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今シーズン3度目のナイトレース |
テネシー州ナッシュビルの別名は、ミュージック・シティ。ナッシュビルはカントリー&ウェスタン・ミュージックの故郷で、アメリカ音楽産業の中心地である。
そのナッシュビルの中心部から東へ約30マイルほど進んだところにあるナッシュビル・スーパースピードウェイは、ショート・オーバルとインターミディエイト・オーバルの間の1.33マイルという独特のコース全長で、しかも、路面がコンクリートというユニークな特徴を備えている。バンクの角度は14度と急で、コンクリート舗装が持つ独特の高いグリップも手伝い、ハイスピードでのバトルが展開されるエキサイティングなオーバルとなっている。高いグリップの路面は、継ぎ目があるためにバンピーで、同時にタイヤを磨耗させ易い特徴もあるため、タイヤを消耗させないマシンセッティングも勝利を手にするためには重要となる。
今シーズンの後半戦に突入する第9戦は、今年3戦目、そして最後のナイトレースである。決勝日のナッシュビルは夏を迎えた南部らしい暑さとなったが、日の暮れる少し前の夜7時過ぎのスタートとあって、グランドスタンドを埋めた4万人を超すファンは夕涼みをしながらのレース観戦を楽しむことができた。スタート前のセレモニーでは、カントリーミュージックのスター、ワイオナ・ジャッドがアメリカ国歌を斉唱。ミュージック・シティならではの演出の後、照明に照らし出されたコースにグリーンフラッグは振り下ろされた。
200周で行われた決勝では、Honda Indy V-8勢は、ルーキーのダン・ウェルドンが予選8位からスタートし、4位でゴールした。燃費をセーブする作戦も功を奏し、ウェルドンは自己最高位を記録した。予選9位からスタートしたケニー・ブラックは、ピットストップでのトラブルが響き6位でゴール。ポイントリーダーのトニー・カナーンは、最多の55周においてトップを走行したものの、不運にもピットタイミングがレース展開に合わず、9位でフィニッシュ。前戦カンザスシティのウィナー、ブライアン・ハータはレース中盤にトップを走行したものの、最終的に12位でゴールした。ルーキーポイント・トップのロジャー安川は、予選10位から5位までポジションアップする走りを見せていたが、燃料系トラブルが発生し、3周遅れの15位。そして、グレッグ・レイは、ピットでの火災があり、16位となった。
266マイルに渡るレースは、今年のインディ500ウィナーのジル・ド・フェランが優勝。199周目にスピンしたマシンがあったため、ゴールはイエローフラッグとチェッカーフラッグが同時に振られるものとなった。
シリーズポイント争いにおいて、Honda Indy V-8を搭載するカナーンは24ポイントを獲得。この結果、2位に14ポイントの差をつける合計ポイント303点を記録し、シリーズポイント・トップの座を第4戦から堅持している。
●4位 ダン・ウェルドン
「チームマネージャーのトニー・コットンが立てた作戦が良く、4位でゴールすることができた。燃費をセーブする作戦を初めて行い、多くを学ぶことができた。僕のマシンは、リスタートの時は万全でなく、ターン2からの立ち上がり加速が良くなかったけれど、一端スピードに乗ると非常にハンドリングが良かった。マシンのフィーリングが素晴らしかったことで、ゴールを目指すことだけに集中すれば良いレースになっていた。ずっとアクセル全開に近い状態で走り続けることができた」
●6位 ケニー・ブラック
「レース終盤にマシンはとても速くなっていた。ピットストップでのトラブルが残念だった。左フロントタイヤをしっかり装着し直すために、一回多くピットに入らなければならなかった。あれで17位まで下がって、そこから挽回していった。レース中盤はタイヤが良くなかったのか、ハンドリングが思い通りではなかった。しかし、最後のピットストップで装着したタイヤは非常に良く、速く走ることができていた。トーマス・シェクターを抜いて6位に上がる時には、芝生に飛び出てパスした。クルマのセッティングもようやく良いものになって来ている。次のミシガンではいいレースができると思う」
●9位 トニー・カナーン
「いいスタートを切ることができたが、その後は考えられる悪いことが全部起こった。前半の70周ほどは良かった。これもレースではよくあること。今日の我々は、まったく運がなかった。コース上で、ひとつのアクシデントが起きた後、さぁまた戦うぞと走り出すと、またアクシデントが発生するという具合だった。フラストレーションのたまる展開になっていた」
●12位 ブライアン・ハータ
「我々の今日のマシンは素晴らしかった。優勝できるだけの速さを持っていた。しかし、結果は12位となった。非常に残念だ。レース前半はとても良い感じで進んでいたが、クラッシュに巻き込まれそうになり、それを避けるためにスローダウンしたことで周回遅れになってしまった」
●15位 ロジャー安川
「マシンのセッティングはとても良いものになっていました。トップ5を狙えるものに仕上がっていたと思います。しかし、今日は残念ながら燃料ポンプか何かのトラブルが出てしまいました。タイヤをカットしてしまう不運もありました。今日はトラブルのためと、グレッグ・レイとリスタートで接触してしまったこともあって良い結果を残すことはできませんでしたが、オーバーテイクをするためのタイミングの合わせ方が分かってきたし、ドライバーとして成長を遂げることができていると思います」
●ロバート・クラーク:HPD VP&ゼネラルマネージャー
「Honda Indy V-8のパフォーマンスには満足している。今日のレースではピットストップのタイミングが大きな要因となっていた。我々のチームは、それが良い方に展開しなかった。 IRLのルールによる制限があるため、エンジンのパワーを一気に上げることはできないが、限られた範囲の中で、エンジンの基本的な技術に集中し、パワーを引き出すことを目指した開発を着々と進めることができている。小さなゲインだが、それらを積み重ねるという、去年まで戦っていたCARTシリーズとはまったく異なるチャレンジを我々は行っているのだ」
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