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ハータがHonda勢トップの3位。安川(後方)は12位に |
シーズン終盤を迎えているIRL IndyCarシリーズは、8月に組まれた3連戦の2戦目をケンタッキー州スパルタのケンタッキー・スピードウェイで開催した。晴れ渡った空と夏らしい暑さの中で行われたレースは、IRL史上最速のハイスピード・バトルとなり、詰め掛けた4万5000人を超すファンの前で第8戦のウィナー、ブライアン・ハータ(アンドレッティ・グリーン・レーシング)が、予選13位から果敢な追い上げを見せ、3位フィニッシュを果たした。彼のチームメイトでシリーズポイントリーダーのトニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング)も予選11位から5つポジションアップの6位でチェッカーフラッグを受けた。この結果、カナーンは28点を加算、総獲得ポイントを385点へと伸ばしてランキング2位との差をさらに1点広げた。
ケンタッキー州スパルタに作られた1.5マイルオーバル、ケンタッキー・スピードウェイは、路面が昨年と比べてバンピーに変貌したことから、アクセル全開でのサイド・バイ・サイド・バトルが展開されるサーキットから、マシンセッティングの良し悪しが勝敗を決するコースへと生まれ変わっていた。
ハータ、カナーンに続くHonda Indy V-8勢は、ダン・ウェルドン(アンドレッティ・グリーン・レーシング)が8位フィニッシュ、ロジャー安川(スーパー・アグリ・フェルナンデス・レーシング)が12位フィニッシュを果たした。ケニー・ブラックはマシン火災によりリタイアに終わった。
優勝はポールポジションからスタートした2001年、2002年の2年連続シリーズチャンピオン、サム・ホーニッシュJr.(パンサー・レーシング)。彼自身にとって今季初勝利となった。
フルコースコーションが1回しか出されなかったことも手伝い、ケンタッキー・スピードウェイでのレースはIRL史上最速の平均速度=197.897マイルでゴールを迎えた。これまでのレコードは、ミシガン州のミシガン・インターナショナルスピードウェイで行われた第10戦の時速180.917マイルだった。また、フルコースコーションの出なかった連続周回数=146周はIRL史上最多で、レースを通じてのフルコースコーションが1回だったこと、その合計周回数=10周は、ともにIRL史上最少の記録となった。
ルーキーポイント争いでは、安川がトップのポジションを保っている。今回のレースで予選16位だった安川は、燃料関連のトラブルもあったために2周の周回遅れとなったが、着実に順位を上げて行き、最後にはスコット・シャープ(ケリー・レーシング)、女性ドライバーのサラ・フィッシャー(ドレイヤー&ラインボールド・レーシング)とのバトルを制して12位でフィニッシュした。18点を加算した安川を追うのはウェルドンで、両者の差はレース前の26点から20点へと縮まった。
●3位 ブライアン・ハータ 「ピットでのアクシデントがあった後のレースだけに、今回の結果は素晴らしいものだと言っていいと思う。今日のレースは、自分のキャリアの中でもベストに数えられるものだった。すべてのラップでマシンの力を引き出せていたからだ。ケンタッキーのコースはマシンをコントロールし続けるのが難しい。ピットストップも最高で、ピットに入るたびにポジションを上げることができていた。今回はスターティング・グリッドが後方だったので、コース上の混雑が凄く、危ないシーンもあった。シーズン途中からの参戦なので、僕はポイントよりもレースでの勝利を狙う戦い方をしている。そして、今日の僕らには勝つチャンスがあった」
●6位 トニー・カナーン 「常に目の前の1戦に集中して戦うことにしている。そして、1戦ごとにポイントリードを広げることを目指している。そして、今日はそれを実現できた。マシンはレースを通して非常に安定していたが、トップと同じペースを保ち続けるという意味で本当に難しいレースだった。終盤のエリオ・カストロネベスとのファイトはエキサイティングだった。次はナザレスだ。僕らが勝つ可能性は大きいと信じている。フェニックスで優勝したように、僕らはショートオーバルのセッティングが非常に良いし、僕はナザレスのコースが大好きだ。来週が楽しみだ」
●8位 ダン・ウェルドン 「今日はとても厳しい戦いだったので、自分が8位でゴールできたことには、ちょっと驚いている。チームが頑張ってくれて、僕らは今日のマシンで手にできるベストの結果を実現したということだと思う。クルーたちはピットストップで素晴らしい力を発揮してもくれた。次のナザレスを楽しみにしている」
●12位 ロジャー安川 「ハンドリングはとても良かったのですが、燃料をモニターするシステムのトラブルがあったために1回目のピットストップは少し早めに入らなければならなくて、大きくポジションを落としてしまいました。2回目のピットストップに入る時にはガス欠に陥りました。このハンディは大きすぎましたね。あとはフィニッシュと、できる限り多くのポイント獲得を目指しました」
●15位 グレッグ・レイ 「レース序盤のハンドリングはまずまずだったが、途中からトラフィックの中で大きなアンダーステアが出るようになった。一度低いラインに進入してしまったためにポジションを大きく落とした。1回目のピットストップで施したセッティング変更によってマシンのハンドリングは向上したが、その時点ですでに周回遅れとなっていた。その後の2回のピットストップでもセッティングに調整を加え、レース終盤のハンドリングはとても良いものになっており、時速216マイル平均のラップを続けて記録することができた。残念なのは、その時点までにトップグループから大きく引き離され、勝負に加わることができなかったことだ」
●19位 ケニー・ブラック 「すべてが順調に進んでいた。イエローフラッグが出た時、コースのイン側にラインを取るよう無線で指示されたので、誰かが外側の壁にクラッシュしたのかと思った。自分がイエローの原因とはまったく知らなかった。エンジンは快調に回っていたが、何か異臭がして来たのでピットに入った。ブレーキが効かなくなっていたので、多分ブレーキが熱くなり過ぎてしまったのだと思う。ピットロードに入ってから炎が見えた。ここ3戦ほど不運に襲われ続けている。スタートは非常によく、6台をパスできたが、その後にアンダーステアが強くなって行き、アクセルを戻したことで一気に5台にパスされた時もあった。何台かを抜き返すことはできたが、今日はオーバーテイクが非常に難しい状況だった」
●ロバート・クラーク:HPD VP&ゼネラルマネージャー 「ブライアン・ハータがチームの作戦も良く、3位でゴールした。我々のHonda Indy V-8は、フルコースコーションの1回しかなかったハイペースのレースで、ライバルたちによりも長く走り続けていた。燃費性能は非常に良いものにできているということだ。今回も小さなものだが新しい技術を投入しており、最新スペックを使ったハータが3位でゴールした。開発の成果が現れた結果だろう。ケンタッキーはハンドリングが重要なコースで、サム・ホーニッシュJr.とパンサー・レーシングは、すべてを完璧に仕上げていたことで勝利を手に入れた。エンジンのパワーについては、3メーカーがほぼ互角の性能を発揮していることを示すレースだった」
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