2020年インディカー・シリーズの最終戦がフロリダ州のセント・ピーターズバーグで開催されました。30℃を超すハードなコンディションの中、スコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)が着実な走りを見せ、3位でフィニッシュ。通算6回目のシリーズチャンピオンに輝きました。
14戦で争われたシーズンでHondaは7勝をマークし、2018年から3年連続(通算9回目)のマニュファクチャラーズ・チャンピオンシップ獲得を成し遂げました。これはHondaが1994年にアメリカのトップオープンホイールへの参戦をして以来、27年間の歴史の中で初の快挙です。Hondaは1996年、1998-99年、2001年、2004-05年、2018-19年にもマニュファクチャラーズ・タイトルを手にしてきました。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で6月にシーズンが開幕すると、ディクソンはいきなり3連勝しスタートダッシュを決めました。その後も彼と彼のチームは安定したドライビングを続け、アンソニー・ジョセフ・フォイトの持つ7回に迫る6回目のシリーズチャンピオン獲得を達成しました。多数のシリーズチャンピオンを輩出してきたChip Ganassi Racingからシリーズチャンピオンが生まれるのは、今回で13回目です。
現在はチームオーナーとして活躍中のジミー・バッサーが1996年にHondaドライバーとして初めてアメリカン・オープンホイールのチャンピオンになりました。それ以降、アレックス・ザナルディ(1997-98年)、ファン・パブロ・モントーヤ(1999年)、ジル・ド・フェラン(2000-01年)、トニー・カナーン(2004年)、ダン・ウェルドン(2005年)、サム・ホーニッシュJr.(2006年)、ダリオ・フランキッティ(2007、2009-11年)、 そしてディクソン(2008、2013、2018、2020年)がインディカーチャンピオンの栄冠を手にしています。今回のディクソンの達成により、Hondaドライバーがチャンピオンシップを獲得するのは17回目となりました。
今日のレースは気温・湿度ともに高いコンディションのもと、100ラップで争われました。残り20周に差しかかった際には、短時間ではあったものの雨も振りました。
ポールポジションからスタートしたウィル・パワーは最初の5周をリードしましたが、アレクサンダー・ロッシ(Andretti Autosport)が彼をパス。ロッシはレース最多となる61周をリードしましたが、74周目に壁にヒットしてレースをリタイアしました。
ロッシ以外のHondaドライバーでは、コルトン・ハータ(Andretti Harding Steinbrenner Autosport)、ジェイムズ・ヒンチクリフ(Andretti Autosport) 、アレックス・パロウ(Dale Coyne Racing with Team Goh) の3選手がトップを走りました。しかし、ロッシのアクシデントが発生したあと、ハータはコースアウト、ヒンチクリフも難しいコースコンディションに敗れレース続行を断念しました。パロウは燃費でのギャンブル的な作戦が功を奏しトップ3を走っていましたが、数ラップ足りず表彰台には届きませんでした。
多くのドライバーたちがさまざまなドラマに見舞われる中、11番グリッドからスタートしたディクソンは、レース終盤の80周目に3番手に浮上しました。すでに今シーズン4勝を挙げているディクソンが3位で表彰台フィニッシュし、チャンピオン獲得を華々しく飾る結果となりました。
佐藤琢磨(Rahal Letterman Lanigan Racing)は、予選13番手からジワジワと順位を上げ、レース終盤の75周目には6番手を走行。しかし、その直後にライバル勢との接触があり、オフィシャルによってリスタート時に最後尾まで下がるペナルティーを科せられました。それでも佐藤はあきらめることなく最後まで戦い抜き、10位でフィニッシュしました。第104回インディアナポリス500マイルで優勝した佐藤は、キャリアベストとなる年間ランキング7位で2020年シーズンを終えました。
スコット・ディクソン(3位/シリーズチャンピオン)
「すべてはチームのおかげです。チームのみんなにはいくら感謝をしても感謝しきれません。チームオーナーのチップ・ガナッシ、レースディレクターのマイク・ハルとバリー・ワンザー、そしてHondaの関係者全員に『ありがとう』と言いたいです。僕はHondaパワーで走ることを誇りに感じています。今シーズン、Hondaは本当にすごいことを成し遂げてくれました。目標を見事に達成してくれたんです。家族を含め、みんなに深く感謝します。決して一つのことや、一人の人間の力によって達成されたのではありません。チームの力です。オフシーズンにはチーム内に多くの変更がありました。来年も同じように変化はあるでしょうが、とにかくチームのみんなに本当に感謝しています。これからみんなでビールで乾杯をしようと思います」
