2020年6月4日(木)
2020年インディカー・シリーズがいよいよ今週末、テキサス州の1.5マイルオーバルコース、テキサス・モーター・スピードウェイで開幕します。今シーズンのHondaは、8人の優勝経験者、4人のINDY500王者、そして、2人の元シリーズチャンピオンをそろえ、強力なドライバーラインアップで戦います。
3月にフロリダ州セント・ピーターズバーグで開幕する予定だったインディカー・シリーズは、世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響で開幕が遅れていましたが、6月6日(土)、テキサス州のハイバンクを持つオーバルでのナイトレースを無観客で開催します。アメリカのテレビ局NBCにより現地時間の午後8時から生中継が行われます。
2019年シーズンに8勝を挙げたHondaは、インディカー・シリーズにおける8度目のマニュファクチャラーズ・タイトルを2年連続で獲得しました。Hondaエンジンを使うドライバーたちは、過去2シーズンの34レースで実に19回もの勝利を記録しています。
アメリカのHondaパフォーマンスデベロップメント(HPD)社長のテッド・クラウスは、以下のように語っています。
「2019年、私たちはパートナーであるチームと共に2年連続のマニュファクチャラーズ・チャンピオンシップを獲得しました。このことを大きな誇りと感じています。
今シーズン、すでに私たちは医療用人工呼吸器メーカーに対する技術的なサポートでの活動というレースを戦ってきています。同時に、レースにおける仕事を今まで以上に安全に行い、サーキットでの活動を再開する方法を見つけるべく努力してきました。2020年のレースシーズンをスタートさせるのは、すばらしいことです。そして、私たちはレース場で勝つことを目指すとともに、正しい見識をもって通常の生活を再開させることに努めていきたいと考えています。
2020年のHPDの目標は、INDY500で優勝し、インディカー・シリーズのタイトルも獲得することです。
HPDの全員が、シーズン再開に向けて懸命に準備を進めてきました。タイトル防衛がなされることを楽しみにしています」
開幕戦となるジェネシス300では、Hondaドライバーのラインアップはたいへん印象的なものとなります。HI20TTツインターボV6エンジンをダラーラシャーシに搭載して戦う、その筆頭はインディカー・シリーズで5度のタイトル獲得経験を誇り、2008年のINDY500で優勝しているスコット・ディクソンです。2017年のINDY500で優勝した佐藤琢磨、2012年のシリーズチャンピオンで2014年にINDY500で優勝したライアン・ハンター-レイ、2016年INDY500ウイナーのアレクサンダー・ロッシ、複数優勝を記録しているグレアム・レイホール、ジェームズ・ヒンチクリフ、マルコ・アンドレッティ、さらには2019年シーズンにルーキーながら2勝を挙げたコルトン・ハータらが参加します。
Hondaは1994年からインディカー・シリーズに参戦を続けており、シリーズタイトルを競うエントラントとして、あるいは単独のエンジンサプライヤーとして、インディカー・シリーズの成長に積極的な役割を果たしてきました。マニュファクチャラーズ・タイトルの獲得は、シリーズ最多の8回を記録しています。26年間出場し続けてきた北米オープンホイールの最高峰であるインディカー・シリーズでは245勝、2004年以降のINDY500で12勝など、同時期に参戦したほかのメーカーの追随を許さない数字を記録してきています。
Hondaは2004年に、バディ・ライスとともにINDY500での初優勝を飾り、2004年と2005年にマニュファクチャラーズ・タイトルを獲得、2006年にはインディカー・シリーズに出場する全マシンにエンジンを供給することとなりました。その2006年から2011年までの6年間に渡り、HondaはINDY500の決勝レースに出場する33台のインディカーすべてにレーシングエンジンを供給しましたが、その6年間には一つのエンジントラブルも発生しませんでした。INDY500の長い歴史の中でエンジンのトラブルがなかったレースは、この時の6回だけです。
