round 10

July 17 2010, QUALIFYING
IZOD IndyCar Series Honda Indy Toronto
第10戦 トロント

ジャスティン・ウィルソンがキャリア初のポールポジションを獲得
佐藤琢磨はマシントラブルの影響で18番手、武藤英紀は22番手

IZODインディカー・シリーズは国境を越え、カナダへとやってきた。第10、第11戦はカナダ2連戦。まずはトロントのストリートレースである。オンタリオ湖畔に設定される市街地コースは路面がバンピーでグリップが低く、ドライバーには高度なテクニックと、強靭な体力が求められる。

合計3回のプラクティスの後に行われた予選ファイナルステージに進出した6人の中からポールポジションを獲得したのは、ジャスティン・ウィルソン(Dreyer & Reinbold Racing)だった。コースレコードとなる1分00秒2710をマークし、見事にキャリア初のポールポジション獲得となった。

ウィルソンは予選の第2ステージまでをハード・コンパウンドのプライマリータイヤだけで戦い抜き、ファイナルステージにソフト・コンパウンドのオプショナルタイヤを2セット投入できる状況を作り出していた。ロードコースの予選で2種類のタイヤが使用されるルールになって以来、ここまで優位に立ったドライバーはおらず、ウィルソンはその大きなアドバンテージを見事に生かした。また、Dreyer & Reinbold Racingは、2001年のケンタッキー以来、通算2回目のポールポジション獲得となった。

予選2位はポイントリーダーのウィル・パワー(Team Penske)。ウィルソンとの差は0.1853秒だった。予選3位は第3戦バーバー・モータースポーツ・パークで優勝しているエリオ・カストロネベス(Team Penske)、予選4位には第4戦ロングビーチで勝ったライアン・ハンターレイ(Andretti Autosport)が食い込んだ。

昨年のトロント・ウイナーであるダリオ・フランキッティ(Chip Ganassi Racing)は予選5位。彼のチームメートのスコット・ディクソンは予選6位だった。

  • ジャスティン・ウィルソンジャスティン・ウィルソン
  • ジャスティン・ウィルソンジャスティン・ウィルソン
  • 佐藤琢磨佐藤琢磨
  • 佐藤琢磨佐藤琢磨
  • 武藤英紀武藤英紀
  • 武藤英紀武藤英紀

佐藤琢磨(KV Racing Technology)は、プラクティス1回目でのベストラップが23番手とトロントでは出足が悪く、2回目が21番手、3回目が16番手とコースへの習熟、マシンセッティングともに苦戦を強いられた。しかし、予選に向け戦闘力を大きく向上させ、アタック1周目にトップに立ってみせた。ところが、その後すぐにギアボックスにトラブルが発生。けん引されてピットに戻ったため最速2ラップをはく奪されるペナルティを受けて予選18位となり、第2ステージ進出を逃した。

武藤英紀(Newman/Haas Racing)もバンピーな路面にマシンセッティングを合わせていくことができず、走行初日のプラクティス2回目にアクシデントを起こした。予選でのベストタイムは1分02秒1453で、スターティンググリッドは22番手と決まった。

コメント

ジャスティン・ウィルソン(ポールポジション) 「今週のマシンは完ぺきといっていいほどすばらしい状態に仕上がっている。予選には、ソフトタイヤをファイナルステージまで投入しない作戦で臨み、第1ステージは問題なくクリアしたが、第2ステージはかなり心配だった。しかし、マシンの調子は極めてよく、第2ステージでもトップタイムを出すことに成功した。ポールポジション獲得はうれしい。しかし、これで仕事は終わりではない。喜んでばかりはいられない。マシンにはまだ速くなる余地がある。明日のウオームアップ、そしてレースで思う存分に力を発揮し、優勝を目指したい」

ウィル・パワー(2番手) 「3回目のプラクティスでの自分たちの順位は9番手だった。予選2位という結果は、ポールポジションを逃した形ともとれるが、今日の場合は2位でとてもハッピーだ。トロントのコースは本当に不思議で、走り込んだタイヤでいいタイムが出る場合もある。明日のレースは雨になるとの予報もある。そうなったら、かなりの混乱が起こるだろう。私にとってポイントを確実に重ねることが重要だが、明日も優勝を目指して戦うつもりだ」

