アメリカ中西部のオハイオ州のほぼ中央にあるミッドオハイオ・スポーツカー・コースで、すばらしい天候に恵まれた中、Hondaインディ200は開催されました。全長2.258マイルのコースの90周で争われ、そのうちの55周においてHondaドライバーがトップを走りました。
カルロス・ムニョス
カルロス・ムニョス(手前)
予選15番手からスタートしたカルロス・ムニョス(Andretti Autosport)が、マシンの仕上がりのよさとフルコースコーションの出されたタイミングを味方につけて3位でゴールし、ミッドオハイオの表彰台に上がりました。第100回インディ500での2位に続いて、今季2度目のトップ3フィニッシュです。オハイオ州中心部には1万5000人を超えるHondaの仲間がおり、その多くが今日のレースを訪れていました。ムニョスは彼らの前で激しいファイトを披露し、表彰台に上がって歓声を浴びたのでした。
レースで最多の33周をリードしたのはミハイル・アレシン(Schmidt Peterson Motorsports)でした。予選10番手だった彼は、最初のフルコースコーションが出される直前の14周目にピットストップを行っていたことが功を奏し、26周目にトップに立ちました。その後はピットタイミングの違いでいったんポジションを下げましたが、全員がもう一度ピットストップを行うとレースリーダーの座に復帰し、10秒以上もの大量リードを持って悠々と走り続けました。そして、61周目のアクシデントで2度目のフルコースコーションになると、アレシンは多くのライバルたちを引き連れてピットロードへ。タイヤ交換と燃料補給を終えて彼がダッシュすると、そのタイミングでピットインしてきた他車と接触し、トップの座を失ってしまいました。さらには、アクシデントを起こしたペナルティーで大きくポジションを下げ、17位でゴールしました。
佐藤琢磨
佐藤琢磨
代わってレース終盤には、予選22番手だったコナー・デイリー(Dale Coyne Racing)がアレシンに変わってトップに立ちました。彼は序盤から早目にピットストップをし続け、レース展開が味方についてくれるチャンスをうかがっていたのですが、その思惑通りにトップに躍り出ました。第7戦デトロイトでキャリア初の表彰台となる2位フィニッシュを経験したデイリーは、ミッドオハイオで22周にわたり、初優勝を目指してトップを走り続けました。しかし、彼が期待していたフルコースコーションが終盤に出されることはありませんでした。全力を絞り出しての走行を続けて9秒近くまでリードを広げると、デイリーはピットストップで短い燃料補給を行い、今シーズン3度目の6位フィニッシュを果たしました。
昨年のHondaインディ200のウイナーであるグレアム・レイホール(Rahal Letterman Lanigan Racing)は、地元のレースを粘り強く戦い抜いて4位フィニッシュ。ジェームズ・ヒンチクリフ(Schmidt Peterson Motorsports)は序盤のトラブルを乗り越え、5位でゴールしました。
今回がインディカーデビューだった19歳のRC.エナーソン(Dale Coyne racing)は、プラクティスや予選で目覚ましいラップタイムを刻み続けて多くをうならせ、レースでも3番目に速いラップを記録しました。しかし、残念ながらレース中盤に燃料計算のミスからスローダウン。1周遅れの19位でのゴールとなりました。
佐藤琢磨
佐藤琢磨(A.J. Foyt Racing)は、予選まではマシンのセッティングが思うように進まなかったことから、レースのスタートは20番手という後方のグリッドからでした。デイリーやアレシンと同様に、佐藤も序盤に早目のピットストップを実施。この作戦によって8番手までポジションを上げ、一時は3番手を走りました。ピットタイミングの異なるドライバーたちのポジションアップもあり、最後のピットストップで5番手から6番手にポジションを下げましたが、リスタート直後にコースアウトしたドライバーも出たことで4番手に浮上し、そのままゴールまで走り続けることができそうな状況となりました。ところが、ラスト5周で後続のマシンが追突してきたために、2台そろってコースアウト。それでも、佐藤はスタックすることなく走り続け、9位でゴールラインを横切りました。
インディカー・シリーズは2週間の休みを挟んで、8月21日(日)にペンシルベニア州ポコノにある2.5マイルのトライアングルコース、ポコノ・レースウェイで500マイルレースを開催します。
順位 | No. | ドライバー | エンジン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 22 | S.パジェノー | シボレー | 90 | 1:49'59.6875 |
2 | 12 | W.パワー | シボレー | 90 | +4.1620 |
3 | 26 | カルロス・ムニョス | ![]() | 90 | +6.5662 |
4 | 15 | グレアム・レイホール | ![]() | 90 | +7.0196 |
5 | 5 | ジェームズ・ヒンチクリフ | ![]() | 90 | +11.1260 |
6 | 18 | コナー・デイリー | ![]() | 90 | +11.8526 |
