round 11

July 25 2010
IZOD IndyCar Series Edmonton Indy
第11戦 エドモントン

エリオ・カストロネベスがペナルティで優勝を逃し
スコット・ディクソンが今シーズン2勝目
佐藤琢磨は9位、武藤英紀は17位

カナダ、アルバータ州エドモントンの空港を使って行われた2010年IZODインディカー・シリーズ第11戦は、快晴と過ごしやすい気温の中でのレースとなった。

ポールポジションからスタートしたポイントリーダーのウィル・パワー(Team Penske)は、悠々とトップを走り続けた。ところが、95周のレースが終盤に入ってからペースが下がり、78周目にエリオ・カストロネベス(Team Penske)にパスを許した。

予選2番手からチャンスをうかがっていたカストロネベスは、トップに躍り出るや今シーズン2勝目に向けてリードを広げていった。しかし、ゴールを目前にした90周目、コース上にストップしたマシンの影響で、フルコースコーションとなった。最後のリスタートは92周目に切られ、残り3周のバトルが始まった。このリスタート直後のターン1進入で、パワーがカストロネベスにアタック。この時のカストロネベスの走行ラインが、ルールで禁止されているブロッキングと判定され、カストロネベスにはペナルティが言い渡された。

カストロネベスはピットレーンをドライブスルーするペナルティを消化しないままゴールし、優勝はスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)のものと宣言された。2位はパワー、3位はダリオ・フランキッティ(Chip Ganassi Racing)。マシンを止めたカストロネベスはIRLのオフィシャルに猛烈に抗議したが、聞き入れられることはなかった。ペナルティを消化せずにフィニッシュした彼の成績はリードラップ最後尾の10位とされた。

  • ウィル・パワー(左)、スコット・ディクソン(中央)、ダリオ・フランキッティ(右)ウィル・パワー(左)、スコット・ディクソン(中央)、ダリオ・フランキッティ(右)
  • スコット・ディクソンスコット・ディクソン
  • ウィル・パワーウィル・パワー
  • ダリオ・フランキッティダリオ・フランキッティ
  • 佐藤琢磨佐藤琢磨
  • 佐藤琢磨佐藤琢磨
  • 武藤英紀武藤英紀
  • 武藤英紀武藤英紀

ポイントランキング3位でエドモントンでの第11戦を迎えていたディクソンは、今季2勝目、キャリア23勝目を飾った。それはIRLインディカー・シリーズでの最多勝利の更新であると同時に、自らの30歳の誕生日を祝う勝利ともなった。

佐藤琢磨(KV Racing Technology)は、予選13番手から95周のレースを通してアグレッシブに走り続け、初のトップ10フィニッシュを果たした。9位はキャリアベストとなるゴールだったが、最後のリスタート後に追突される不運がなければ、7位でゴールできていたはずだった。

武藤英紀(Newman/Haas Racing)は予選11番手からのスタートだったが、マシンはハンドリングが安定せず、スピンを喫して18番手までポジションダウン。そこから追い上げようと奮闘したが、1つ順位を上げての17位でフィニッシュした。

コメント

スコット・ディクソン(優勝)「競技長のブライアン・バーンハートは、どのレースでも我々にブロッキングに対する警告をしてきている。今日のカストロネベスのリスタート後の走りは、こうした事態を引き起こすと思った。我々にとって本当に厳しい週末となっていた。レースでもマシンのハンドリングはオーバーステアが強く、まさか勝てるなんて思ってもいなかった」

ウィル・パワー(2位)「最後のリスタートではうまくスピードを乗せることができ、カストロネベスにアタックできた。それに対して彼はブロックしてきた。黒旗というペナルティは厳し過ぎるが、起こってしまったことは仕方がない。最後のリスタートでトップを走っていたら、だれもがリードを失いたくはないと考える。レースでは起こりがちなことだ」

ダリオ・フランキッティ(3位)「最後のリスタートが勝敗を決した。カストロネベスはブロックしてペナルティを受け、ディクソンはいいダッシュをしたことでパワーをパスして優勝した。私もパワーをパスしようとアタックしたが、並びかけるところまではできたものの、抜ききることができず、3位でのゴールとなった。2人が表彰台に上ったのだから、チームとしてはすばらしい週末になったと思う」

佐藤琢磨(9位)「KV Racing Technologyにとって、本当にすばらしい一日になったと思います。エドモントンでのレースはサイド・バイ・サイドの戦いとオーバーテイクに満ちていて、非常にエキサイティングでした。自分自身もレースを思いきり楽しむことができました。最後のスティントでは周回遅れに延々とブロックされました。そして、最後のリスタートの後にはトニー・カナーン(Andretti Autosport)に追突され、スピンしたために2つポジションを落とすことになりました。7位でゴールできていたレースですが、非常に多くの収穫があったので、9位という結果もよいものだと思います」

決勝後インタビュー動画 >

武藤英紀(17位)「ソフトタイヤでスタートしましたが、グリップがありませんでした。燃料を多く積むとマシンのバランスが崩れてしまう、今シーズンの悪い傾向が出ました。1回目のピットストップでハードタイヤを装着しましたが、内圧のバランスが悪かったらしく、リアのグリップが長いこと上がってきませんでした。スピンをしたのはその後です。最後のスティントもハードタイヤで走ったのですが、リアがグリップしないためにドライビングがとても難しくなっていました」

