Round01アメリカテキサス

2020年6月6日(土)・決勝

テキサス・モーター・スピードウェイ

第1戦 テキサス

スコット・ディクソンが今季初のウイナーに
佐藤琢磨は予選でのクラッシュにより出走できず

2020年のインディカーシリーズは新型コロナウイルスの感染拡大の影響によって開幕が延期されていましたが、当初より3カ月近くが経った6月6日に、テキサス州フォートワース郊外にあるテキサス・モーター・スピードウェイで、ついに全14戦のシーズンが開幕しました。

24台のマシンがエントリーしたレースは、最大24度の急なバンクを持つ全長1.5マイルのオーバルコースを使い、無観客で開催されました。北米大陸の南部に位置するテキサス州は、もうすでに夏を迎えており、暑いコンディションの下で時速215マイルオーバーの超高速バトルが展開されました。歴史的な意味を持つ今回のレースで勝利を収めたのは、Hondaエンジンを搭載するChip Ganassi Racingのカーナンバー9を駆るスコット・ディクソンでした。200周のレースで157周をリードする圧倒的なパフォーマンスによって、ディクソンはキャリア47回目となるインディカーでの勝利を記録しました。

今回のレースでは、メカニックたちのソーシャルディスタンス保持が義務付けられ、スターティンググリッド上でエンジンを始動する際には、Hondaのエンジニアがチームをアシストすることができませんでした。また、出場全車に装着される統一規格のECUに問題が発生したマシンが現れ、ライアン・ハンター-レイ(Andretti Autosport)、グレアム・レイホール(Rahal Letterman Lanigan Racing)、アレクサンダー・ロッシ(Andretti Autosport)が、オープニングラップでトップから1周の遅れを余儀なくされました。

スタートではポールポジションのジョセフ・ニューガーデン(シボレー)がトップを守りましたが、すぐにディクソンと、Chip Ganassi Racingのチームメイトであるフェリックス・ローゼンクヴィストがライバル勢を上回るスピードを持っていることが明らかになりました。32周目に、ディクソンがニューガーデンをパスしてトップに躍り出ると、その後はピットストップで一時的にその座を譲ることはあっても、コース上でのスピードによってレースリーダーに返り咲き、5秒以上のリードを築くシーンも見せて、シーズン初戦優勝に向けて逃げきりました。これでディクソンはキャリア47勝目。テキサス・モーター・スピードウェイでは4度目の勝利となりました。また、ディクソンは、16年連続でインディカー・シリーズにおける勝利を記録するとともに、18のシーズンで優勝を挙げるという記録でA.J・フォイトに並びました。

ローゼンクヴィストは自己ベストに並ぶ2位フィニッシュ目前でしたが、周回遅れのマシンを追い抜こうとしてコントロールを失い、191周目に壁に激突しました。4位はザック・ヴィーチ(Andretti Autosport)。2019年シーズンには本領を発揮できなかったヴィーチですが、その苦しい状況から立ち直り、自身のキャリアベストに並ぶ4位でのゴールを果たしました。コルトン・ハータ(Andretti Harding Steinbrenner Autosport)は予選14番手から着々と順位を上げて7位でフィニッシュ。彼の先輩チームメイトであるハンター-レイは、スタートでの遅れを取り戻してリードラップに復帰し、8位という結果を残しました。

昨年のテキサスでポール・トゥ・ウインを果たした佐藤琢磨(Rahal Letterman Lanigan Racing)は、今回もプラクティスで6番手につけるラップタイムをマークし、順調に見えていました。しかし、予選のアタックラップに入る前にマシンのバランスを崩し、壁にヒット。予選から決勝までのインターバルが2時間と短く、レースのスタートにマシンの修理と準備を間に合わせることができなかったため、決勝レースをスタートすることができませんでした。

次回、シリーズ第2戦は、アメリカの独立記念日7月4日に決勝が行われるGMRグランプリ。開催サーキットはインディアナ州のインディアナポリス・モーター・スピードウェイのロードコースです。