佐藤琢磨(10位/シリーズランキング7位)
「セント・ピーターズバーグにまた戻ってこられてよかったです。今日は厳しいレースでした。後半、僕たちは6番手につけており、トップ5でゴールする可能性が見えていました。しかしAndretti Autosportのマシン2台とのアクシデントになりました。確かにマシン同士の接触が少しありましたが、ペナルティーを受けたのは不運にも僕の方だけです。リスタート時に最後尾まで順位を下げられ、僕のレースは実質的に終わってしまいました。それでも、僕たちはそこからトップ10まで順位をばん回し、グレアム・レイホールと一緒にゴールを迎えることができました。すばらしいシーズンでした。もう一度皆さんに御礼を言いたいと思います。エンジニアのエディー・ジョーンズ、ありがとう。カーナンバー30のマシンで働いてくれたメカニックたちも、ありがとう。Rahal Letterman Lanigan Racingは本当にすばらしい仕事をしてくれました。また2021年もこのチームでともに戦えることを誇りに感じます。僕としては7位というキャリア最高のシリーズランキングを手にすることになりましたが、今日のレースではもっと上位でゴールしたかったですね。それでも、ファンタスティックなシーズンであったことに変わりはありません。皆さん、また2021年にお会いしましょう」
順位 | No. | ドライバー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | J.ニューガーデン | シボレー | 100 | 2:06'12.5948 |
2 | 5 | P.オワード | シボレー | 100 | +4.1409 |
3 | 9 | スコット・ディクソン | ![]() |
100 | +6.1561 |
4 | 14 | S.ブルデー | シボレー | 100 | +7.4132 |
5 | 28 | ライアン・ハンター-レイ | ![]() |
100 | +9.7529 |
6 | 22 | S.パジェノー | シボレー | 100 | +10.5773 |
7 | 8 | マーカス・エリクソン | ![]() |
100 | +11.0696 |
8 | 4 | C.キンボール | シボレー | 100 | +15.8580 |
9 | 15 | グラハム・レイホール | ![]() |
100 | +16.3743 |
10 | 30 | 佐藤琢磨 | ![]() |
100 | +16.7748 |
11 | 88 | コルトン・ハータ | ![]() |
100 | +24.2149 |
13 | 55 | アレックス・パロウ | ![]() |
100 | +43.5791 |
14 | 26 | ジェームズ・ヒンチクリフ | ![]() |
100 | +1'04.0661 |
18 | 10 | フェリックス・ローゼンクヴィスト | ![]() |
98 | +2Laps |
19 | 60 | ジャック・ハーヴィー | ![]() |
97 | +3Laps |
20 | 98 | マルコ・アンドレッティ | ![]() |
74 | +26Laps |
21 | 27 | アレクサンダー・ロッシ | ![]() |
69 | +31Laps |
23 | 18 | サンティノ・フェルッチ | ![]() |
40 | +60Laps |
順位 | ドライバー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|
1 | スコット・ディクソン | ![]() |
537 | |
2 | J.ニューガーデン | シボレー | 521 | |
3 | コルトン・ハータ | ![]() |
421 | |
4 | P.オワード | シボレー | 416 | |
5 | W.パワー | シボレー | 396 | |
6 | グラハム・レイホール | ![]() |
377 | |
7 | 佐藤琢磨 | ![]() |
348 | |
8 | S.パジェノー | シボレー | 339 | |
9 | アレクサンダー・ロッシ | ![]() |
317 | |
10 | ライアン・ハンター-レイ | ![]() |
315 | |
11 | フェリックス・ローゼンクヴィスト | ![]() |
306 | |
12 | マーカス・エリクソン | ![]() |
291 | |
13 | サンティノ・フェルッチ | ![]() |
290 | |
15 | ジャック・ハーヴィー | ![]() |
288 | |
16 | アレックス・パロウ | ![]() |
238 | |
20 | マルコ・アンドレッティ | ![]() |
176 | |
21 | ザック・ヴィーチ | ![]() |
166 | |
23 | ジェームズ・ヒンチクリフ | ![]() |
138 | |
32 | スペンサー・ピゴット | ![]() |
17 | |
34 | ジェームズ・デビソン | ![]() |
10 |