 36 フランシスコ・ドラコンConquest RacingD/H/F+4Laps
212ラファエル・マトスde Ferran Dragon RacingD/H/F+8Laps
2218ミルカ・デュノーDale Coyne RacingD/H/F+48.2903
23 34ベルトラン・バゲットConquest RacingD/H/F+10Laps
2424J.R.ヒルデブランドDreyer & Reinbold RacingD/H/F+37Laps
254ダン・ウェルドンPanther RacingD/H/F+75Laps
ポイントスタンディング
順位 ドライバー マシン 総合ポイント
1ウィル・パワーTeam Penske514
2ダリオ・フランキッティChip Ganassi Racing455
3スコット・ディクソンChip Ganassi Racing419
4ライアン・ブリスコーTeam Penske384
5エリオ・カストロネベスTeam Penske370
6ライアン・ハンターレイAndretti Autosport360
7トニー・カナーンAndretti Autosport330
8ジャスティン・ウィルソンDreyer & Reinbold Racing290
9マルコ・アンドレッティAndretti Autosport284
10ダン・ウェルドンPanther Racing269
11ダニカ・パトリックAndretti Autosport259
12アレックス・タグリアーニFAZZT Race Team244
13ラファエル・マトスde Ferran Dragon Racing241
14マリオ・モラレスKV Racing Technology240
15ヴィットール・メイラA.J. Foyt Enterprises235
16E.J.ヴィソKV Racing Technology215
17アレックス・ロイドDale Coyne Racing207
18シモーナ・デ・シルベストロHVM Racing196
19武藤英紀Newman/Haas Racing192
20佐藤琢磨KV Racing Technology164
21グラハム・レイホールNewman/Haas Racing159
22ベルトラン・バゲットConquest Racing150
23マリオ・ロマンチーニConquest Racing149
24ミルカ・デュノーDale Coyne Racing136
25マイク・コンウェイDreyer & Reinbold Racing110
26トーマス・シェクターDreyer & Reinbold Racing63
27ポール・トレイシーKV Racing Technology61
28サラ・フィッシャーSarah Fisher Racing53
29ジョン・アンドレッティAndretti Autosport35
30アナ・ベアトリスDreyer & Reinbold Racing33
31ジェイ・ハワードSarah Fisher Racing32
32アダム・キャロルAndretti Autosport26
33J.R.ヒルデブランドDreyer & Reinbold Racing26
34フランシスコ・ドラコンConquest Racing24
35エド・カーペンターPanther Racing20
36タウンゼント・ベル Sam Schmidt Motorsports 18
37セバスチャン・サーベドラBryan Herta Autosport15
38デイビー・ハミルトンde Ferran Dragon Racing14
39ブルーノ・ジュンケイラFAZZT Race Team13
40A.J.フォイト4世A.J. Foyt Racing0