round 7

June 05 2010, RACE
IZOD IndyCar Series Firestone 550K
第7戦 テキサス

ライアン・ブリスコーがポールポジションから今季初優勝
ダニカ・パトリックがキャリア2勝目を惜しくも逃す2位
武藤英紀は12位完走、佐藤琢磨はリタイアで25位

2010年のIZODインディカー・シリーズも中盤戦を迎えている。第7戦はテキサス州の大都市、ダラス郊外でのナイトレース。舞台は全長1.455マイルのテキサス・モーター・スピードウェイ。24度の急なバンクを特徴とする高速オーバルでは、毎年スリリングな接近戦が繰り広げられている。今年も一触即発のバトルを見ようとグランドスタンドには多くのファンが陣取っていた。

夜の7時半過ぎにレースはスタートした。ポールポジションからスタートし、序盤にトップを走ったライアン・ブリスコー(Team Penske)は、1回目のピットストップで予選2位だったダリオ・フランキッティ(Chip Ganassi Racing)にトップを奪われたが、自信を持った走りでその座を奪い返した。

フランキッティが後退し、スコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)も決定力を欠き、エリオ・カストロネベス(Team Penske)はアクシデントでリタイアした。しかし、ブリスコーは楽々と逃げ切れはしなかった。レース終盤、予選8位から大きく順位を上げてきたダニカ・パトリック(Andretti Autosport)が激しいチャージを見せたのだ。目覚ましい走りを続けたパトリックはついにブリスコーをパスし、トップに立った。しかし、すぐさまブリスコーが逆襲し、接触ギリギリの接近戦の末にトップを奪還、その後はリードを広げてゴールへ飛び込んだ。

  • ライアン・ブリスコーライアン・ブリスコー
  • ライアン・ブリスコーライアン・ブリスコー
  • ダニカ・パトリックダニカ・パトリック
  • マルコ・アンドレッティマルコ・アンドレッティ
  • 武藤英紀武藤英紀
  • 武藤英紀武藤英紀
  • 佐藤琢磨佐藤琢磨
  • 佐藤琢磨佐藤琢磨

第7戦目にしてブリスコーは今季初勝利、キャリア6勝目を挙げた。Team Penskeにとっては早くも今季4勝目である。

パトリックは、2008年のインディ・ジャパン以来となるキャリア2勝目に大きく接近したが、惜しくも2位でのゴールとなった。しかし、これは彼女の今シーズンのベストリザルトで、トップ5フィニッシュも今季初となった。

3位でゴールしたのはマルコ・アンドレッティ(Andretti Autosport)。先週のインディ500に続いて2戦連続の3位入賞だ。Andretti Autosportはトニー・カナーンが6位、ライアン・ハンターレイも7位と、4台すべてが上位フィニッシュを果たした。

武藤英紀(Newman/Haas Racing)は予選7位からスタート。序盤からオーバーステアが出て苦戦したが、ピットストップでセッティングを調整し、コックピットでできる調整でもハンドリングを改善しようと奮闘を続けた。クルーたちもすばらしいピット作業で順位を上げるパフォーマンスを繰り返した。チームが一丸となって戦い、武藤は06号車を12位でゴールさせた。

佐藤琢磨(KV Racing Technology)は、11番手スタートから16番手まで後退し、そこから11位までばん回と、アップ・アンド・ダウンの激しいレース序盤を戦った。1回目のピットストップを迎える前に佐藤のフロントタイヤはグリップが低下し、20位まで大きく後退。この時のピットストップで佐藤のチームはセッティングを変更し、再び上位を目指して走り出した。順位を上げていこうという矢先の56周目、ターン2でマシンの右リアサスペンションが突然壊れ、外側の壁にぶつかり、リタイアを喫した。

コメント

ライアン・ブリスコー(優勝) 「ポールポジションを獲得し、レースでも勝つことができてうれしい。目標にしていた通りに優勝でき、最大ポイントを稼げたので、シリーズランキングも少しは上がったはずだ。今晩のレースはタイヤの使い方が難しかった。マシンのバランスが悪くならないよう、タイヤを上手に使う走りが求められていた。レース終盤、パトリックがチャージしてきた。いったんは抜かれたが、次の周にオーバーテイクボタンを使って抜き返すことができた。シーズンはまだ中盤に入ったばかりなので、もっと勝利を重ねていきたい」

ダニカ・パトリック(2位) 「インディ500に続いて、今週もすばらしい週末となった。今日は勝つことはできなかったが、満足のいくパフォーマンスを見せることができた。私はずっと変わらず、一生懸命に戦い続けている。チームも同じく、全力を出しきってがんばってくれている。それが今日のようにレースでの結果となって表れ、私はうれしい」

マルコ・アンドレッティ(3位) 「Andretti Autosportがすばらしいチームワークを発揮してくれた。我々のマシンはレースを通して速く、今晩のレースでは持てる力をすべて出しきれたと思う。2度もポジションを大きく落としながら、2度ともばん回してみせた。絶対にあきらめない、という気持ちで走っていた。それが今晩の我々の戦いぶりだった」

武藤英紀(12位) 「今日はピットクルーが本当にがんばってくれました。マシンはオーバーステアでクラッシュしないように走り続けることが大変でしたが、ピットに入るたびに順位を上げてくれるので、それに応えようと一生懸命走りました。我々のマシンにはスピードはあるので、あと少しマシンをよくできれば上位へと食い込んでいけるはずです。今日のようなピットストップの速さがあれば、優勝争いも可能だと思います。次戦のアイオワは2年連続で表彰台に上っているコースですから、いいレースができると思います」

