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PPスタートのカナーンは2位でフィニッシュ |
インディカー・シリーズ第6戦ホンダ・インディ225は、ロッキー山脈のすぐ東側、コロラド州ファウンテンに97年に完成したパイクス・ピーク・インターナショナル・レースウェイで開催され、Honda Indy V-8搭載のトニー・カナーンが、先週のテキサスに続いて2位フィニッシュ(今シーズン3回目)。シリーズ・ポイントリーダーの座を堅持しただけでなく、2番手につけるドライバーとの差をレース前の26点から49点へと大きく広げた。カナーンのチームメイトで今レースから復帰したダリオ・フランキッティは表彰台にあと一歩の4位でフィニッシュ。ケニー・ブラックは7位。ロジャー安川とグレッグ・レイはトラブルに見舞われ17、18位。ダン・ウェルドンは214周目にスピンを喫し19位に終わった。
優勝はスコット・ディクソン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)、開幕戦に続き今シーズン2勝目を挙げた。
今回のレースは海抜1800メートルの高地で行われるため空気が薄く、エンジンパワーは100馬力以上が失われてしまう。また、ウィングを使って得られるダウンフォースも、空気の密度が低いために小さく、安定したハンドリングを実現するのが難しい。逆に、空気抵抗は少ないためにスピードは出し易く、1周の平均時速は約180マイルと、同じ全長1マイルのコースで行なわれた第2戦フェニックスと大きくは変わらない。
今回のレースは2デイ・イベントで、土曜日のプラクティスは晴天下で行なわれたが、予選は突然の雷雨によってキャンセルされ、スターティンググリッドは2度のプラクティスでのタイムによって決定した。ポールポジションは唯一20秒を切るラップタイムを出していたトニー・カナーンのものとなった。怪我が完治して今回からレースに復帰したダリオ・フランキッティは7番グリッド。ケニー・ブラックが8番で、ロジャー安川は11番手グリッド。グレッグ・レイが12番手、そして、ダン・ウェルドンが13番手グリッドからスタートすることとなった。
レースは午後2時にクリーンなスタートで始まり、10度バンクを使った激しい戦いは、フルコースコーションが少ない、ハイペースの展開となった。周回が進むに連れてタイヤの磨耗が進み、ラップタイムは全体的に下がるが、その下がり幅の少ないドライバーが上位を走った。Honda Indy V-8勢は、カナーンが終始トップグループを走行し、フランキッティも安定した走りを続けていた。ロジャー安川は11番手スタートからピットストップを早めに行なう作戦もプラスに働いてトップまでポジションアップ。安川はその後もトップ5を争い続けたが、残り5周のリスタートでリヤウィングが突然壊れたため壁に接触。そのため残り周回はフルコースコーションのままとなり、2位を走行していたカナーンは最後の逆転のチャンスを与えられなかった。ブラックはハンドリングに苦しみながらも7位でフィニッシュ。レイは1回目のピットストップでエンジンストールし、再スタートに時間がかかったために周回遅れに陥り、18位でゴールした。
●2位 トニー・カナーン
「ホンダ・インディ225で勝てたら、どんなに良かったことか。 しかし、2位も良い結果だと思う。シーズン開幕から、自分たちはどのレースでも勝てる力を発揮してきている。レース序盤は良かったが、周回を重ねて行った時にライバルに差をつけられていた。しかし、また大量得点を挙げたことによって、ポイントリードをさらに広げることができた。これは重要なことだ。チームメイトのダリオも今日は頑張っていた。復帰した最初のレースからとても速かった。彼の復帰もマシンを仕上げて行く上で大きく役立っていた」
●4位 ダリオ・フランキッティ
「レースに復帰できて嬉しい。トップ3フィニッシュできる可能性も十分ある状況だった。しかし、最後のリスタートで周回遅れのマシンに引っかかり、ジル・ド・フェランにインを取られた。アウト側に並んだままコーナーを回ってポジションを守ろうとしたけれど、グリップの低い部分に入ってしまい、先行を許してしまった。その後にイエローがもう一度出て、3位を奪い返すチャンスはもらえなかった」
●7位 ケニー・ブラック
「最初のピットストップでは回転数を上げてクラッチをつなげようとしたら、エンジンが突然止まってしまった。あそこでのロスは痛かった。しかし、ターン1とターン2ではオーバーステア、ターン3とターン4ではアンダーステアと、今日はハンドリングの良くないマシンが多かったが、自分たちもそのうちの1台になっていた。セッティングを良くするべく、努力を続けて行かないとならないね。これから我々はカンザスとケンタッキーでテストを行なうので、そこで集められるデータが今後のシーズンで役立つものになると期待している」
●17位 ロジャー安川
「リヤウィングが突然落っこちてしまった。ストレート走行中に急にグリップが感じられなくなって、壁に突っ込んでしまった。チーム全体にとって不運なアクシデントになった。今日のレースは、あの時点までは凄く良いものになっていた。6位フィニッシュは確実だった。ピットストップも最高で、クルーたちには本当に感謝している。リザルトは残念なものになってしまったが、今日のレースは楽しかったし、同時に多くの貴重な経験も積むことができた」
●18位 グレッグ・レイ
「最初のピットストップに入るまではトップ10を走っていた。しかし、ピットレーンでマシンが完全にストップしてしまった。スターターがトラブルを起こすまでは何の問題もない普通のピットストップだったが、スターターのシャフトが壊れてしまった。レースに戻るまでに4周をロスした。あれさえなければ、悪くとも1周の遅れでゴールできていたはずだ。走っている間に感じたライバルたちのスピードを考えると、6位か7位という結果を残せていたレースだった」
●19位 ダン・ウェルドン
「今日の自分のレースは、これまでのキャリアの中で一番難しいものとなっていた。ゴールまで走り切ることを目指していたが、残念ながらそれは果たせなかった。速いマシンにラインを譲ったら、タイヤかすに乗ってスピンしてしまった。多くのマシンがイン側に飛び込んで来たために、汚れているラインに出ざるを得ない状況に追い込まれてしまった。スピンはしたが、何にもぶつかりはしなかった」
●ロバート・クラーク:HPD VP&ゼネラルマネージャー
「我々のチームはいい走りができているが、残念ながら勝つことはできなかった。しかし、勝てるだけの力を備えていることは、今回のレースでも証明されていた。標高の高いサーキットでのレースだったが、エンジンは想定していたとおりのパフォーマンスを発揮していた。今回のようなコースでのレースは我々のチームにとって初めてで、彼らも多くを学び、吸収しながら戦っていた。燃費、パワー、信頼性の高さは既に証明されているが、エンジンの改良を更に重ねていきたい」
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