カリフォルニア州ロングビーチのダウンタウンに作られるストリートコースにおいて、インディカー・シリーズ第3戦、第42回グランプリ・オブ・ロングビーチが開催されました。
カリフォルニアならではの好天に恵まれ、集まった多くの観客が見守るなか、インディカーによるハイスピードレースが繰り広げられ、佐藤琢磨(A.J. Foyt Racing)が予選8番手からトップ5入り、5位でフィニッシュしました。
佐藤琢磨
佐藤琢磨
全長1.968マイルの海岸沿いの高速コースを80周するレースは、アクシデントなどによるイエローフラッグが一度も出されることがなく、スタートからゴールまでの平均時速は、新記録となる100.592mphが記録されました。フルコースコーションなしのロングビーチでのレースは、実に1989年以来の通算4度目のものとなりました。
今回のようにフルコースコーション、そしてペースカー先導での周回が一切ないレースでは、スピードと燃費の両立が求められます。予選8番手だった佐藤は、スタートでポジションをキープすると、前を行くマシンの隙をうかがいつつ、燃費セーブにも気を配りながら走行。25周目に1度目のピットストップを行いました。ここでジェームズ・ヒンチクリフ(Schmidt Peterson Motorsports)の前に出て、1つポジションを上げた佐藤は、53周目に行った2度目ピットストップでは、ウィル・パワー(Team Penske)をパスし、さらにポジションアップを果たしました。
そこからのゴールまでの27周に渡り、佐藤は燃費をセーブしつつ、10回与えられるプッシュ・トゥ・パスの使用を控えてチャンスを待ち続けました。そして、激しいバトルの末にトニー・カナーン(Chip Ganassi Racing Teams)をパス。さらに上位を目指して4番手を走るファン・パブロ・モントーヤ(Team Penske)を猛追しました。佐藤とモントーヤの差がほぼゼロとなって最終ラップは迎えられ、佐藤は最後の最後までアタックを続けましたが、惜しくも0.0756秒届かず。それでも、佐藤は予選順位よりも3つポジションを上げて、5位フィニッシュを達成しました。
佐藤琢磨
佐藤琢磨
2013年にロングビーチで日本人ドライバーとして初めてのインディカー優勝を飾っている佐藤は、今でもロングビーチでの人気が非常に高く、ハードファイトの末に5位フィニッシュを勝ち取った走りには大きな歓声と拍手が贈られていました。これで16年シーズンは16戦のうちの3戦が終了しましたが、佐藤は2度のトップ10入りを果たし、ポイントスタンディングでも6番手の好位置につけています。
次戦は、今シーズン初の常設ロードコースで行なわれるレース、Hondaインディ・グランプリ・オブ・アラバマです。南部アラバマ州バーミンガムにある、アップダウンに富んだ美しいサーキットである全長2.3マイルのバーバー・モータースポーツ・パークがその舞台となります。
ジェームズ・ヒンチクリフ
順位 | No. | ドライバー | エンジン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 22 | S.パジェノー | シボレー | 80 | 1:33'54.4835 |
2 | 9 | S.ディクソン | シボレー | 80 | +0.3032 |
3 | 3 | H.カストロネベス | シボレー | 80 | +10.8376 |
4 | 2 | J.P.モントーヤ | シボレー | 80 | +12.2162 |
5 | 14 | 佐藤琢磨 | ![]() | 80 | +12.2918 |
6 | 10 | T.カナーン | シボレー | 80 | +17.6267 |
7 | 12 | W.パワー | シボレー | 80 | +18.7449 |
8 | 5 | ジェームズ・ヒンチクリフ | ![]() | 80 | +19.0362 |
9 | 11 | S.ブルデー | シボレー | 80 | +22.9147 |
10 | 21 | J.ニューガーデン | シボレー | 80 | +23.6654 |
12 | 26 | カルロス・ムニョス | ![]() | 80 | +40.1250 |
13 | 18 | コナー・デイリー | ![]() | 80 | +47.1809 |
15 | 15 | グレアム・レイホール | ![]() | 80 | +56.9082 |
16 | 7 | ミハイル・アレシン | ![]() | 80 | +1'01.2966 |
17 | 19 | ルカ・フィリッピ | ![]() | 80 | +1'08.0543 |
18 | 28 | ライアン・ハンターレイ | ![]() | 80 | +1'30.3302 |
19 | 27 | マルコ・アンドレッティ | ![]() | 79 | +1Lap |
20 | 98 | アレクサンダー・ロッシ | ![]() | 79 | +1Lap |
21 | 41 | ジャック・ホークスワース | ![]() | 77 | +3Laps |
順位 | No. | ドライバー | エンジン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 22 | S.パジェノー | シボレー | 134 |
- | 2 | 9 | S.ディクソン | シボレー | 120 |
- | 3 | 2 | J.P.モントーヤ | シボレー | 106 |
▲ | 4 | 3 | H.カストロネベス | シボレー | 92 |
- | 5 | 10 | T.カナーン | シボレー | 82 |
▲ | 6 | 14 | 佐藤琢磨 | ![]() | 73 |
▼ | 7 | 28 | ライアン・ハンターレイ | ![]() | 68 |
▲ | 8 | 12 | W.パワー | シボレー | 62 |
▼ | 9 | 15 | グレアム・レイホール | ![]() | 59 |
▲ | 10 | 83 | C.キンボール | シボレー | 58 |
▼ | 11 | 7 | ミハイル・アレシン | ![]() | 57 |
▲ | 15 | 26 | カルロス・ムニョス | ![]() | 50 |
▲ | 16 | 18 | コナー・デイリー | ![]() | 49 |
▲ | 17 | 5 | ジェームズ・ヒンチクリフ | ![]() | 47 |
▼ | 18 | 98 | アレクサンダー・ロッシ | ![]() | 44 |
▼ | 19 | 27 | マルコ・アンドレッティ | ![]() | 43 |
▼ | 20 | 41 | ジャック・ホークスワース | ![]() | 39 |
- | 21 | 19 | ルカ・フィリッピ | ![]() | 33 |
- | 22 | 16 | スペンサー・ピゴット | ![]() | 16 |
佐藤琢磨(5位)
「スタートからゴールまでフルコースコーションなしでの戦いは、燃費をセーブする必要がありました。冷静さを保ち、燃料をセーブするよう自分に言い聞かせながら走り続け、プッシュ・トゥ・パスの使用で燃料を使い過ぎないように注意もしていました。今日のレースでは、私たちのチームであるA.J. Foyt Racingが本当にすばらしい仕事をしてくれ、8番手スタートから5位でのフィニッシュを達成できました。ピットタイミングは的確で、クルーたちの作業も早かったです。チームがまた一段と実力を高めていることを強く感じました。レース終盤のトニー・カナーンやファン・パブロ・モントーヤといった強豪たちとのバトルは、とてもエキサイティングでした。今日のようなレースをこれからも戦い続けていきたいと思います」