決勝日:5月30日(日) サーキット:インディアナポリス・モーター・スピードウェイ 天候:曇り 気温:25℃
第88回目を迎える世界最大のモータースポーツ・イベント、Indy500が今年もアメリカのメモリアル・デー・ウィークエンドに伝統のサーキット、インディアナポリス・モーター・スピードウェイで開催され、Honda Indy V-8搭載のバディ・ライス(レイホール・レターマン・レーシング/Gフォース)が優勝を飾った。これはライスにとってのIndyCarシリーズとIndy500の初優勝であるばかりでなく、Hondaにとっても初のIndy500制覇である。
今回のレースからIRLのエンジン規定が変わり、インディカー・シリーズは3リッターエンジンによる戦いとなった。3リッターエンジンにとって初めてのレースがシリーズ最大のイベント、そして、シリーズ最長の500マイルというロング・ディスタンスで争われることはエンジンメーカーにとって非常に難しい条件だったが、Honda Indy V-8勢は予選でポールポジションから7番手までのグリッドを独占してポテンシャルの高さをアピールし、予選で見せたアドバンテージを決勝レースでもそのまま維持して1位から7位までのポジションを占めた。
5月のインディアナポリスは毎年天候が不安定で、今年も決勝日の予報は雨だった。午前9時過ぎに一度雨が強く降り、レースは翌日に延期される可能性が高まったが、雨雲はインディアナポリス・モーター・スピードウェイを避けて通り、午前11時に予定されていたスタートは約2時間遅れの午後1時過ぎとなった。雨に濡れながらインディカーのハイスピードバトルを待ち続けた40万人の観客が大歓声を上げる中、ポールポジションのバディ・ライスを先頭とするHonda Indy V-8勢がトップグループを形勢してメインストレートからターン1へと飛び込んで行った。
レースは28周を走ったところで雨により一端赤旗で中断された。しかし、空は再び晴れ上がり、1時間47分後に再スタート。そして、最後にまた雨が降り始め、180周でレースは終了となった。全周回数の半分を超す91周をリードしたことが示す通り、ライスのマシンのハンドリングは出場33台のベストに仕上がっており、レースが折り返し地点を迎える直前のピットストップでエンジンストールをしたためにポジションを一気に8位まで落としたものの、後半に素晴らしい追い上げを見せてトップに返り咲いてみせたのだった。
2位には第2戦フェニックスのウィナー、トニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング/ダラーラ)が入賞し、3位には第3戦もてぎウィナーのダン・ウェルドン(アンドレッティ・グリーン・レーシング/ダラーラ)。そして、4位にブライアン・ハータ(アンドレッティ・グリーン・レーシング/ダラーラ)、5位にブルーノ・ジュンケイラ(ニューマン・ハース・レーシング/Gフォース)、6位にヴィットール・メイラ(レイホール・レターマン・レーシング/Gフォース)、7位にエイドリアン・フェルナンデス(フェルナンデス・レーシング/Gフォース)とHondaは1位から7位までを占め、ロジャー安川(レイホール・レターマン・レーシング/Gフォース)は10位、松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング/Gフォース)も11位でゴールした。今日のレースでHonda Indy V-8ドライバーのリード周回数は180周のうちの166周にも上った。
HondaのIndy500挑戦はCARTシリーズ参戦時代の94、95年、IRL IndyCarシリーズへの参戦を始めた昨年に続き、今回が4回目だった。IndyCarシリーズにエンジン・マニュファクチャラーが3社以上出場するようになったのは昨年からだが、1社のエンジンがIndy500でトップ7までを占めるのは今回が初めてのことだ。なお、今回のIndy500制覇により、今年度のHondaはシリーズ第2戦のフェニックス、第3戦もてぎに続いて3連勝を飾り、マニュファクチャラーズ・ポイント・トップの座を守っている。
Hondaの創業者、本田宗一郎はIndy500への挑戦を行うべく、1964年と1966年の二度、Indy500を視察に来た。その30年後にHondaが初めて行ったIndy500へのチャレンジは予選不通過という悔しい結果となったが、40年目の今年、Hondaは世界最大の自動車レースを制することとなった。
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