7 | 20 | S.ピゴット | シボレー | 90 | +12.8831 |
8 | 83 | C.キンボール | シボレー | 90 | +15.0016 |
9 | 14 | 佐藤琢磨 | ![]() | 90 | +18.0128 |
10 | 21 | J.ニューガーデン | シボレー | 90 | +18.5404 |
13 | 27 | マルコ・アンドレッティ | ![]() | 90 | +24.7606 |
14 | 98 | アレクサンダー・ロッシ | ![]() | 90 | +25.5191 |
17 | 7 | ミハイル・アレシン | ![]() | 90 | +42.7274 |
18 | 28 | ライアン・ハンターレイ | ![]() | 90 | +53.5383 |
19 | 19 | RC.エネルソン | ![]() | 89 | +1Lap |
21 | 41 | ジャック・ホークスワース | ![]() | 60 | +30Laps |
順位 | No. | ドライバー | エンジン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 22 | S.パジェノー | シボレー | 484 |
- | 2 | 12 | W.パワー | シボレー | 426 |
- | 3 | 3 | H.カストロネベス | シボレー | 373 |
▲ | 4 | 21 | J.ニューガーデン | シボレー | 364 |
▼ | 5 | 9 | S.ディクソン | シボレー | 357 |
- | 6 | 10 | T.カナーン | シボレー | 357 |
▲ | 7 | 5 | ジェームズ・ヒンチクリフ | ![]() | 329 |
▲ | 8 | 26 | カルロス・ムニョス | ![]() | 328 |
▲ | 9 | 15 | グレアム・レイホール | ![]() | 324 |
▼ | 10 | 83 | C.キンボール | シボレー | 318 |
▼ | 11 | 98 | アレクサンダー・ロッシ | ![]() | 316 |
▼ | 13 | 28 | ライアン・ハンターレイ | ![]() | 294 |
- | 15 | 14 | 佐藤琢磨 | ![]() | 257 |
- | 16 | 7 | ミハイル・アレシン | ![]() | 243 |
▲ | 17 | 18 | コナー・デイリー | ![]() | 240 |
▼ | 18 | 27 | マルコ・アンドレッティ | ![]() | 237 |
- | 20 | 41 | ジャック・ホークスワース | ![]() | 162 |
- | 22 | 19 | ギャビー・シャヴェス | ![]() | 105 |
- | 24 | 77 | オリオール・セルビア | ![]() | 72 |
- | 25 | 19 | ルカ・フィリッピ | ![]() | 61 |
- | 26 | 29 | タウンゼント・ベル | ![]() | 55 |
- | 29 | 35 | アレックス・タグリアーニ | ![]() | 35 |
- | 30 | 63 | ピッパ・マン | ![]() | 33 |
- | 32 | 88 | ブライアン・クロウソン | ![]() | 21 |
- | 35 | 19 | RC.エナーソン | ![]() |
11 |
カルロス・ムニョス(3位)
「ついにベストのタイミングでピットストップができました。今年は何度もピットタイミングで不運に見舞われていましたからね。また表彰台に上がることができ、とても喜んでいます。久しぶりですからね。今週末のスタートから考えると、この3位という結果はとてもうれしいものです。チーム、そしてHondaに感謝します。正しい戦略を選んでくれたスタッフにもお礼を言いたいです。Andretti Autosportは、しばらく表彰台から遠ざかっていたため、チームにとっても今日の結果はいいものです。今日の私たちにはスピードがありました。作戦のよさからいいポジションキープできていました。体力的には、非常に過酷なレースでした。特に、ハードコンパウンドのブラックタイヤでの走りは大変でした。それでも私は全力でプッシュし続けました」
佐藤琢磨(9位)
「チームがすばらしい力を発揮してくれました。ラリー・フォイトの戦略が的確でした。序盤のかなり早い段階でのピットストップは少し楽観的な作戦にも映っていましたが、そのすぐあとにちょうどいいタイミングでフルコースコーションになってくれました。あれで大幅にポジションを上げられました。そして、そこからゴールまでは本当に激しいバトルが続きました。私はすべてのラップを予選でのアタックのように走りました。クルーたちのピット作業も、最後の一番重要なものがとても速かったので、そこからは4番手争いを続けることができました。しかし、最後に不運な事態になりました。私はラインを保っていたのですが、すぐ後ろを走っていたドライバーがブレーキングで追突してきたのです。私はコースアウトしながらも、どうにか走り続けてコースに戻り、9位いう結果を拾い上げられました。ゴールできたことはよかったと思います。しかし、4位はほぼ確実だったのですから、9位は悔しい結果です」