アメリカの5月といえば、世界最大規模のレースであるインディ500が開催される“マンス・オブ・メイ”です。世界で最も歴史あるレースのインディ500は、月末のメモリアル・デイ・ウイークエンドに行われるのが恒例となっています。インディアナ州インディアナポリスにある全長2.5マイルのオーバルコースは、インフィールドを含んで全長2.439マイルのロードコースとしても使用でき、4年前からは、それを使ったインディカーグランプリが5月初旬に開催されています。晴れわたった空と暖かな気温、初夏の到来を感じさせるコンディションに恵まれた土曜日の午後、インディ500とは逆の時計回りでコースを85周するレースは、スタートが切られました。
今回のレースは、アクシデントなどによるフルコースコーションが一切出されず、クリーンなバトルが繰り広げられました。3回のピットストップを含む高速バトルとなり、予選4番手で、グリッド2列目アウト側からスタートしたスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)は終盤にチャージ。ゴールまで10周を切った74周目にエリオ・カストロネベス(Team Penske)をオーバーテイクし、トップを走るウィル・パワー(Team Penske)を猛追。惜しくも逆転はなりませんでしたが、開幕から5戦で、3度目の表彰台となる2位フィニッシュを果たしました。ランキング2位でインディカーグランプリに乗り込んだディクソンは、そのポジションを保ちながら、ポイントリーダーとの差を18点から10点に縮めることに成功しました。
予選8番手だったライアン・ハンターレイ(Andretti Autosport)は、スタート直後のバトルで一気にトップ5入りを果たし、3回目のピットストップを終えた68周目に4番手へとポジションアップ。さらに、74周目にはカストロネベスをオーバーテイクして3位に浮上すると、そのままフィニッシュして今季初の表彰台に上がりました。
彼らのほか、グレアム・レイホール(Rahal Letterman Lanigan Racing)は予選20番手から6位と、大きくポジションを上げてゴール。マックス・チルトン(Chip Ganassi Racing)は予選14番手から自己ベストタイとなる7位でフィニッシュ。昨年度のインディ500ウイナーであるアレクサンダー・ロッシ(Andretti Autosport)が8位と、Hondaドライバー5人がトップ10入りしました。
佐藤琢磨(Andretti Autosport)は、マシンの不調によって予選は最後尾の22番手となりました。ストレートスピードが伸びない問題が発生していたのです。チームは原因究明に努め、マシンに対策を施して決勝に臨みました。問題の完全な解決こそできていませんでしたが、決勝での佐藤には競争力が戻りつつあり、ファイティングスピリットにあふれる持ち前の走りを披露。10もポジションを上げた12位フィニッシュという成果を手にしました。
次に行われる第6戦は、第101回インディアナポリス500マイル。ドライバーたちは5月14日(日)に一日だけ休息をとり、月曜日からプラクティスが始まります。このレースには、F1世界選手権で2度のワールド・チャンピオンに輝き、現在はMcLaren-Hondaの一員として戦っている、フェルナンド・アロンソが参戦します。McLaren-Honda-Andrettiのドライバーとして挑戦するインディ500は、世界中から大きな注目を集めています。決勝レースは5月28日(日)の開催です。
スコット・ディクソン(2位) 「厳しい戦いでした。リアタイヤのグリップを持たせるのが本当に難しかったのです。Hondaエンジンのパワーが出過ぎていたために、リアタイヤを空転させてしまいました。2位フィニッシュで、またしてもたくさんのポイントを獲得できました。Hondaにとってもいい一日になったと思います。優勝こそできませんでしたが、あと一歩まで迫ったレースでしたから。月曜日から、ここの2.5マイルオーバルで走るのが楽しみです」
ライアン・ハンターレイ(3位) 「力強いレースができました。今シーズンはすでに多くの不運に見舞われており、フラストレーションを抱えていました。しかし、私たちは目標に集中してがんばってきました。それが今日、最も大事なレース(インディ500)を目前に控えての表彰台フィニッシュにつながりました。さらに今日は、表彰台の頂点にあと少しという結果を得られました。頂点は、インディ500にとっておきます」
佐藤琢磨(12位) 「まず最初に、チームメートのライアン・ハンターレイと彼のクルーたちに“見事な3位フィニッシュおめでとう”と言いたいですね。私たちにとっては、とても難しい週末となってしまいました。マシンに小さな問題が発生し、グリッドの最後尾からレースをスタートしなければなりませんでした。しかし、26号車のクルーたちのすばらしい働きにより、マシンは力を取り戻しました。最後のピットストップは少し長くなってしまいました。それは次戦までに修正のための対策が必要となるでしょう。レースは厳しいものでしたが、私たちは思いきり力強く戦いました。インディ500に向けて、勢いを得られたと思います。月曜日に始まるプラクティスが、今から楽しみです」
順位 | No. | ドライバー | エンジン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 12 | W.パワー | シボレー | 85 | 1:42'57.6108 |
2 | 9 | スコット・ディクソン | ![]() | 85 | +5.2830 |
3 | 28 | ライアン・ハンターレイ | ![]() | 85 | +12.0296 |
4 | 1 | S.パジェノー | シボレー | 85 | +17.0668 |
5 | 3 | H.カストロネベス | シボレー | 85 | +20.6072 |
6 | 15 | グレアム・レイホール | ![]() | 85 | +25.1039 |
7 | 8 | マックス・チルトン | ![]() | 85 | +25.7054 |
8 | 98 | アレクサンダー・ロッシ | ![]() | 85 | +29.3214 |
9 | 20 | S.ピゴット | シボレー | 85 | +36.5878 |
10 | 22 | J.P.モントーヤ | シボレー | 85 | +41.8238 |
12 | 26 | 佐藤琢磨 | ![]() | 85 | +56.2212 |
13 | 5 | ジェームズ・ヒンチクリフ | ![]() | 85 | +1'02.6805 |
16 | 27 | マルコ・アンドレッティ | ![]() | 84 | +1Lap |
18 | 7 | ミハイル・アレシン | ![]() | 84 | +1Lap |
19 | 19 | エド・ジョーンズ | ![]() | 84 | +1Lap |
20 | 10 | トニー・カナーン | ![]() | 83 | +2Laps |
21 | 83 | チャーリー・キンボール | ![]() | 32 | +53Laps |
22 | 18 | セバスチャン・ブルデー | ![]() | 3 | +82Laps |
順位 | No. | ドライバー | エンジン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | S.パジェノー | シボレー | 191 | |
2 | 9 | スコット・ディクソン | ![]() | 181 | |
3 | 2 | J.ニューガーデン | シボレー | 152 | |
4 | 3 | H.カストロネベス | シボレー | 149 | |
5 | 12 | W.パワー | シボレー | 145 | |
6 | 5 | ジェームズ・ヒンチクリフ | ![]() | 137 | |
7 | 18 | セバスチャン・ブルデー | ![]() | 136 | |
8 | 28 | ライアン・ハンターレイ | ![]() | 117 | |
9 | 98 | アレクサンダー・ロッシ | ![]() | 99 | |
10 | 26 | 佐藤琢磨 | ![]() | 97 | |
11 | 10 | トニー・カナーン | ![]() | 97 | |
12 | 19 | エド・ジョーンズ | ![]() | 92 | |
13 | 15 | グレアム・レイホール | ![]() | 87 | |
15 | 8 | マックス・チルトン | ![]() | 84 | |
17 | 7 | ミハイル・アレシン | ![]() | 79 | |
18 | 27 | マルコ・アンドレッティ | ![]() | 71 | |
20 | 83 | チャーリー・キンボール | ![]() | 70 |