round 9

July 4 2010
IZOD IndyCar Series Camping World Grand Prix at The Glen
第9戦 ワトキンス・グレン

ウィル・パワーがポイントリードを拡大する今季3勝目
武藤英紀は12位、佐藤琢磨は15位で完走

2010年IZODインディカー・シリーズは第9戦を迎えた。今回のレースがちょうどシーズンの折り返し点となる。

7月4日はアメリカの建国記念日。インディカー・レースはアメリカでも屈指の伝統を誇るロードコース、ワトキンス・グレン・インターナショナルで開催された。今週末のニューヨーク州西部は清々しい好天に恵まれ、抜けるような青空の下で60周のレースにグリーン・フラッグが振り下ろされた。

ポールポジションからスタートしたウィル・パワー(Team Penske)は、予選と同じ速さをレースでも見せつけ、悠々とトップを走り続けた。

7周目にスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)がエリオ・カストロネベス(Team Penske)のリアタイヤに接触。ディクソンはフロントウィングを破損し、カストロネベスはタイヤがパンクし、ピットイン。大きく順位を落とした。

ディクソンとカストロネベスはピットタイミングをずらす作戦で、レース前半にトップを走るシーンもあったが、彼らが給油のためにピットに向かうと、再びレースのリードはパワーの手に渡った。

  • 左からダリオ・フランキッティ、ウィル・パワー、ライアン・ブリスコー左からダリオ・フランキッティ、ウィル・パワー、ライアン・ブリスコー
  • ウィル・パワーウィル・パワー
  • スタートシーンスタートシーン
  • ライアン・ブリスコーライアン・ブリスコー
  • ダリオ・フランキッティダリオ・フランキッティ
  • 武藤英紀武藤英紀
  • 武藤英紀武藤英紀
  • 佐藤琢磨佐藤琢磨
  • 佐藤琢磨佐藤琢磨
  • ワトキンス・グレン・インターナショナルワトキンス・グレン・インターナショナル

レースが終盤に突入してから行われた2回目のピットストップで、パワーはチームメートのライアン・ブリスコーに先行を許した。しかし、リスタート直後のバックストレッチで豪快にパス。ゴールが近づいてから2位へと浮上して追いすがって来たダリオ・フランキッティ(Chip Ganassi Racing)を突き放し、そのフランキッティを抜いて2位へとカムバックして来たブリスコーに1秒2181の差をつけて今季3勝目を挙げた。

予選14番手からスタートした武藤英紀(Newman/Haas Racing)は、燃料消費を抑えながらハイペースを保って戦い続け、12位でゴールした。マシンセッティングはまだまだ向上させるべき部分が多いが、厳しい状況下でこそ達成すべき完走を武藤はワトキンス・グレンで果たした。

佐藤琢磨(KV Racing Technology)はレース序盤に2つポジションを落としたが、ディクソンとカストロネベスの後退があって4番手へと浮上。表彰台を目指した戦いが期待された。ところが、1回目のピットストップに時間がかかって6ポジションもダウン。コースのコンディションとマシンセッティングがマッチせず、中団に埋もれてからはスピードに乗った走りを見せることができず、15位でのゴールとなった。

次戦はカナダ、トロントでのストリートレースだ。13戦まではロードコース及びストリートなど仮設ロードサーキットでの戦いが5レース続けて行われる。

コメント

ウィル・パワー(優勝)「ブリスコーをオーバーテイクできるチャンスはリスタートだけだと考えていた。私は今日のレースをぜひとも勝ちたいと考えていた。その気持ちが出たパスだった。今日のレースが終わり、私はポイントリードを広げたが、ライバルたちは本当に強力で油断はできない。この競争の激しさを僕は楽しんでいる。ワトキンス・グレンも本当に挑戦しがいがある楽しいコースで、このようなコースがもっとインディカー・シリーズに増えることを期待したい」

ライアン・ブリスコー(2位)「マシンセッティングでダウンフォースをつけすぎて、バックストレートではパラシュートを開いて走っているみたいだった。しかし、そのダウンフォースのおかげで終盤にタイヤに負担をかけない走りができ、フランキッティをパスできた。今日はパワーが速かった。そして、僕らTeam Penskeは1-2フィニッシュを達成した」

ダリオ・フランキッティ(3位)「ゴールに向けてパワーとの差を縮めていた。しかし、私はそのためにタイヤを酷使しすぎてしまった。そして、逆にブリスコーが後方から迫ってきた。彼を引き離そうとして私はミスを犯し、抜かれてしまった。あのミスは悔やまれるが、全力を出しきっての楽しいレースだった。今日、パワーは見事な勝利を飾った。タイヤのグリップが落ち始めてからも、彼はそれをうまく使って走っているように見えた」

武藤英紀(12位)「スタート時より2つ順位を上げてのゴールとなりました。12位という結果は満足のいくものではありませんが、完走できないレースが続いていたので、次以降のレースにつながるものにできたとは思います。今日のレースは燃費セーブが重要で、100%の速さで走ったラップはありませんでした。その点では歯がゆいレースでしたが、ライバルの後ろを走っている間に学んだこともありましたし、次のトロントに向けていいステップになったと思います」

決勝後インタビュー動画 >

佐藤琢磨(15位)「序盤は上位で戦うことができましたが、最初のピットストップで後れをとりました。レース中盤に装着したハード・コンパウンドのプライマリー・タイヤでスピードが乗らずに苦労しました。2回目のピットストップは無線での交信で誤解があって、そこでもポジションを大きく落としました。レース終盤にはソフト・コンパウンドのタイヤで順位をばん回しましたが、その前までに失ったものが大きすぎました。今回何が悪かったのかを研究し、次のレースにつなげます」