コメント

スコット・ディクソン(優勝)
「マシンは、走りだしから本当に速かったですね。この3週間、私たちはインディアナポリスにあるHondaのシミュレーターを使っていました。それがレースに向けた準備で大いに役立ちました。これほどすばらしいマシンを手に入れるなんて、滅多にないことです。私たちにとって、とても楽しい夜となりました。長いこと開幕ができずにいただけに、またレースを戦える状況になったときに見事なスタートを切れて、最高だと感じています。レースではHondaエンジンが非常に大きなパワーを発揮してくれました。私たちのマシンは、今夜はどんな状況でも本当に速く、何度か必要だった大胆な走りもやり遂げることができました。チームに関わる全員に感謝します」

佐藤琢磨(24位)
「レースに出場できず、ファンの皆さんに申し訳ないと思っています。予選でのクラッシュのあと、クルーたちはできる限りの修理をしてくれました。起きてしまったことも、それがどうして起こったのかも、理解するのが本当に難しい状況です。まだタイム計測前のウォームアップラップでしたから、スピードを上げて、マシンの感触を確かめているときでした。ターン1へと進入してすぐにリアのグリップが失われました。少しアウト側にラインを取ったのですが、残念ながら今日のコースは非常に滑りやすかったです。スピンに陥った原因は、自分でもまだ完全に分かってはいません。通常であれば、クルーたちがすぐにマシンを直してくれるのですが、今回は非常に時間の限られたワンデーレースであり、修理がスタートに間に合いませんでした。クルーたちは最後の最後まで、できる限りのことをしてくれて、とても感謝しています。8カ月もの長きにわたって待った上でのレースだったのに、さらに3週間も待たなければならなくなったのですから、とても残念です。チームメートのグレアム(レイホール)にとっても、今回は残念なレースになりました。予選で彼は素晴らしい走りを見せ、レースでも一生懸命に走っていましたが、残念ながら、今日の我々は2台とも十分なポイントを獲得することができませんでした。これで集中力を切らすことなく、私たちは3週間後、もっと強くなって戻って来なくてはなりません」

リザルト

順位 No. ドライバー マシン 周回数 タイム/差
1 9 スコット・ディクソン Honda 200 1:38'37.7648
2 22 S.パジェノー シボレー 200 +4.4109
3 1 J.ニューガーデン シボレー 200 +5.8064
4 26 ザック・ヴィーチ Honda 200 +6.5778
5 20 E.カーペンター シボレー 200 +6.9481
6 59 C.デイリー シボレー 200 +7.5762
7 88 コルトン・ハータ Honda 200 +8.0553
8 28 ライアン・ハンター-レイ Honda 200 +8.3105
9 7 O.アスキュー シボレー 200 +8.6943
10 14 T.カナーン シボレー 200 +8.9630
           
14 98 マルコ・アンドレッティ Honda 199 +1Lap
15 27 アレクサンダー・ロッシ Honda 199 +1Lap
16 60 ジャック・ハーヴィー Honda 199 +1Lap
17 15 グラハム・レイホール Honda 198 +2Laps
18 29 ジェームズ・ヒンチクリフ Honda 198 +2Laps
19 8 マーカス・エリクソン Honda 196 +4Laps
20 10 フェリックス・ローゼンクヴィスト Honda 190 +10Laps
21 18 サンティノ・フェルッチ Honda 156 +44Laps
23 55 アレックス・パロウ Honda 36 +164Laps
24 30 佐藤琢磨 Honda 0 +200Laps

ポイントランキング

ドライバー

順位 ドライバー マシン 総合ポイント
1スコット・ディクソンHonda53
2S.パジェノーシボレー40
3J.ニューガーデンシボレー37
4ザック・ヴィーチHonda33
5E.カーペンターシボレー30
6C.デイリーシボレー28
7コルトン・ハータHonda26
8ライアン・ハンター-レイHonda24
9O.アスキューシボレー22
10T.カナーンシボレー20
 
14マルコ・アンドレッティHonda16
15アレクサンダー・ロッシHonda15
16ジャック・ハーヴィーHonda14
17グラハム・レイホールHonda13
18ジェームズ・ヒンチクリフHonda12
19マーカス・エリクソンHonda11
20フェリックス・ローゼンクヴィストHonda10
21サンティノ・フェルッチHonda9
23アレックス・パロウHonda7
24佐藤琢磨Honda6

ランキング詳細

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