ルーキーのフェリックス・ローゼンクビスト(Chip Ganassi Racing)が2位、ポイントスタンディング3番手でチャンピオン争いの真中にいるアレクサンダー・ロッシ(Andretti Autosport)が3位でゴールし、第16戦グランプリオブポートランドの表彰台に上りました。
ローゼンクビストにとって、2位フィニッシュは今回が2回目。キャリアベストに並ぶリザルトを記録し、栄えあるルーキーオブザイヤー獲得に向けたポイント争いでトップに返り咲きました。ルーキーながらシリーズ全体のポイントスタンディングで10番手から8番手へと二つもポジションを上げることとなったのです。
ロッシは3位フィニッシュで35ポイントを獲得し、シリーズポイントを一つ上げ、ランキング2番手に復活しました。もう今シーズンは残すところ1レースのみとなり、ポイントリーダーのジョセフ・ニューガーデンとの差は41点になりました。カリフォルニア州モンテレーで3週間後に行われる最終戦ではダブルポイントが与えられるため、逆転チャンピオンの可能性は十分にあります。
アメリカ西海岸北部にあるオレゴン州。ポートランドは州内最大の都市で、その中心部をウィラメット川が流れています。ポートランドインターナショナルレースウェイは街のすぐ北、ワシントン州との州境にあるコロンビア川南岸に作られたフラットなロードコースで、高速から低速までバラエティに富む12のコーナーが1.964マイルという短い全長に配されています。ここを105周して争われたレースは、4人のHondaドライバーたちが巻き込まれる多重アクシデントで始まりました。8番手スタートだったジェイムズ・ヒンチクリフ(Arrow Schmidt Peterson Motorsports)と、彼のチームメートとしてスポット参戦し、9番グリッドを獲得する奮闘を見せていたコナー・デイリーは、レースでの活躍が期待されていましたが、その場でリタイアとなりました。
リスタートが切られたのは12周目。その後間もなく、今度は予選4番手に食い込むすばらしいパフォーマンスを見せ、レースでも好スタートで3番手につけていたジャック・ハーヴェイ(Meyer Shank Racing with Arrow SPM)が、4番手走行中だったライアン・ハンターレイ(Andretti Autosport)と激しく接触し、ハーヴェイは早過ぎるリタイアへと追い込まれ、ハンターレイのマシンはピットエリアで長い時間をかけた修理を受けることとなりました。
予選でポールポジションを獲得したコルトン・ハータ(Harding Steinbrenner Racing)は序盤の36周をリードしました。しかし、彼のキャリア2勝目はならず、予選3番手だったスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)が彼からトップの座を奪いました。ハータは最終的に4位でのゴールを達成しました。
シーズン2勝目を目指すディクソンは、50周を終えた時点で2番手以下に3秒以上の差をつける快走を見せました。ところが52周目、最終コーナー付近で突然マシンが減速し、ピットロードに滑り込むと、自らのピットに到達する前にストップ。トラブルに見舞われたバッテリーを交換してレースに戻りましたが、たどり着けなかったピットまでクルーがマシンを押さなければならなかったために大幅にポジションダウンし、エンジンカウルを外しての作業も必要だったために3周もの遅れを取り、結果は16位。これにより、ディクソンがキャリア6回目のシリーズチャンピオンとなる可能性はなくなりました。
ディクソンのチームメートであるローゼンクビストは、レース中盤に2番手へと浮上し、ウィル・パワー(シボレー)を追いました。キャリア初勝利に向けての全力での走行を展開しましたが、パワーをパスすることはできませんでした。それでもローゼンクビストは7月のHondaインディー200アットミッドオハイオで記録したキャリアベストの2位に並ぶ好リザルトを獲得しました。
今年のポートランドでのロッシは、優勝争いを行うことはできませんでした。しかし、激しいバトルを戦い抜いて3位でのフィニッシュを達成しました。もう残るは9月22日に開催される今シーズン最終戦だけです。カリフォルニア州のモンテレーにあるウェザーテックレースウェイラグナセカへ、彼はポイントランキング2番手のドライバーとして乗り込みます。ポイントリーダーのジョセフ・ニューガーデン(シボレー)との差は41点ありますが、最終戦はダブルポイントですから、逆転タイトルは十分に可能です。
Hondaはポートランドでも2、3、4位フィニッシュし、マニュファクチャラーチャンピオンシップのポイントで暫定トップを保っています。
フェリックス・ローセンクビスト(2位)
「自分たちはすばらしいレースを戦えたと思います。燃費競争ではシボレー勢より優れたパフォーマンスを発揮することができていたとも考えています。今週末の戦いでは、私のチームが本当にいい仕事をしてくれました。ソフトコンパウンドのレッドタイヤで非常に速いペースを示すことができました。しかし、パワーと彼のチームは私たちよりわずかながらハードコンパウンドのブラックタイヤで速かったですね。私たちは5番手スタートで2位フィニッシュが果たせたのですから、力強いレースを戦い抜いたと言ってよいと思います。そして、今シーズン中に初優勝を飾るチャンスが残されています。ラグナセカでのレースで優勝するために、2週間ほどあるインターバルではフォーカスを新たにして準備を整えたいと思います」
アレクサンダー・ロッシ(3位)