決勝後インタビュー動画 >

ロジャー・グリフィス(HPDレース・チーム・マネジャー)「Team Penskeが初めての勝利をワトキンス・グレンで飾った。パワーがまたしてもめざましい速さを見せ、ブリスコーが2位。1-2フィニッシュはすばらしい結果だ。フルコース・コーションが少ないレースはだれにとっても非常に難しいものだった。体力面でタフな戦いになっていたのはもちろんのこと、燃料のセーブも重要だった。今年からフューエル・ミクスチャー・ダイヤルが排除されているため、ドライバーたちの中にはメインストレートが下り坂になった部分でアクセルを戻すなど、スピードダウンを最小限に抑えながら燃費を稼ぐ走りにトライしている者もあった。トップ3に続く4位はラファエル・マトス(de Ferran Dragon Racing)、5位はマリオ・モラレス(KV Racing Technology)、6位はダン・ウェルドン(Panther Racing)と、ワトキンス・グレンでの厳しい戦いの末にフレッシュな面々が上位でゴールしたことも喜ばしい」

決勝
順位 No. ドライバー チーム C/E/T タイム/差
112ウィル・パワーTeam PenskeD/H/F01:40:27.4391
26ライアン・ブリスコーTeam PenskeD/H/F+1.2181
310ダリオ・フランキッティChip Ganassi RacingD/H/F+2.6754
42ラファエル・マトスde Ferran Dragon RacingD/H/F+8.0208
532マリオ・モラレスKV Racing TechnologyD/H/F+9.3229
64ダン・ウェルドンPanther RacingD/H/F+9.7523
737ライアン・ハンターレイAndretti AutosportD/H/F+10.5003
89スコット・ディクソンChip Ganassi RacingD/H/F+12.0546
93エリオ・カストロネベスTeam PenskeD/H/F+12.9834
1022ジャスティン・ウィルソンDreyer & Reinbold RacingD/H/F+13.5635
118E.J.ヴィソKV Racing TechnologyD/H/F+18.7591
1206武藤英紀Newman/Haas RacingD/H/F+20.2279
1326マルコ・アンドレッティAndretti AutosportD/H/F+26.6965
14 24ポール・トレイシーDreyer & Reinbold RacingD/H/F+27.7310
155佐藤琢磨KV Racing TechnologyD/H/F+28.8774
1627アダム・キャロル Andretti AutosportD/H/F+29.3624
1777アレックス・タグリアーニFAZZT Race TeamD/H/F+35.3753
1836ベルトラン・バゲットConquest RacingD/H/F+36.5350
1914ヴィットール・メイラA.J. Foyt EnterprisesD/H/F+36.9869
207ダニカ・パトリックAndretti AutosportD/H/F+38.2675
2111トニー・カナーンAndretti AutosportD/H/F+38.6700
2234マリオ・ロマンチーニConquest RacingD/H/F+1Lap
2318ミルカ・デュノーDale Coyne RacingD/H/F+3Laps
2478シモーナ・デ・シルベストロHVM RacingD/H/F+22Laps
2519アレックス・ロイドDale Coyne RacingD/H/F +38Laps
ポイントスタンディング
順位 ドライバー マシン 総合ポイント
1 ウィル・パワー Team Penske 327
2 ダリオ・フランキッティ Chip Ganassi Racing 295
3 スコット・ディクソン Chip Ganassi Racing 287
4ライアン・ブリスコーTeam Penske280
5エリオ・カストロネベスTeam Penske273
6ライアン・ハンターレイAndretti Autosport251
7トニー・カナーンAndretti Autosport241
8ジャスティン・ウィルソンDreyer & Reinbold Racing211
9ダン・ウェルドンPanther Racing211
10マルコ・アンドレッティAndretti Autosport201
11ダニカ・パトリックAndretti Autosport190
12ラファエル・マトスde Ferran Dragon Racing174
13ヴィットール・メイラA.J. Foyt Enterprises172
14アレックス・タグリアーニFAZZT Race Team169
15マリオ・モラレスKV Racing Technology161
16E.J.ヴィソKV Racing Technology157
17アレックス・ロイドDale Coyne Racing146
18武藤英紀Newman/Haas Racing136
19マリオ・ロマンチーニConquest Racing125
20シモーナ・デ・シルベストロHVM Racing121
21マイク・コンウェイDreyer & Reinbold Racing110
22佐藤琢磨KV Racing Technology110
23グラハム・レイホールRahal Letterman Racing95
24ミルカ・デュノーDale Coyne Racing92
25ベルトラン・バゲットConquest Racing89
26サラ・フィッシャーSarah Fisher Racing53
27トーマス・シェクターDreyer & Reinbold Racing36
28ジョン・アンドレッティAndretti Autosport35
29アナ・ベアトリスDreyer & Reinbold Racing33
30エド・カーペンターPanther Racing20
31ジェイ・ハワードSarah Fisher Racing20
32タウンゼント・ベルSam Schmidt Motorsports18
33ポール・トレイシーDreyer & Reinbold Racing16
34セバスチャン・サーベドラBryan Herta Autosport15
35デイビー・ハミルトンde Ferran Dragon Racing14
36アダム・キャロル Andretti Autosport14
37ブルーノ・ジュンケイラFAZZT Race Team13
38A.J.フォイト4世A.J. Foyt Racing0