元インディカードライバーのデイル・コインが率いるDale Coyne Racingは、作戦を練る力の高さに定評があります。今年のデトロイトでのダブルヘッダー1戦目では、持てる力を遺憾なく発揮しました。同チームのコナー・デイリーは、16番グリッドからのスタートでしたが、レース終盤になって一気に上位陣へとポジションを上げることに成功し、2位でのゴールを達成しました。2013年のインディ500でインディカー・シリーズにデビューし、2015年に2つのチームから計5戦に出場した彼は、今年が初めてのフルシーズン出場です。その7戦目にして、キャリア初となる表彰台への登壇を果たしました。
コナー・デイリー
コナー・デイリー(左)
デトロイト郊外のベル・アイルに作られた、全長2.35マイルのストリートコースを70周するレースで、デイリーは終盤の58周目に、トップに躍り出ました。その4周後にピットに向かった彼は、短い給油を済ませてコースに戻りました。タイヤを交換しなかったのは、レース中盤から小雨が降り続いていたため、暖まっているタイヤで走り続ける方が有利と考えたからで、それは的確な判断でした。彼は2位でレースに戻り、周回遅れのマシンを抜こうとしているセバスチャン・ブルデー(KVSH Racing)との差を縮めましたが、初勝利には、約2秒届きませんでした。
デイリーとは違った作戦で70周を戦ったグレアム・レイホール(Rahal Letterman Lanigan Racing)は、予選10番手から粘り強い走りを続けて、4位でフィニッシュしました。2016年シーズンで4回目のトップ5入りです。
コナー・デイリー
グレアム・レイホール
第100回インディ500でアレクサンダー・ロッシが優勝したばかりのAndretti Autosportは、カルロス・ムニョスが6位、ライアン・ハンターレイが7位と、2人がトップ10フィニッシュを飾りました。ロッシは、初めてのデトロイトで10位でのゴールを成し遂げました。
佐藤琢磨(A.J. Foyt Racing)はデトロイトのコースで、2014年にはポールポジションを獲得し、昨年はレース2で2位フィニッシュを達成しました。今年のレース1も予選11番手から上位入賞を狙ってスタートしましたが、マシンセッティングがコンディションにマッチしておらず、スタート直後から少しずつポジションを下げていく、苦しい戦いを余儀なくされました。しかし、セッティングを調整し、燃費作戦も使って、ポジションをばん回し、予選の順位と同じ11位でゴールしました。
佐藤琢磨(#14)
順位 | No. | ドライバー | エンジン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 11 | S.ブルデー | シボレー | 70 | 1:40'51.6838 |
2 | 18 | コナー・デイリー | ![]() | 70 | +2.0401 |
3 | 2 | J.P.モントーヤ | シボレー | 70 | +5.7067 |
4 | 15 | グレアム・レイホール | ![]() | 70 | +7.4793 |
5 | 3 | H.カストロネベス | シボレー | 70 | +40.0139 |
6 | 26 | カルロス・ムニョス | ![]() | 70 | +40.7592 |
7 | 28 | ライアン・ハンターレイ | ![]() | 70 | +42.2990 |
8 | 83 | C.キンボール | シボレー | 70 | +44.4699 |
9 | 10 | T.カナーン | シボレー | 70 | +45.5832 |
10 | 98 | アレクサンダー・ロッシ | ![]() | 70 | +48.2961 |
11 | 14 | 佐藤琢磨 | ![]() | 70 | +51.1067 |
12 | 19 | ギャビー・シャヴェス | ![]() | 70 | +51.3256 |
15 | 7 | ミハイル・アレシン | ![]() | 70 | +1'14.1421 |
16 | 27 | マルコ・アンドレッティ | ![]() | 69 | +1Lap |
18 | 5 | ジェームズ・ヒンチクリフ | ![]() | 65 | +5Laps |
22 | 41 | ジャック・ホークスワース | ![]() | 0 | +70Laps |
順位 | No. | ドライバー | エンジン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 22 | S.パジェノー | シボレー | 313 |
▲ | 2 | 3 | H.カストロネベス | シボレー | 254 |
▼ | 3 | 9 | S.ディクソン | シボレー | 247 |
▲ | 4 | 26 | カルロス・ムニョス | ![]() | 227 |
▼ | 5 | 21 | J.ニューガーデン | シボレー | 227 |
▲ | 6 | 2 | J.P.モントーヤ | シボレー | 223 |
▼ | 7 | 98 | アレクサンダー・ロッシ | ![]() | 223 |
▼ | 8 | 5 | ジェームズ・ヒンチクリフ | ![]() | 217 |
▼ | 9 | 10 | T.カナーン | シボレー | 214 |
▼ | 10 | 83 | C.キンボール | シボレー | 213 |
▲ | 11 | 15 | グレアム・レイホール | ![]() | 205 |
- | 13 | 28 | ライアン・ハンターレイ | ![]() | 188 |
▼ | 15 | 14 | 佐藤琢磨 | ![]() | 153 |
▲ | 16 | 18 | コナー・デイリー | ![]() | 149 |
▼ | 17 | 27 | マルコ・アンドレッティ | ![]() | 144 |
▼ | 18 | 7 | ミハイル・アレシン | ![]() | 142 |
- | 20 | 41 | ジャック・ホークスワース | ![]() | 99 |
- | 22 | 77 | オリオール・セルビア | ![]() | 72 |
▲ | 23 | 19 | ギャビー・シャヴェス | ![]() | 64 |
- | 24 | 20 | スペンサー・ピゴット | ![]() | 63 |
▼ | 25 | 29 | タウンゼント・ベル | ![]() | 55 |
- | 26 | 19 | ルカ・フィリッピ | ![]() | 45 |
- | 28 | 35 | アレックス・タグリアーニ | ![]() | 35 |
- | 29 | 63 | ピッパ・マン | ![]() | 33 |
- | 32 | 88 | ブライアン・クロウソン | ![]() | 21 |
コナー・デイリー(2位)
「表彰台に上ることができて本当にうれしいです。ここにいられることに対して感謝でいっぱいです。チームオーナーのデイル、ピットクルーたち、そして作戦を考えてくれたスタッフ、全員が信じられないようなすばらしい仕事をしてくれました。私たちは予選で常に何かしらのトラブルを抱え、実力に見合った予選結果を手にすることができていません。しかし、チームが作戦を練る力で僕を上位に押し上げてくれています。そういうレースがいくつもありました。今日はHondaエンジンの燃費のよさも武器になっていました。タイヤの持ちもよかったので、最後のピットストップでは、給油だけでコースに戻ることができました。今日の2位は優勝したのと同じようなうれしさです」
佐藤琢磨(11位)
「レースを前に、雨が降る可能性が出てきましたが、小雨はあったものの、レースに影響を与えるような降り方にはなりませんでした。今日は、22台中21台がソフトタイヤでスタートし、作戦でどのような違いが出るかわかりませんでした。自分たちは雨が降らなかった場合、4〜5周目という早い段階で、ハードタイヤにスイッチする予定でした。実際にピットに入ったのは6〜7周目で、他の選手たちも同じころにピットインしたので、タイミングで差をつける展開にはなりませんでした。そして、マシンのセッティングがよくなかったため、順位を落としていきました。戦略的にも負けていたし、マシンももっと速くしなくてはいけません。明日のレース2では、午前中の予選で今日とは違うセッティングを試し、得意のデトロイトでいいレースを戦えるようにがんばります」