「私がもっと多くのポイントを獲得したかったのではなく、ポイントリーダーのジョセフ・ニューガーデンがもっと少ないポイント獲得で終わることを望んでいました。今日の私たちは、残念ながらレースで勝てるマシンを仕上げることができていませんでした。カーナンバー27のクルーたちはすばらしい仕事をしてくれました。自分たちの持つ力のすべてを発揮し、マシンから最大限を引き出していました。7番手スタートから3位フィニッシュで表彰台に上れたのは、チームの奮闘があってのことでした。私たちはポイントリーダーをはじめとする、タイトル争いのライバルたちよりも前の順位でゴールしたのです。最終戦ラグナセカでの週末は、非常に緊張感の高いものとなるでしょう。しかし、私はそれをとても楽しみにしています」
佐藤琢磨(15位)
「スタート直後のターン1、私に見えたのは大混乱だけでした。すべてを避けようと全力でトライしました。しかし、左側にもマシンがいたため、そちら側に逃れることもできませんでした。残念なことに、私の内側にいたマシンがこちらに向かって来て、避けられずに接触しました。私たちのマシンはサイドポッドに大きなダメージを受けました。空力的に悪影響が大きく、サスペンションのトウリンクも壊れてしまい、その修理をしている間に2周の周回遅れになってしまいました。レースに復帰してからの自分たちはできる限りのことをトライし、リタイアしたマシンもあったため、ポジションをいくつか取り戻すことはできました。しかし、本当に残念な週末となりました」
順位 | No. | ドライバー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 12 | W.パワー | シボレー | 105 | 1:58'43.0036 |
2 | 10 | フェリックス・ローゼンクビスト | ![]() | 105 | +2.7885 |
3 | 27 | アレクサンダー・ロッシ | ![]() | 105 | +4.5839 |
4 | 88 | コルトン・ハータ | ![]() | 105 | +5.2280 |
5 | 2 | J.ニューガーデン | シボレー | 105 | +5.8539 |
6 | 21 | S.ピゴット | シボレー | 105 | +6.7477 |
7 | 22 | S.パジェノー | シボレー | 105 | +7.9418 |
8 | 4 | M.ライスト | シボレー | 105 | +8.1898 |
9 | 18 | セバスチャン・ブルデー | ![]() | 105 | +9.5957 |
10 | 23 | C.キンボール | シボレー | 105 | +10.1665 |
13 | 98 | マルコ・アンドレッティ | ![]() | 104 | +1Lap |
15 | 30 | 佐藤琢磨 | ![]() | 103 | +2Laps |
16 | 9 | スコット・ディクソン | ![]() | 102 | +3Laps |
17 | 19 | サンティノ・フェルッチ | ![]() | 96 | +9Laps |
18 | 28 | ライアン・ハンターレイ | ![]() | 81 | +24Laps |
19 | 60 | ジャック・ハーヴェイ | ![]() | 13 | +92Laps |
20 | 5 | ジェームズ・ヒンチクリフ | ![]() | 0 | +105Laps |
21 | 7 | コナー・デイリー | ![]() | 0 | +105Laps |
22 | 26 | ザック・ヴィーチ | ![]() | 0 | +105Laps |
23 | 15 | グレアム・レイホール | ![]() | 0 | +105Laps |
順位 | ドライバー | マシン | 総合ポイント | ||
---|---|---|---|---|---|
1 | J.ニューガーデン | シボレー | 593 | ||
2 | アレクサンダー・ロッシ | ![]() | 552 | ||
3 | S.パジェノー | シボレー | 551 | ||
4 | スコット・ディクソン | ![]() | 508 | ||
5 | W.パワー | シボレー | 469 | ||
6 | 佐藤琢磨 | ![]() | 397 | ||
7 | ライアン・ハンターレイ | ![]() | 380 | ||
8 | フェリックス・ローゼンクビスト | ![]() | 365 | ||
9 | グレアム・レイホール | ![]() | 353 | ||
10 | サンティノ・フェルッチ | ![]() | 339 | ||
11 | セバスチャン・ブルデー | ![]() | 335 | ||
12 | ジェームズ・ヒンチクリフ | ![]() | 326 | ||
13 | コルトン・ハータ | ![]() | 316 | ||
16 | マルコ・アンドレッティ | ![]() | 271 | ||
17 | マーカス・エリクソン | ![]() | 252 | ||
18 | ザック・ヴィーチ | ![]() | 247 | ||
21 | ジャック・ハーヴェイ | ![]() | 164 | ||
24 | コナー・デイリー | ![]() | 133 | ||
28 | ジェームズ・デビソン | ![]() | 36 | ||
34 | オリオール・セルビア | ![]() | 16 | ||
36 | ジョーダン・キング | ![]() | 12 |