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Honda勢トップの5位に入ったカナーンのピットシーン |
アメリカ建国以来の歴史を持つバージニア州のリッチモンドでIndyCarシリーズ第7戦が開催された。今シーズン2回目のナイトレース(現地時間午後8時スタート)となった今大会は、シリーズ中最短となる全長0.75マイルのコースで行われ、250周を予定していたものの206周目に降雨のためレース終了となった。この結果、Honda Indy V-8搭載のダラーラを駆るトニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング)が、粘り強い走りで5位に入賞。トータル247ポイントとなり、2位に27ポイント差をつけ、シリーズポイントリーダーの座を保った。 リッチモンド・インターナショナル・レースウェイは、南北戦争時代に南部連邦軍の首都であったダウンタウン東側にある全長0.75マイルのコース。シリーズ中最短ながら、バンクの角度が14度あるショートトラックでの戦いは、まさにインディカー・レースならではのサイド・バイ・サイドの激しいものになり、集まった5万人を超すファンはハイスピードバトルを堪能した。
予選4位を得たHonda Indy V-8搭載のダラーラを駆るトニー・カナーンは、レースではスタート直後からトップ争いを繰り広げ、最終的に5位でゴール。シリーズポイントリーダーの座を保った。レースは終盤の199周目に突然降り出した雨によってフルコースコーションとなり、206周で赤旗とチェッカーフラッグが同時に出された。優勝はポールポジションからスタートしたスコット・ディクソンで、1周目から全ラップをリードしてゴール。2位、3位にはチーム・ペンスキーの2台が入賞した。
カナーン以外のHonda Indy V-8勢は、ケニー・ブラックがタイヤの外れるトラブルに見舞われながらも7位でゴールし、ルーキーのダン・ウェルドンは終盤にポジションを8位まで上げた。同じくルーキーのロジャー安川は11位を得、グレッグ・レイはリスタートでスピンを喫したために1周遅れの12位となったが、スピンまではトップグループを戦い、シーズン後半の活躍が期待される走りとなっていた。第6戦パイクスピークで復活したダリオ・フランキッティは、再検査の結果背骨の手術を行うこととなり、今シーズンの残りのレースをすべて欠場することを決めた。アンドレッティ・グリーン・レーシングは、彼の代役として、ブライアン・ハータを起用することを決定。ハータは予選8位からトップ6を争い続けたが、終盤に壁に接触したために14位でゴールした。
●5位 トニー・カナーン
「厳しいレースだった。セッティングの選択を誤ったからだ。しかし、責められるのは自分であって、誰かに責任があったわけじゃない。エンジニアに的確に自分の求めるクルマのハンドリングを伝え切れなかったということだ。それでも5位でゴールできたのだから、結果としては悪くない。リッチモンドでのレースが難しいものになるのは予想できたが、自分がどういうマシンをレースで必要とするか、それを完全に把握できなかった。自分たちとしてはベストを尽くし、トップ5を得た。それはいいことだ。今後スケジュールされているレースは事前のテスト結果も非常に良いので、いい成績が残せるものと期待している。Hondaは素晴らしいパワーを僕らに与えてくれている。次こそは勝ちに行く」
●7位 ケニー・ブラック
「今日のレースでは幸運も不運も両方あった。スタート直後は、チームの無線が聞こえていたけれど、僕の声がピットには通じていなかった。マイクロフォンか配線にトラブルがあったのだろう。チームマネージャーのスコット・ロムキーの声だけを頼りに走っていた。スタートはとても良く、幾つもポジションを上げることができた。しかし、最初のピットストップでは規定の位置にちゃんと止まったのに、テープか何かの上にジャッキが乗ってしまったらしく、クルマが動いてしまった。それで右リヤのホイールナットがしっかり締められず、タイヤが外れてしまった。ピットアウトした時は4位だったのに、もう一度ピットしなくてはならなかったので12位ぐらいまでポジションダウンした。レース中盤はオーバーステアがひどくて苦しかった。最終的にはマシンのハンドリングを良くできたけれどね。最後は右フロントタイヤがスローパンクチャーで空気圧がどんどん下がってしまっていた。そこを雨で救われた」
●8位 ダン・ウェルドン
「今日のレースでは順位をキープするのが本当に大変だったが、クルーたちがピットストップで頑張ってくれた。今日のレースでは、とてもオーバーテイクが難しかった。サム・ホーニッシュJr.にパスされた時に一瞬失速して、ケニー・ブラックにもパスされてしまった。マシンのハンドリングは良く、ピットストップも良かったことで、良い1日と言えるが、今日得られた結果以上の内容が自分たちのレースにはあったと思う。そして、レースをフィニッシュできたことが何よりも嬉しい」
●11位 ロジャー安川
「いいレースもできたし、楽しいレースでもありました。作戦も良かったので、一端周回遅れになったのを挽回もできました。リスタート前にブレーキを暖めていなかったために、ターン1でオーバーランをしてしまって、タイヤかすを拾ってペースアップができない時があり、それで最終的に周回遅れになってしまいました。206周で雨のために終わっちゃいましたけど、遅くピットに入った分、燃費の心配もまったく自分にはなかったので、最後まで走りたかったとも思います。そうすれば、燃費が苦しくなるドライバーも出てきて、おもしろい展開になっていた可能性もありますから。来年のためにも、今回このコースで走れたことは良かったです。周回が進むに連れてどれぐらい路面のコンディションが変化するのか、そういうことがわかったレースでした」
●12位 グレッグ・レイ
「レース前半の自分たちはとても安定して速かった。マシンのフィーリングも非常に良かった。無理に攻撃的に走らなくても好タイムを保てており、トップと遜色のない速さがあった。リスタートでスピンしたのは、みんなが遅かったので、追いついてインに飛び込んだ時だった。トップ5に入れるマシンに仕上がっていただけに、とても残念な結果になってしまった」
●14位 ブライアン・ハータ
「今日のマシンはどんどんオーバーテイクして行けるものにはなっていなかった。最後のリスタートでなんとかポジションを上げようと考えていたら、ケニー・ブラックをターン1、ターン2でアウトからパスできた。狙っていたわけではないが、ちょうどそこに飛び込める空間を見つけた。ところが、アウトに行ったことでグリップがなくなり、壁に接触してしまい、ポジションを大きく落とすことになってしまった」
●ロバート・クラーク:HPD VP&ゼネラルマネージャー
「リッチモンドはハンドリングが非常に重要なコースだ。このコースではマシンのセッティングを出す能力がチームに求められる。我々のチームは今年がIRLは初めてで、リッチモンドも初めてだったことから、経験が不足しており、それがレース結果に現れた。今後はチームとIndyCarシリーズを戦って行くために必要な発想、戦い方を追求して行きたい」
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