ペンシルベニア州ロング・ポンドにあるポコノ・レースウェイで開催された500マイルレースでは、2016年インディ500ウイナーのアレクサンダー・ロッシ(Andretti Herta Autosport)が3位でフィニッシュし、今シーズン2度目の表彰台に登壇しました。快晴と心地よい気温に恵まれたレースは、200周に渡って激しいバトルが繰り広げられ、41回ものリードチェンジがあり、レース全体でのオーバーテイク回数は590回にも及びました。集まったファンは、インディカーらしいスリリングなハイスピードでの接近戦を堪能できました。
ポコノ・レースウェイの全長は2.5マイルでインディアナポリス・モーター・スピードウェイと全く同じなのですが、インディを始めとするオーバルコースがコーナーを4つ持つのに対し、ポコノは3つしかありません。しかも、それらのコーナーはバンクの傾斜角度もコーナー半径もそれぞれが異なっている上、3つのコーナーをつなぐストレート3本も長さが違っています。
このユニークなコースでの予選では、今年のインディ500で優勝した佐藤琢磨(Andretti Autosport)がポールポジション(PP)を獲得。レースではロッシ、スコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)、トニー・カナーン(Chip Ganassi Racing)、グレアム・レイホール(Rahal Letterman Lanigan Racing)、最後列スタートのライアン・ハンターレイ(Andretti Autosport)がトップ争いを繰り広げました。また、Hondaドライバー7人が200周のレースで160周のリードラップを記録。しかし、最上位はロッシによる3位でした。ピットタイミングが他チームと異なる作戦を採用したチームが大きな優位を得るレース展開となり、彼らが1-2フィニッシュを手にしたのです。
レース前半はHonda勢がライバルを圧倒していました。1回目のピットストップまではカナーンとロッシが凄まじいバトルを展開。そこへディクソンが加わり、彼はセカンドスティントでトップを走りました。彼はこのレースでの最多となる51周のリードを記録し、シーズン2勝目を狙いましたが、結果は6位となりました。
今日のレースではハンターレイの走りが際立っていました。予選はアクシデントにより計測ラップなし。最後列の21番グリッドからレースに臨んだ彼はハーフウェイの100周目にトップに躍り出て観客席から大歓声を受けました。彼の後方にはロッシ、ディクソン、レイホールらのHonda勢が続いていました。
カナーンは122周目にトップに復活。32周をリードしました。ここでの彼はレイホールと1周毎に順位を入れ替えるバトルでファンを沸かせました。しかし、カナーンはフロント・ウイングのマウント破損により優勝のチャンスを失い、最終的に5位でフィニッシュしました。9周トップを走ったレイホールは9位でレースを終えています。
124周目に発生したジェームズ・ヒンチクリフ(Schmidt Peterson Motorpsorts)らによるアクシデントが今日のレース展開を決定づけることとなりました。Team Penskeのドライバー2名とマルコ・アンドレッティ(Andretti Autosport)は、このときのコースコーション中に燃料補給のためのピットストップを行いました。トップグループとは異なるピットタイミングを選択し、燃費の心配も少なくなった彼らは速いラップを重ねてアドバンテージを手に入れました。アンドレッティは燃費をセーブすることで優勝のチャンスを狙いましたが、ゴール前10周で燃料を継ぎ足すためのピットストップを行わざるを得ず、地元での優勝はなりませんでした。そして、彼の後退によってウィル・パワー(シボレー)がレースのリーダーとなり、ロッシとカナーンをパスしてきたジョセフ・ニューガーデン(シボレー)が2番手に浮上しました。
佐藤はスタート直後からマシンのハンドリング不調に悩まされ、PPだったにも関わらず、優勝争いに加わることはできませんでした。マシンになにかトラブルが発生したのか、セッティングに狂いが生じていたのか原因は不明ですが、予選で見られた目覚ましいスピードが決勝では一切発揮されない悔しい戦いとなりました。
アレクサンダー・ロッシ(3位)
「週末を通して私たちのマシンは速かったと思います。予選6番手からスタート直後に3番手まで浮上できたのはよかったですし、その先はレースをコントロールできたほどでした。ピットクルーもすばらしい仕事をしてくれていました。しかし、燃料調整ノブが外れ、セッティング変更ができなくなってしまい、持っているパワーを最大限に使うことができない状態に陥りました。そこが今回は残念でした」
佐藤琢磨(13位)
