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予選5位から3位でフィニッシュしたカナーン |
IndyCarシリーズ第15戦は、ロサンゼルスから東の内陸部に50マイルほど入ったフォンタナで開催された。1997年に完成されたカリフォルニア・スピードウェイは、全長2マイルのスーパー・スピードウェイで、インディカーでのバトルは時速220マイルを越す超高速のものとなる。Honda Indy V-8搭載のトニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング)は、今日のレースで予選5位から3位でフィニッシュし、ポイント・トップとの差は、第14戦終了時点の14点から7点にまで縮めることに成功した。
優勝はサム・ホーニッシュJr. (パンサー・レーシング)で今シーズン3勝目。2位はスコット・ディクソン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)だった。
予選でのHonda Indy V-8勢は、トップ5に3人が食い込んだ。ケニー・ブラック(チーム・レイホール)がフロントロー外側のグリッドを確保する2位を手に入れ、ルーキーのダン・ウェルドン(アンドレッティ・グリーン・レーシング)が4位、カナーンが5位につけたのだ。
今週末のフォンタナは真夏に逆戻りしたかのような暑さに見舞われたが、決勝日は最も暑くなり、レースのスタート時点で38℃を越え、レース中には40℃にも達した。序盤は、ブラック、ウェルドン、カナーン、予選16位から一気に上位へと食い込んできたロジャー安川(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング)、そしてブライアン・ハータ(アンドレッティ・グリーン・レーシング)のHonda Indy V-8勢5人が、トーマス・シェクター(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)、エリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)、ホーニッシュJr.、ディクソンとトップグループを形成した。
1回目のピットストップは40周目前後に行われ、ここで給油システムにトラブルの生じたブラックが長いストップを強いられ、77周目のピットストップ後にはハータが他車との接触からサスペンショントラブルに見舞われたため後退を余儀なくされた。
これでトップ集団は安川までの7台で構成されることとなった。酷暑の中でのレースは、400マイル、200周に渡る長いものだったが、アクシデントが一度もなく、フルコースコーションもコース上の異物を取り除くために1回出されただけだったことから、平均時速が200マイルを越すハイスピードのままゴールを迎えた。コース上でのマシンのスピードだけでなく、ピットストップの作業スピードも各チーム、ドライバー間に大きな差はなく、最後まで小さなミスさえも許されない厳しい戦いは続き、レースは1時間55分51秒4395でフィニッシュ。平均時速は207.151マイルとなり、サーキットを使用したモータースポーツでの世界新記録スピードが樹立された。 この結果、チャンピオン争いは最終戦のテキサスで決着を見ることとなった。依然としてトップ5にタイトル獲得のチャンスは残されており、Honda Indy V-8を使うカナーンはランキング3位から逆転での王座奪取を目指す。また、Hondaドライバー2人によって争われているルーキー・オブ・ザ・イヤーをかけた争いは、ウェルドンが2戦連続の4位、安川が自己ベスト・タイとなる7位でゴールしたことにより、4ポイント差まで縮まった。こちらもドライバーズタイトル同様、決着は最終戦まで持ち越されることとなった。
●3位 トニー・カナーン
「チーム全員が素晴らしい働きをしてくれた。彼らには僕が必要なものを全部そろえてくれるよう頼んだ。Hondaにも本当に感謝している。今回のエンジンは前回までのものからさらにステップアップしたものとなっていた。素晴らしいエンジンだった。今日は長いレースで、僕らのマシンはハンドリングも良かった。しかし、誰もがトラフィックの中では苦しんでいたようだ。3位でゴールしたことで、チャンピオンへのポイント差を半分まで一気に減らすことができた。今週の目標は達成したと言っていいだろう。最終戦のテキサスがどうなるか、それだけが問題となった。そのレースまでには2週間の時間がある。マシンとエンジンの開発も進められる。まだタイトルは誰のものになるかはわからない。テキサスが楽しみだ。テキサスではアクセルは絶対に戻さず、彼らを倒して見せる」
●4位 ダン・ウェルドン
「スタートからゴールまでマシンはずっと安定して速かった。クルーたちのピットストップも非常に速かった。僕としては、トニーがチャンピオンになるためにできる限りのことをやったつもりだ。それは最終戦のテキサスでも変わらないだろう。チームの目標が彼のタイトル獲得に定められている。僕としては、ロジャー安川とのルーキーポイント差を縮められた点も嬉しい。彼との戦いも最終戦に持ち込まれることになった。僕はトップチームで走っているので、ルーキーだってことをみんなは時々忘れているようだ。僕のルーキー・オブ・ザ・イヤーをかけた戦いにも少し注目が集まってくれると嬉しい。しかし、チームにとっての最大の目標はトニーをチャンピオンの座に就けることだ」
●7位 ロジャー安川
「いいレースを戦えたと思います。単独でのマシンはとても速かったのですが、トラフィック内でのマシンの動きは難しいものになっていました。今日は自分に与えられたマシンで獲得できるベストのリザルトを手に入れたと思います。ダン・ウェルドンがポイントを詰めて来て、決着は最終戦のテキサスでつくことになりました。しかし、最終戦でも、僕は自分のやるべきことをやるだけです。前の順位でゴールしたドライバーがルーキー・オブ・ザ・イヤーを取る。その戦いが今から楽しみです。自己ベストの7位を最終戦で更新することを僕としては目指したいですね」
●20位 ケニー・ブラック
「今シーズンはこういう戦いばかりになっている。最初のピットストップで給油システムがスタックし、燃料がタンクに入らなくなってしまった。その後のレースは本当に長く感じた。トップグループで走ることのできるマシンになっていたが、それをチャンスとして活かすことができなかった。ゴールまでトップ集団で競い合うことができると思っていたのに残念だ。チームにとってとても悔しいレースになった。1周目にリードラップを記録しただけで終わってしまったけれど、今日は最後のラップ、200周目もトップで迎えたかった。オハイオ州コロンバスのワークショップに戻り、最終戦テキサスに向けて万全の準備を整えることにする」
●22位 ブライアン・ハータ
「アレックス・バロンが僕を外側からパスした時、十分なスペースを与えていたのに右フロントホイールにぶつかって来た。その衝撃でサスペンションにダメージを負い、ピットに入るしかなくなった。修理を終えてコースに再び戻ると、ハンドリングは元通りに良くはなっておらず、しかも7周遅れになってしまっていたため、走り続けるのを諦めた。レース序盤のマシンは調子が良く、優勝を狙えると考えていただけに、まったく残念な結果となった」
●ロバート・クラーク:HPD VP&ゼネラルマネージャー
「予選から決勝まですべてがスムーズに進んでいたが、勝利を飾ることはできなかった。トニー・カナーン、ダン・ウェルドンの2人がトップ争いをしていたが、最後のピットストップの後、彼らはハンドリングが悪化したようだ。
トニーは3位でゴールし、トップとのポイント差も縮まったため、最終戦で逆転タイトルを獲得できる可能性が十分にある。Honda Indy V-8エンジンは、少しずつだが毎レースで進歩を遂げて来ている。今回投入したエンジンは、予選で特にそのパフォーマンスを発揮できていた。我々の目標は、トニーにドライバーズタイトルを獲得させることだ。最終戦までは少し時間がある。Honda Indy V-8の性能をさらに上げるべく全力を注いでいく」
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