1980年までF1アメリカ・グランプリの舞台として名を馳せたワトキンス・グレン・インターナショナルは、全長3.37マイル、アップダウンに富むハイスピードロードコースだ。シーズン中盤のロードレース5連戦のスタートとなる今回、ニューヨ−ク州の山間にある同コースでの予選で幸先よくポールポジションを獲得したのは、現在のポイントリーダーで、これまでに唯一2勝を挙げているウィル・パワー(Team Penske)だった。
パワーは小さなミスが即座に大きなタイムロスにつながる難コースをさっそうと走り回り、1分29秒3164をマーク。ライアン・ブリスコー(Team Penske)の2回を大きく引き離し、今季5回目のポールポジション獲得を果たした。
予選2番手はエリオ・カストロネベス(Team Penske)だった。チームメートからポールポジションを奪い取ろうとアタックを続けたカストロネベスは、最終ラップにはコースを飛び出すほどの気迫を見せたが、ベストは1分29秒4609でパワーに0.1445秒届かなかった。
予選3番手はブリスコーで、Team Penskeのドライバーたちがトップ3グリッドを占拠した。予選4番手で彼らに続いたのはダリオ・フランキッティ(Chip Ganassi Racing)だった。
佐藤琢磨(KV Racing Technology)は1分30秒1410のベストを記録して予選5番手に食いこんだ。3段階の予選で最終ステージに進んだのはバーバー・モータースポーツ・パークでの第3戦アラバマに続く2回目。フランキッティ、昨年度ウイナーのジャスティン・ウィルソン(Dreyer & Reinbold Racing)とポジションを争い、バーバーで記録した自己ベストの予選6番手をひとつ上回る予選5番手となった。
武藤英紀(Newman/Haas Racing)は、アタック中に遅いマシンに引っかかったために1分31秒1732を出すにとどまり、予選第1ステージの第2グループでトップ6を逃す7番手。予選結果は14番手と決まった。
今回のレースにはアダム・キャロルがAndretti Autosportからインディカー・シリーズへとデビュー。25台が出場している。
ウィル・パワー(ポールポジション) 「今日の予選は非常にハードだった。プラクティスまでは私が果たして予選でポールポジション争いができるか心配していた。しかし、マシンはいいものに仕上がり、思いきりアタックし、5回目のポールポジションを獲得することができた。ポールポジションの回数が多いのはうれしいが、レースの優勝回数を増やすことの方が重要だ。明日はぜひとも勝利を手にしたい」
エリオ・カストロネベス(2番手) 「インディカー・シリーズの競争はすさまじい。強力なライバルたちは我々に休む間を与えてくれない。今日、こうしてTeam Penskeの予選1-2-3位が実現されたのは、我々のすばらしいチームワークが発揮されたからだ。エンジニアも持てる力を存分に発揮してくれた。3人のドライバーたちは、全員が勝利を目指している。しかし、最終的に勝利をつかむのはチームだ」
ライアン・ブリスコー(3番手) 「Team Penskeにとってすばらしい結果となった。予選1-2-3位だ。マシンセッティングのバランスがほんの少し外れていたため、予選の第2ステージ進出までにソフトタイヤの1セット目を消耗させすぎた。最終ステージでは、残していたソフトタイヤの数によって、私はポールポジションを争うことができなかった。しかし、明日の決勝に向けてマシンは非常によく仕上がっている」
佐藤琢磨(5番手) 「ワトキンス・グレンにはテストに来たのですが、雨でまったく走れなかったので、今回もまずはコースに慣れる必要がありました。プラクティス終了時点でのマシンのフィーリングは、決してよいものではありませんでした。2回のプラクティスだけで予選を迎えるというフォーマットは、我々にとって本当に厳しいものとなっています。しかし、我々は予選に向けてセッティングを変更し、予選の中でもセッティングをよくしていくことで最終ステージ進出を果たすことができました。そして、自己ベストを更新する予選5番手を記録。置かれた状況でベストの力を出せたと思います。ロータスはワトキンス・グレンでのグランプリですばらしい成績を挙げています。明日の決勝レースでは、ロータスの伝統を受け継いで、いい結果を残せればと考えています」
武藤英紀(14番手) 「イエローフラッグの後にソフトタイヤを投入したのですが、遅いマシンに引っかかってしまいました。ソフトタイヤのグリップが最大に発揮されるタイミングでしたので、あのタイミングで失った2周は本当に大きかったです。予選の第2ステージには進めると考えていましたし、第2ステージを走れれば、さらにマシンを向上させることも可能だったと思います。予選の第1ステージで敗退したため、逆にソフトタイヤはあと2セット残っていますから、決勝ではオーバーテイクも可能でしょうし、作戦を上手に活用していいレースをしたいと思います」