「ポールポジションからのスタートはうまくきれ、トップでターン1に入りましたが、ターン2の先でトニー・カナーンにパスされました。スピードが伸びない。なにかがおかしいと感じました。タイヤが温まってからもアンダーステアが強く、順位を下げていくしかありませんでした。ピットストップでウイングを立てていきましたが、前のマシンと同じペースで走ることはできても、パスをするのが難しかったです。予選ではスピードをみせることができていたのに、レースが全く戦うことができないものとなったのは悔しいですね。このコースにはリベンジをしなくてはなりません」
順位 | No. | ドライバー | エンジン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 12 | W.パワー | シボレー | 200 | 2:43'16.6005 |
2 | 2 | J.ニューガーデン | シボレー | 200 | +0.5268 |
3 | 98 | アレクサンダー・ロッシ | ![]() | 200 | +0.7112 |
4 | 1 | S.パジェノー | シボレー | 200 | +0.8770 |
5 | 10 | トニー・カナーン | ![]() | 200 | +2.9056 |
6 | 9 | スコット・ディクソン | ![]() | 200 | +3.3544 |
7 | 3 | H.カストロネベス | シボレー | 200 | +3.7273 |
8 | 28 | ライアン・ハンターレイ | ![]() | 200 | +4.0833 |
9 | 15 | グレアム・レイホール | ![]() | 200 | +4.6884 |
10 | 14 | C.ムニョス | シボレー | 200 | +6.9330 |
11 | 27 | マルコ・アンドレッティ | ![]() | 200 | +9.4607 |
13 | 26 | 佐藤琢磨 | ![]() | 200 | +11.2388 |
16 | 83 | チャーリー・キンボール | ![]() | 200 | +24.4523 |
17 | 19 | エド・ジョーンズ | ![]() | 200 | +25.0689 |
18 | 8 | マックス・チルトン | ![]() | 129 | +71Laps |
20 | 5 | ジェームズ・ヒンチクリフ | ![]() | 124 | +76Laps |
21 | 7 | セバスチャン・サーベドラ | ![]() | 114 | +86Laps |
22 | 18 | エステバン・グティエレス | ![]() | 23 | +177Laps |
順位 | No. | ドライバー | エンジン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | J.ニューガーデン | シボレー | 494 | |
2 | 9 | スコット・ディクソン | ![]() | 476 | |
3 | 3 | H.カストロネベス | シボレー | 472 | |
4 | 1 | S.パジェノー | シボレー | 468 | |
5 | 12 | W.パワー | シボレー | 452 | |
6 | 15 | グレアム・レイホール | ![]() | 418 | |
7 | 26 | 佐藤琢磨 | ![]() | 399 | |
8 | 98 | アレクサンダー・ロッシ | ![]() | 394 | |
9 | 10 | トニー・カナーン | ![]() | 351 | |
10 | 5 | ジェームズ・ヒンチクリフ | ![]() | 327 | |
11 | 28 | ライアン・ハンターレイ | ![]() | 322 | |
12 | 8 | マックス・チルトン | ![]() | 322 | |
13 | 27 | マルコ・アンドレッティ | ![]() | 306 | |
14 | 19 | エド・ジョーンズ | ![]() | 298 | |
17 | 83 | チャーリー・キンボール | ![]() | 237 | |
18 | 7 | ミハイル・アレシン | ![]() | 237 | |
22 | 18 | セバスチャン・ブルデー | ![]() | 136 | |
25 | 18 | エステバン・グティエレス | ![]() | 91 | |
26 | 7 | セバスチャン・サーベドラ | ![]() | 61 | |
27 | 16 | オリオール・セルビア | ![]() | 61 | |
28 | 29 | フェルナンド・アロンソ | ![]() | 47 | |
29 | 63 | ピッパ・マン | ![]() | 32 | |
30 | 77 | ジェイ・ハワード | ![]() | 24 | |
33 | 18 | ジェームス・デイビソン | ![]() | 21 | |
34 | 50 | ジャック・ハーヴェイ | ![]() | 17 | |
35 | 18 | トリスタン・ボーティエ | ![]() |
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