佐藤琢磨(25位) 「これから、という時に突然マシンのフロアが路面に接触し、壁にぶつかってしまいました。スタートから少しして一度順位を下げましたが、オーバーテイクを重ねて順位をばん回。その後にフロントタイヤがグリップを失い、また順位は下がりました。ピットストップでセッティングやタイヤの内圧を変更し、再度ポジションを上げていけると思ったところでのアクシデントだけに、本当に悔しいです。次のアイオワのオーバルでいい結果を残したいと思います」

ロジャー・グリフィス|HPD レース・チーム・マネジャー 「ブリスコーはすばらしいハンドリングのマシンを手にしており、見事な今季初優勝を飾った。パトリックは多くの強敵を相手に戦いながらポジションを上げていき、レース終盤にブリスコーとの激しい優勝争いを展開し、いったんはトップに立った。惜しくも勝利を逃したが、彼女の戦いぶりにファンは熱狂した。アンドレッティはインディ500に続いて今回のテキサスでも3位でフィニッシュし、トップコンテンダーとしての地位を確保しつつある。レースを通して緊張感に満ちたバトルが多くのポジションを争って行われていた。非常にエキサイティングな、まさにテキサスならではのレースだった」

決勝
順位 No. ドライバー チーム C/E/T タイム/差
16ライアン・ブリスコーTeam PenskeD/H/F02:04:47.1555
27ダニカ・パトリックAndretti AutosportD/H/F+1.4629
326マルコ・アンドレッティAndretti AutosportD/H/F+2.3162
49スコット・ディクソンChip Ganassi Racing D/H/F+3.0770
510ダリオ・フランキッティChip Ganassi Racing D/H/F+7.5882
611トニー・カナーンAndretti AutosportD/H/F+8.0664
737ライアン・ハンターレイAndretti AutosportD/H/F+13.9390
819アレックス・ロイドDale Coyne RacingD/H/F+14.3084
94ダン・ウェルドンPanther RacingD/H/F+15.0859
1014ヴィットール・メイラA.J. Foyt EnterprisesD/H/F+15.8250
118E.J.ヴィソKV Racing TechnologyD/H/F+18.8687
1206武藤英紀Newman/Haas RacingD/H/F+23.0449
13 24 トーマス・シェクターDreyer & Reinbold RacingD/H/F+1Lap
1412ウィル・パワーTeam Penske D/H/F+13.4343
1567サラ・フィッシャーSarah Fisher RacingD/H/F+23.8851
162ラファエル・マトスde Ferran Dragon RacingD/H/F+2Laps
1734マリオ・ロマンチーニConquest RacingD/H/F+23.5938
1877アレックス・タグリアーニFAZZT Race TeamD/H/F+3Laps
1922ジャスティン・ウィルソンDreyer & Reinbold RacingD/H/F+8.2375
203エリオ・カストロネベスTeam PenskeD/H/F+99Laps
2132マリオ・モラレスKV Racing TechnologyD/H/F+99Laps
2236ベルトラン・バゲットConquest RacingD/H/F+99Laps
2318ミルカ・デュノーDale Coyne RacingD/H/F+112Laps
2478シモーナ・デ・シルベストロHVM RacingD/H/F+131Laps
255佐藤琢磨KV Racing TechnologyD/H/F+172Laps
2666ジェイ・ハワードSarah Fisher RacingD/H/F+191Laps
ポイントスタンディング
順位 ドライバー マシン 総合ポイント
1ダリオ・フランキッティChip Ganassi Racing246
2ウィル・パワーTeam Penske243
3スコット・ディクソンChip Ganassi Racing235
4エリオ・カストロネベスTeam Penske211
5ライアン・ブリスコーTeam Penske208
6ライアン・ハンターレイAndretti Autosport201
7ジャスティン・ウィルソンDreyer & Reinbold Racing179
8トニー・カナーンAndretti Autosport179
9マルコ・アンドレッティAndretti Autosport169
10ダン・ウェルドンPanther Racing164
11ダニカ・パトリックAndretti Autosport158
12アレックス・タグリアーニFAZZT Race Team138
13ヴィットール・メイラA.J. Foyt Enterprises134
14ラファエル・マトスde Ferran Dragon Racing126
15マリオ・モラレスKV Racing Technology121
16アレックス・ロイドDale Coyne Racing119
17マイク・コンウェイDreyer & Reinbold Racing110
18武藤英紀Newman/Haas Racing106
19E.J.ヴィソKV Racing Technology103
20マリオ・ロマンチーニConquest Racing99
21シモーナ・デ・シルベストロHVM Racing97
22佐藤琢磨KV Racing Technology83
23グラハム・レイホールRahal Letterman Racing73
24ミルカ・デュノーDale Coyne Racing68
25ベルトラン・バゲットConquest Racing64
26サラ・フィッシャーSarah Fisher Racing41
27トーマス・シェクターDreyer & Reinbold Racing36
28ジョン・アンドレッティAndretti Autosport 35
29アナ・ベアトリスDreyer & Reinbold Racing33
30ジェイ・ハワードSarah Fisher Racing20
31エド・カーペンターPanther Racing20
32タウンゼント・ベルSam Schmidt Motorsports 18
33セバスチャン・サーベドラBryan Herta Autosport15
34デイビー・ハミルトンde Ferran Dragon Racing14
35ブルーノ・ジュンケイラFAZZT Race Team13