第4戦目はイギリスでの開催。設定の難しいトライアルは、多くのライダーを苦しめましたが、トニー・ボウ(Repsol Honda Team)は土曜日、日曜日ともに勝利し、開幕以来負けなしの8連勝を飾りました。ハイメ・ブスト(Repsol Honda Team)は両日ともに5位。藤波貴久(Repsol Honda Team)は土曜日が7位と、今季最も厳しい結果となりました。日曜日は6位で終えています。
イギリスは雨の多い地域です。降ったり止んだりの天候は、難度の高いセクションをさらに難しくしていました。ところがボウは、1ラップ目にわずか5点というスコアをマーク。2位のA.ラガ(ガスガス)の1ラップ目が16点ですから、その突出した好調ぶりがうかがえます。
しかし、2ラップ目のボウは、第1セクションから第3セクションまで連続で5点となり、やや苦しい状況に。それでも残るセクションをしっかりと走り、減点は21点。トップスコアはラガの18点で、序盤の失敗の影響を最小限にすることができました。
3ラップ目、今度は大きな失敗もなく戦いを続けました。最終12セクションで5点となってしまいましたが、それでも3ラップ目のスコアは15点。ラガに1点差で3ラップ目もトップスコアをマークしました。総減点を41点とし、これでボウは開幕から7連勝です。
チーム加入1年目のハイメ・ブストは5位。2ラップ目までジェロニ・ファハルド(ベータ)と6位争いを展開していましたが、3ラップ目に追い上げて5位の座を獲得しています。
藤波貴久は、1ラップ目に6個の5点をとって、苦しいトライアルとなりました。それでも2ラップ目にはジェイムス・ダビル(ヴァーティゴ)に2点差の5位につけていたのですが、4位から7位までは大接戦。3ラップ目の失敗により、藤波は1日目を7位で終えました。
トニー・ボウ(優勝)
「今日の試合の流れは、非常に満足のいくものでした。今日のトライアルは、1ラップ目がすべてだったように思います。ここでよい走りができたので、そのあとに失敗があっても落ち着いてばん回できました。今日はラガ選手もよい走りをしていましたから、その勝負に打ち勝つことができて、たいへんうれしいです。7戦を終えて、チャンピオンシップのリードは34点になりました。この時期にこんなに大きなリードをとれるなんて、自分でも信じられないほどです。この勢いが続けられるようにがんばります」
ハイメ・ブスト(5位)
「1ラップ目のセクションはよかったと思います。でも2ラップ目に雨が降ってきて、厳しい戦いになりました。それでも走るたび、試合を重ねるたび、自分が強くなっているという実感があります。このマシン、このチームだからできる成長だと思っています」
藤波貴久(7位)
「今日は苦しい出だしでした。それ以後もなにもいい仕事ができずに終わったという感じです。集中もできず、自信も失ってしまいました。2ラップ目は失敗を抑えられて、少し状況を改善できましたが、3ラップ目の第1セクションで失敗してしまい、5位から7位に脱落してしまいました。これは私の今季ワーストの結果です。明日はこの結果を改善しなければいけません」
ミケール・シレラ監督
「今回の勝利はランキング争いの上でも、たいへん重要なものでした。今日は難しいトライアルになりました。セクションはとても微妙な設定だったので、減点の多い大会になると読んでいました。そんな中でのボウの勝利は、すばらしかったと思います。ブストの5位もよい結果です。しかし、ブストは藤波と同様に多くの5点をとってしまっています。そこが課題であり、ブストがさらに成長するためのポイントだと思います。明日はまた雨が降るということなので、今日と同様に困難な戦いになると思います。よりよい結果を求めて戦います」
トニー・ボウは、この日も最高のパフォーマンスを発揮しました。開幕以来、負けなしの8連勝。この結果は、過去最高のリザルトだった2012年に勝るもので、これまで最高のシーズンとなっています。
雨は降り続き、しかも午後になって豪雨となりました。セクションの難易度は増し、たいへん厳しいものとなりました。それでもボウの減点は、1ラップ目の第3セクションでの5点のほかは、わずかしかありませんでした。1ラップ目の減点は8点、2位が24点ですから、土曜日に輪をかけてボウの好調が証明されました。
2ラップ目、ボウはさらに調子を上げて、ラップ減点は2点。1点の減点が二つあっただけでした。2ラップ目はライバルも調子を上げてきましたが、その出鼻をくじく勢いを見せました。
3ラップ目、ボウはますます好調になり、ついに1度も足をつかずに、12セクションを走りきってしまいました。2位のラガも3ラップ目を6点で回り、調子を上げてきたのですが、トータルでは30点の大差をつけて8勝目に花を添えました。
ブストが5位、藤波が6位と、ほかの2人はチームメート同士での争いとなりました。3ラップとも、2人はほぼ同じ減点で進み、わずかの差でブストが5位を獲得しました。