決勝後インタビュー動画 >

ロジャー・グリフィス|HPD テクニカル・ディレクター「カストロネベスはすばらしいレースを戦っており、パワーからトップを奪った走りは見事だった。しかし、オフィシャルは最後のリスタート後の彼の走りをブロッキングと判定し、ペナルティを科した。勝利はパワーをパスしたディクソンのものとなり、パワーは2位、フランキッティが3位となった。今日のカストロネベスに対する判定は、これから長いこと人々の話題に上ることとなるだろう。 カナダの熱心なレースファンは今年もインディカー・レースをサポートしてくれ、すばらしい快晴の下でスリリングなハイスピードバトルが展開された。カナダ出身のポール・トレイシー(KV Racing Technology)は6位でゴールし、母国のファンの喝さいを浴びていた。彼を走らせたKV Racing Technologyは全員がトップ10でゴール。佐藤琢磨も9位という成績を残した。 来年もまたエドモントンでレースが行われることを楽しみにしたい」

決勝
順位 No. ドライバー チーム C/E/T タイム/差
19スコット・ディクソンChip Ganassi RacingD/H/F01:50:37.0551
212ウィル・パワーTeam PenskeD/H/F+2.6688
310ダリオ・フランキッティChip Ganassi RacingD/H/F+3.2831
46ライアン・ブリスコーTeam PenskeD/H/F+8.8652
537ライアン・ハンターレイAndretti AutosportD/H/F+11.1482
615ポール・トレイシーKV Racing TechnologyD/H/F+11.9091
732マリオ・モラレスKV Racing TechnologyD/H/F+16.9015
88E.J.ヴィソKV Racing TechnologyD/H/F+18.2206
95佐藤琢磨KV Racing TechnologyD/H/F+21.5880
103エリオ・カストロネベスTeam PenskeD/H/F+62.6011
1126マルコ・アンドレッティAndretti AutosportD/H/F+1Lap
1211トニー・カナーンAndretti AutosportD/H/F+12.2109
132ラファエル・マトスde Ferran Dragon RacingD/H/F+13.8617
1436ベルトラン・バゲットConquest RacingD/H/F+15.0312
157ダニカ・パトリックAndretti AutosportD/H/F+34.4189
1614ヴィットール・メイラA.J. Foyt EnterprisesD/H/F+2Laps
1706武藤英紀Newman/Haas RacingD/H/F+10.8862
1819アレックス・ロイドDale Coyne RacingD/H/F+3Laps
1924トーマス・シェクターDreyer & Reinbold RacingD/H/F+5Laps
204ダン・ウェルドンPanther RacingD/H/F+17.3356
2122ジャスティン・ウィルソンDreyer & Reinbold RacingD/H/F+7Laps
2278シモーナ・デ・シルベストロHVM RacingD/H/F+8Laps
2377アレックス・タグリアーニFAZZT Race TeamD/H/F+43Laps
2434マリオ・ロマンチーニConquest RacingD/H/F+43Laps
2518ミルカ・デュノーDale Coyne RacingD/H/F+91Laps
ポイントスタンディング
順位 ドライバー マシン 総合ポイント
1 ウィル・パワー Team Penske 420
2 ダリオ・フランキッティ Chip Ganassi Racing 370
3 スコット・ディクソン Chip Ganassi Racing 349
4ライアン・ブリスコーTeam Penske324
5ライアン・ハンターレイAndretti Autosport316
6エリオ・カストロネベスTeam Penske305
7トニー・カナーンAndretti Autosport291
8ジャスティン・ウィルソンDreyer & Reinbold Racing252
9マルコ・アンドレッティAndretti Autosport244
10ダン・ウェルドンPanther Racing243
11ダニカ・パトリックAndretti Autosport233
12ヴィットール・メイラA.J. Foyt Enterprises205
13ラファエル・マトスde Ferran Dragon Racing203
14マリオ・モラレスKV Racing Technology203
15アレックス・タグリアーニFAZZT Race Team194
16E.J.ヴィソKV Racing Technology193
17アレックス・ロイドDale Coyne Racing170
18武藤英紀Newman/Haas Racing167
19シモーナ・デ・シルベストロHVM Racing155
20マリオ・ロマンチーニConquest Racing149
21佐藤琢磨KV Racing Technology142
22グラハム・レイホールNewman/Haas Racing125
23ベルトラン・バゲットConquest Racing119
24ミルカ・デュノーDale Coyne Racing112
25マイク・コンウェイDreyer & Reinbold Racing110
26トーマス・シェクターDreyer & Reinbold Racing63
27ポール・トレイシーKV Racing Technology61
28サラ・フィッシャーSarah Fisher Racing53
29ジョン・アンドレッティAndretti Autosport35
30アナ・ベアトリスDreyer & Reinbold Racing33
31エド・カーペンターPanther Racing20
32ジェイ・ハワードSarah Fisher Racing20
33タウンゼント・ベルSam Schmidt Mtrspts18
34セバスチャン・サーベドラBryan Herta Autosport15
35アダム・キャロルAndretti Autosport14
36デイビー・ハミルトンde Ferran Dragon Racing14
37ブルーノ・ジュンケイラFAZZT Race Team13
38A.J.フォイト4世A.J. Foyt Racing0