エリオ・カストロネベス(3番手) 「ソフトタイヤを投入しなくても予選の第2ステージをクリアしてファイナルステージへ進める可能性はあった。しかし、そのリスクは冒さず、確実にトップ6に食い込む道を選んだ。ソフトタイヤを温存しておけば、ポールポジションを取れていたかもしれない。予選のファイナルステージでは雨が降り出す可能性があったので、少しでも早くいいタイムを出そうとがんばって走った。予選3位は優勝を狙えるポジションだ。我々のマシンバランスはよく、ロングランでも安定した速さを発揮できているので、レースが楽しみだ」

佐藤琢磨(18番手) 「トロントは非常に難しいコースで、3回のプラクティスを走っても、まだ走り足りないと感じています。そうした中でもマシンをセッションごとに向上させ、予選に向けさらによくすることができました。それだけにギアボックスのトラブルは残念でした。コース上でストップしてしまい、牽引されてピットに戻ったことで我々はペナルティとして最速タイムともう1周のベストタイムを抹消され、予選第2ステージに進むことができませんでした。明日のウオームアップでは、レースに向けたマシンセッティングを確認します。トロントのレースは荒れると聞いているので、粘り強くゴールまで走りきり、好結果をつかみたいと考えています」

武藤英紀(22番手) 「ブレーキングでのマシンの挙動が安定せず、その改善がうまくいかずにいます。路面の凹凸の影響を受けたマシンはバランスを崩しやすく、さらに予選では早い段階でタイヤを傷めてしまいました。チームメートのグレアム・レイホールともども、我々のマシンはセッティングで何かが足りていません。それが何なのか、発見しないとなりません。予選に比べれば、決勝用のマシンの方がいいものにはなるでしょう。明日は後方グリッドからのスタートとなるので、作戦面ではギャンブルに出ることもありえます。それに成功すれば上位で戦うことも可能になると思います」

ロジャー・グリフィス|HPD レース・チーム・マネジャー 「ウィルソンにとって今季初の、そして、Dreyer & Reinbold Racingにとっては久しぶりのポールポジション獲得をたたえたい。今回の好パフォーマンスで彼らのチームは勢いを得ることだろう。予選2番手となったパワーとのポールポジション争いは見応えがあった。明日の決勝レースも激しいバトルが期待できそうだ。今回も予選は驚くほど接戦となっており、ポイントランキングで上位につけていながらファイナルステージに進めないドライバーがいたほどだ。情熱的で、レースに対する知識も深いカナダのファンも、大いに予選を楽しんでくれたことと思う。Hondaインディ・トロントの決勝レースにも大勢のファンが集まり、その前で白熱した戦いが繰り広げられることを期待している」

予選リザルト
順位 No. ドライバー チーム C/E/T タイム
122ジャスティン・ウィルソンDreyer & Reinbold RacingD/H/F01:00.2710
212ウィル・パワーTeam PenskeD/H/F01:00.4563
33エリオ・カストロネベスTeam PenskeD/H/F01:00.8159
437ライアン・ハンターレイAndretti AutosportD/H/F01:00.8397
510ダリオ・フランキッティChip Ganassi RacingD/H/F01:00.9477
69スコット・ディクソンChip Ganassi RacingD/H/F01:00.9541
76ライアン・ブリスコーTeam PenskeD/H/F01:00.9141
811トニー・カナーンAndretti AutosportD/H/F01:00.9212
977アレックス・タグリアーニFAZZT Race TeamD/H/F01:00.9996
1026マルコ・アンドレッティAndretti AutosportD/H/F01:01.2297
112ラファエル・マトスde Ferran Dragon RacingD/H/F01:01.2820
127ダニカ・パトリックAndretti AutosportD/H/F01:01.4580
138E.J.ヴィソKV Racing TechnologyD/H/F01:01.4087
14 02 グラハム・レイホールNewman/Haas Racing D/H/F01:01.7024
154ダン・ウェルドンPanther RacingD/H/F01:01.6926
1636ベルトラン・バゲットConquest RacingD/H/F01:01.8072
1734マリオ・ロマンチーニConquest RacingD/H/F01:01.9575
185佐藤琢磨KV Racing TechnologyD/H/F01:01.8130
19 24 トーマス・シェクターDreyer & Reinbold RacingD/H/F01:02.0426
2032マリオ・モラレスKV Racing TechnologyD/H/F01:02.0953
2178シモーナ・デ・シルベストロHVM RacingD/H/F01:02.0547
2206武藤英紀Newman/Haas RacingD/H/F01:02.1453
2319アレックス・ロイドDale Coyne RacingD/H/F01:02.6142
2415ポール・トレイシーKV Racing Technology D/H/F01:02.5387
2518ミルカ・デュノーDale Coyne RacingD/H/F -
2614ヴィットール・メイラA.J. Foyt EnterprisesD/H/F01:03.0741