ロジャー・グリフィス|HPD レース・チーム・マネジャー 「昨年までのワトキンス・グレンといえば、雨と寒さが話題になることが多かった。しかし、今年は走行初日からすばらしい天候に恵まれている。決勝日の天気予報も快晴なので、多くのファンがサーキットに集まってくれることを期待している。予選ではTeam Penskeが今年も強さを見せた。しかし、ライバル勢との間にある差は非常に小さく、レースでもTeam Penske勢が速さを保てるという保証はない。明日はさらに気温が上がるようなので、路面温度も上昇し、タイヤをはじめとする多くの面に影響が出ることだろう。各チームの温度の変化への対処は、勝敗に直結することになるかもしれない」
順位 | No. | ドライバー | チーム | C/E/T | タイム |
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1 | 12 | ウィル・パワー | Team Penske | D/H/F | 01:29.3164 |
2 | 3 | エリオ・カストロネベス | Team Penske | D/H/F | 01:29.4609 |
3 | 6 | ライアン・ブリスコー | Team Penske | D/H/F | 01:29.9346 |
4 | 10 | ダリオ・フランキッティ | Chip Ganassi Racing | D/H/F | 01:29.9601 |
5 | 5 | 佐藤琢磨 | KV Racing Technology | D/H/F | 01:30.1410 |
6 | 22 | ジャスティン・ウィルソン | Dreyer & Reinbold Racing | D/H/F | 01:30.2667 |
7 | 9 | スコット・ディクソン | Chip Ganassi Racing | D/H/F | 01:30.1389 |
8 | 26 | マルコ・アンドレッティ | Andretti Autosport | D/H/F | 01:30.2042 |
9 | 32 | マリオ・モラレス | KV Racing Technology | D/H/F | 01:30.2644 |
10 | 27 | アダム・キャロル | Andretti Autosport | D/H/F | 01:30.4886 |
11 | 2 | ラファエル・マトス | de Ferran Dragon Racing | D/H/F | 01:30.5276 |
12 | 24 | ポール・トレイシー | Dreyer & Reinbold Racing | D/H/F | 01:30.8414 |
13 | 11 | トニー・カナーン | Andretti Autosport | D/H/F | 01:31.1934 |
14 | 06 | 武藤英紀 | Newman/Haas Racing | D/H/F | 01:31.1723 |
15 | 78 | シモーナ・デ・シルベストロ | HVM Racing | D/H/F | 01:31.3268 |
16 | 37 | ライアン・ハンターレイ | Andretti Autosport | D/H/F | 01:31.4333 |
17 | 14 | ヴィットール・メイラ | A.J. Foyt Enterprises | D/H/F | 01:31.4088 |
18 | 34 | マリオ・ロマンチーニ | Conquest Racing | D/H/F | 01:31.5797 |
19 | 77 | アレックス・タグリアーニ | FAZZT Race Team | D/H/F | 01:31.5218 |
20 | 4 | ダン・ウェルドン | Panther Racing | D/H/F | 01:31.5988 |
21 | 7 | ダニカ・パトリック | Andretti Autosport | D/H/F | 01:31.5329 |
22 | 19 | アレックス・ロイド | Dale Coyne Racing | D/H/F | 01:33.9832 |
23 | 36 | ベルトラン・バゲット | Conquest Racing | D/H/F | 01:32.1888 |
24 | 18 | ミルカ・デュノー | Dale Coyne Racing | D/H/F | 01:40.4911 |
25 | 8 | E.J.ヴィソ | KV Racing Technology | D/H/F | DNQ |