FIMトライアル世界選手権の開幕戦である日本GPは、4月26日(日)に2日目の競技が行われました。土曜日はほんのわずかに雨が降る曇り空でしたが、日曜日は暑いくらいのいい天気になりました。
土曜日の優勝の勢いを日曜日につなげたいトニー・ボウ(Repsol Honda Team)、4位という結果は悪くないものの、内容的には不満の残った藤波貴久(Repsol Honda Team)、デビュー戦での6位入賞で幸先のいいハイメ・ブスト(Repsol Honda Team)は、それぞれに想いを秘めて日曜日の戦いに臨みました。
この日はいくつかのセクションの難易度が高められており、難しいセクションがさらに難しくなって、ライダーたちを苦しめました。藤波は第2セクション、第3セクション、第4セクションと続けて5点を取り、苦しい試合の幕開けとなりました。特に土曜日の段階ですでに難度が高かった第3セクションは、日曜日には極めて難しいセクションとなっていました。小川友幸(Honda)や黒山健一(ヤマハ)など、全日本のトップライダーをして走破するイメージが全く見えないと言わしめるほどの難物です。藤波以外にも、トライするライダーが次々に5点となっていきます。そんな中、最後に3セクションにやってきたのがボウでした。ボウはこの難セクションをただ一人、美しくクリーンとし、競技序盤にして大きなアドバンテージを得ました。
1ラップ目、ボウの減点は7点、2位のジェロニ・ファハルド(ベータ)は21点。ボウは、2ラップ目こそファハルドとアダム・ラガ(ガスガス)に詰め寄られますが、それでもファハルドに10点差と、勝利に向けて順調に点差を守っていきました。
結果、ボウは2位に17点差をつけて優勝。開幕2連勝で、9度目となるアウトドア世界選手権のタイトル獲得に向けて、見事なダッシュを決めました。
藤波は序盤に大きなミスをして苦しい戦いとなりますが、2ラップ目にはミスをしながらも調子を少し取り戻し、3ラップ目には、ボウが1ラップ目にマークした7点というスーパースコアに次ぐ、10点のラップ減点を叩き出しました。藤波はスタートがほかのトップライダーより早く、加えて少し早いペースでラップを重ねていため、ゴールした段階では、藤波の順位が4位ではないかとささやかれていました。
ところがその後、ラガが11セクションで5点を取ったという情報が入り、これで藤波は3位に浮上。さらにその後、ファハルドと同点ではないかという情報が入り、藤波陣営はパドックで最終結果を待ちました。
そうしてもたらされたのは、藤波が51点、ファハルドが53点で藤波が2位であるという吉報でした。開幕2戦目、そしてケガから復帰後の2戦目にして2位表彰台を獲得。Repsol Honda Teamの1-2フィニッシュともなり、最後の最後に、喜びが2倍にも3倍にもなった一日でした。また、ブストは前日に続いて6位入賞。しかも、前日よりも5位との減点差を縮めての金星でした。
全日本選手権からの参戦組としては、小川友幸がブストに3点差で7位となったのが最上位でした。
次の戦いは5月30(土)〜31日(日)、チェコで開催されます。
トニー・ボウ(優勝)
「昨日に引き続き、今日はいい一日になりました。Hondaの母国である日本で連覇、そして今日は藤波選手の2位で、チームとして上位独占という、これ以上ない結果となりました。私の走りは、1ラップ目と3ラップ目がよかったです。2ラップ目はいくつかミスがあり、スコアを落としてしまいましたが、すぐに修正できていたと思います。とにかくチームにとっては、信じられないほどいい日となりました」
藤波貴久(2位)
「昨日の4位は、復帰後の初戦としては悪くないものでしたが、3位との点差が離れすぎていたため、内容的に不満が大きかったです。今日は、出だしで大きなミスをしてしまいました。3ラップ目にようやく集中することができ、悪くない走りでなんとか4位に入れたと思っていたところで3位に。そして2位にアップということになり、本当にうれしい結末になりました。今日の3ラップ目のように、今シーズンを戦っていきたいです。サポートしてくれたお医者さんやトレーナーさん、チームや家族に、そして私を2位表彰台に押し上げてくれた日本のファンの皆さんに、本当に感謝です」
ハイメ・ブスト(6位)
「なにもかもがとてもうまくいき、すばらしい日本GPになりました。序盤の調子はよくなかったのですが、次第にいい方向に進み始めました。今日は昨日よりも全体的に調子がよく、レベルアップを果たせた気がしています」
順位 | No. | ライダー | マシン | ラップ1 | ラップ2 | ラップ3 | 総減点 | クリーン数 |
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1 | 1 | トニー・ボウ | モンテッサ(Honda) | 7 | 17 | 10 | 34 | 24 |
2 | 5 | 藤波貴久 | モンテッサ(Honda) | 24 | 17 | 10 | 51 | 20 |
3 | 4 | J.ファハルド | ベータ | 21 | 13 | 19 | 53 | 20 |
4 | 2 | A.ラガ | ガスガス | 27 | 13 | 19 | 59 | 18 |
5 | 3 | A.カベスタニー | シェルコ | 25 | 22 | 14 | 61 | 17 |
6 | 15 | ハイメ・ブスト | モンテッサ(Honda) | 32 | 24 | 27 | 83 | 15 |
7 | 18 | 小川友幸 | Honda | 25 | 29 | 32 | 86 | 13 |
15 | 25 | 佐藤優樹 | Honda | 60 | 58 | 58 | 176 | 0 |
16 | 26 | 砂田真彦 | Honda | 58 | 58 | 60 | 176 | 0 |
RT | 23 | 柴田暁 | Honda | - | - | - | - | - |
RT | 24 | 斉藤晶夫 | Honda | - | - | - | - | - |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | トニー・ボウ | モンテッサ(Honda) | 40 |
2 | J.ファハルド | ベータ | 32 |
3 | 藤波貴久 | モンテッサ(Honda) | 30 |
4 | A.ラガ | ガスガス | 28 |
5 | A.カベスタニー | シェルコ | 22 |
6 | ハイメ・ブスト | モンテッサ(Honda) | 20 |
7 | 小川友幸 | Honda | 16 |
17 | 佐藤優樹 | Honda | 1 |