2012年からは、複数の自動車メーカーが競争を繰り広げる状況が続いています。Hondaはその最初の年である2012年にダリオ・フランキッティ、2014年にハンター-レイ、歴史的な100回目の開催だった2016年にロッシが劇的な勝利をINDY500で達成しています。そして、2017年には佐藤琢磨が日本人初優勝を記録。複数メーカーが競い合うようになってからもINDY500でさらに4回もの優勝を飾っています。世界に名を轟かせるインディアナポリス・モーター・スピードウェイにおいてHondaは12勝を挙げていますが、これはほかの主要自動車メーカーをリードするものです。
予定より2カ月半以上遅れてスタートする2020年のインディカー・シリーズは、開幕を控えて更なるスケジュール変更を行いました。12年ぶりの開催が予定されていたバージニア州リッチモンドでのオーバルレース、カナダのトロントでのストリートレースがキャンセルされ、ウィスコンシン州の常設ロードコースが7月に延期された上でダブルヘッダーに変えられました。開幕戦として行われる予定だったセント・ピーターズバーグでのストリートレースが、関係者の努力によって10月下旬に復活。そのレースを最終戦とする全14戦で2020年シーズンは構成されます。
日本人ドライバーは佐藤琢磨が11年目のシーズンを戦います。2017年のINDY500を含む5回の優勝を挙げてきている彼は、今年もRahal Letterman Lanigan Racingからエントリー。最初のレースとなるテキサスは、昨年ポールポジションを獲得しており、開幕ダッシュを実現すべく準備を進めています。
佐藤琢磨 | Rahal Letterman Lanigan Racing
「新しいシーズンが始まることに対して、とても興奮しています。私たちだけでなく、世界中のファンとメディアが長い間待ってたものですからね。インディカーとアメリカ政府、そしてテキサス・モーター・スピードウェイとスポンサーに深く感謝します。今はどのようなビジネスにとっても非常に厳しい時期ですから、ウイルス感染に対しての安全確保もレースウイークエンドではたいへん重要です。昨年のテキサスではプラクティスから実力を発揮し、短い走行時間の中でレース用のセットアップと予選シミュレーションを行い、ポールを獲ることができました。今年は予選も決勝も1日で行われるので、いろいろな面から非常に難しいレースになることが予想されます。タイヤ戦略も重要ですが、すべての面に注意を払って戦う必要があると思います。自分たちとしては、できる限りの準備をしてレースウイークエンドに臨み、いい結果を手に入れたいです。シーズンをスタートできること自体を喜んでいますが、いいレースが戦えればもっとうれしいです」
チーム名 | No. | ドライバー |
---|---|---|
Andretti Autosport | #26 | ザック・ヴィーチ |
#27 | アレクサンダー・ロッシ(W) | |
#28 | ライアン・ハンターレイ(C) (W) | |
#29 | ジェームズ・ヒンチクリフ (W) | |
Andretti Herta Autosport with Marco Andretti & Curb-Agajanian | #98 | マルコ・アンドレッティ (W) |
Andretti Harding Steinbrenner Autosport | #88 | コルトン・ハータ (W) |
Chip Ganassi Racing | #8 | マーカス・エリクソン |
#9 | スコット・ディクソン (C) (W) | |
#10 | フェリックス・ローゼンクヴィスト | |
Dale Coyne Racing with Vasser-Sullivan | #18 | サンティノ・フェルッチ |
Dale Coyne Racing with Team Goh | #55 | アレックス・パロウ (R) |
Meyer Shank Racing | #60 | ジャック・ハーヴィー |
Rahal Letterman Lanigan Racing | #15 | グレアム・レイホール (W) |
#30 | 佐藤琢磨 (W) | |
Rahal Letterman Lanigan Racing with Citrone/Buhl Autosport | # | スペンサー・ピゴット |
C = インディカー・シリーズチャンピオン
W = 優勝経験者
R = シリーズルーキー
(2020年6月4日現在)