世界選手権第5戦は、6月27日、28日にフランスのアンドンで開催されます。
トニー・ボウ(優勝)
「とても興奮しています。今日は快適に試合を運べました。1ラップ目も悪くなかったですが、2ラップ目3ラップ目とどんどんよくなっていきました。この結果にたいへん満足しています。ノーストップルールが採用されて、トライアルは非常に厳しいものとなっていますが、ノーストップルールになる前の2012年の勢いを完全に取り戻したという実感を得ています」
ハイメ・ブスト(5位)
「1ラップ目は、とても滑りやすく、難しいトライアルでした。なんとか自分のリズムを取り戻そうと模索したのが、功を奏したのだと思います。この難しい大会で両日とも5位になれたので、今回の結果には満足しています」
藤波貴久(6位)
「セクションは昨日同様に厳しいものでした。いくつか設定が変更され、さらに難しくなっていました。1ラップ目は、多くの5点をとってしまい、厳しい結果となりました。こんなに失敗が続いたのは、私のレースキャリアの中で初めてだと思います。2ラップ目に少し調子を上げることができましたが、それでも結果はよくありません。今回のことは早く忘れて、フランスでは強いフジガスを取り戻したいです」
ミケール・シレラ監督
「今日は非常にうれしい日になりました。ボウは完ぺきなライディングを見せてくれました。藤波は表彰台を目指して戦いましたが、なかなかうまくいきませんでした。フランスまでの2週間で、膝をしっかり休めて、再び上位の戦いに戻ってほしいです。ブストの今シーズンの仕事は、学ぶことだと考えています。ですから、結果については、すべてがボーナスだと思っています。しかし、彼は確実に上位に上りはじめています。3人のそれぞれのライダーの活躍と、チームのスタッフ、すべてに感謝の気持ちを捧げます」
順位 | No. | ライダー | マシン | ラップ1 | ラップ2 | ラップ3 | 総減点 | クリーン数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | トニー・ボウ | モンテッサ(Honda) | 5 | 21 | 15 | 41 | 24 |
2 | 2 | A.ラガ | ガスガス | 16 | 18 | 16 | 50 | 13 |
3 | 3 | A.カベスタニー | シェルコ | 19 | 34 | 25 | 78 | 12 |
4 | 4 | J.ファハルド | ベータ | 36 | 36 | 15 | 88 | 12 |
5 | 15 | ハイメ・ブスト | モンテッサ(Honda) | 33 | 37 | 32 | 102 | 9 |
6 | 6 | J.ダビル | ヴァーティゴ | 28 | 39 | 36 | 103 | 7 |
7 | 5 | 藤波貴久 | モンテッサ(Honda) | 39 | 30 | 35 | 104 | 9 |
9 | 14 | エディー・カールソン | モンテッサ(Honda) | 43 | 40 | 54 | 137 | 2 |
順位 | No. | ライダー | マシン | ラップ1 | ラップ2 | ラップ3 | 総減点 | クリーン数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | トニー・ボウ | モンテッサ(Honda) | 8 | 2 | 0 | 10 | 30 |
2 | 2 | A.ラガ | ガスガス | 24 | 10 | 6 | 40 | 22 |
3 | 4 | J.ファハルド | ベータ | 34 | 17 | 12 | 63 | 19 |
4 | 3 | A.カベスタニー | シェルコ | 32 | 23 | 16 | 71 | 16 |
5 | 15 | ハイメ・ブスト | モンテッサ(Honda) | 44 | 24 | 13 | 81 | 12 |
6 | 5 | 藤波貴久 | モンテッサ(Honda) | 45 | 27 | 12 | 84 | 12 |
9 | 14 | エディー・カールソン | モンテッサ(Honda) | 53 | 48 | 35 | 136 | 3 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | トニー・ボウ | モンテッサ(Honda) | 160 | 2 | A.ラガ | ガスガス | 126 | 3 | J.ファハルド | ベータ | 114 | 4 | A.カベスタニー | シェルコ | 101 |
5 | 藤波貴久 | モンテッサ(Honda) | 98 |
6 | ハイメ・ブスト | モンテッサ(Honda) | 82 |
10 | エディー・カールソン | モンテッサ(Honda) | 40 |
13 | 小川友幸 | Honda | 16 |
22 | 佐藤優樹 | Honda | 1 |