季節に合わせたセッティング
RS125R / RS250R / セッティング情報
気温上昇時の対応(夏)
エンジン
夏場は気温の上昇に伴い一定体積中の空気密度が薄くなる為に、気温が低い冬場等と比較してエンジンに供給される酸素密度は減ってしまいます。その為減った酸素に合わせてメインジェットなど燃料系も噴出されるガソリンの量を減らしてバランスをとって行くわけです。
しかし、極端に気温が上がる、湿度が高い、気圧が低いなどの条件が幾つか揃ってしまうと燃料を極端に絞ることになり、実馬力が出ないばかりか、トルク感のないエンジンになってしまいます。
そこで、2次容積や点火時期の変更で気象条件にエンジンを合わせて対応して行くわけですが、年式により若干方法が異なりますので注意して下さい。
下記の表は気温等が上昇し、MJが160番台前半まで絞れてしまった時の対応法です。
車種 | 年度 | 判定基準 |
RS125R | 〜1997年 | (1) 2次圧縮を上げるSTD11.6ccに対し0.2cc下げる (2) 点火時期を進めるSTDに対し1°進める |
1998年〜1999年 | (1) Pwjの番数を小さくするSTDの40に対し38 (2) 2次圧縮を上げるSTD11.6ccに対し0.2cc下げる (3) 点火時期を進めるSTDに対し1°進める |
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2000年 | (1) Pwjの番数を小さくするSTDの48に対し45 (2) 2次圧縮を上げるSTD11.6ccに対し0.2cc下げる (3) 点火時期を進めるSTDに対し1°進める |
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RS250R | 〜1998年 | (1) 2次圧縮を上げるSTD11.6ccに対し0.2cc下げる (2) 点火時期を進めるSTDに対し1°進める |
1999年〜 | (1) Pwjの番数を小さくするSTDの48に対し45 (2) 2次圧縮を上げるSTD12.1ccに対し0.2cc下げる |
※対応項目については必ず1つずつ行うこと。
2次圧縮を上げる際の注意(ベースガスケットの0.1mm違いで容積が0.2cc変化する)
上記対応を施す前に他のライダーにセッティングを聞き、自分一人が大きく外れたセッティングでないかを確認する。もし大きく外れたセッティングとなっているのならトラブル等を疑ってみる。(2次エアー吸い込み等)
2次圧縮を上げる際にはピストンとシリンダーヘッドのクリアランスに注意すること、スキッシュ部で0.55mm以上確保しないとピストンとヘッドが当たる可能性がある。
1999、2000 RS250Rの場合は、他モデルと比較して点火特性が変更され、すでに進角してしている為、これ以上の進角による効果は期待できないので進角させないこと。
SJやJNストレート径が濃すぎるとMJが絞れてしまう傾向になる。
気温30℃以上
SJ# 45→# 42
JN# 1267→# 1268もしくは# 1269
上記セッティング対応は、気温が上昇してエンジンパワーが下がってしまった時に行うこと。気象条件のいい状態で行うと、デトネーションが多発する可能性があります。 また、セッティング変更後は余裕を持ったジェッティングを行い、必ず濃い状態から始める様にして下さい。
水温管理(ラジエター)
気温上昇時にはマシンの水温管理をしっかり行って下さい。 水温が70℃を超えてしまうと、熱ダレ等によってマシン本来のポテンシャルが発揮できなくなります。(55〜60℃がベスト)
<水温降下のポイント>
ラジエターの効率を上げ、水温を下げるためには以下の項目を守ってください。
ラジエター本体
汚れを落とす(中、外)
コアの折れをまめに起こす
空気の流れ
なるべく多くの風が当たるような工夫をする
ラジエターに当たった風が他の部分に抜けないような工夫をする。
(目張り、ステアリングアンダー)
ラジエター後部、エアーの抜けを確保する(キャッチタンクの位置変更等)又、水温が約5℃変化するとベストセッティング領域が変わってしまい、事前に合わせたセッティングがずれてしまうので、決勝では水温上昇を想定したセッティングを施すことも必要です。
足まわり
気温上昇に伴いサスペンション内部のオイル粘度が変わり、減衰特性が変化しますので、そのことを考慮に入れたセッティングが必要です。
気温上昇→通常より減衰をかける方向
気温低下→通常より減衰を抜く方向
又、夏場はサスペンションのオイル粘度を硬めにしてセッティングを出すのもいいでしょう。
気温低下時の対応
キャブセッティング
RS125R・RS250R共に夏場の対応法として2次容積を上げる、
点火時期を進める、など気象条件にエンジンを合わせて対応していましたが、気温低下に伴いスタンダードに戻して下さい。
夏場仕様のままではデトネーションの多発が考えられ、ピストン及びシリンダーヘッドにダメージをあたえてトラブルを引き起こす可能性が有ります。
夏場のセッティング2次容積を上げる点火時期を進める
↓
冬場のセッティング2次容積・点火時期共にスタンダードに戻す
※スタンダードに戻してもデトネーションが多発する場合は2次容積の測定を行ってください。
組み込み時容積 | RS125R | 11.6cc |
RS250R | 12.1cc |
測定結果が上記値からずれている時は、ガスケットを交換して上記値になるべく近づける様にして下さい。
(製品公差の為ぴったりの値にはならないことが有ります)
サスペンションセッティング
足廻りセッティングの方法に関しては夏場も冬場も変わり有りませんが気温の低下に伴いオイル粘度が変化し、特に走り始めでゴツゴツ感がでる事が有ります。夏場と比較してサスの減衰をやや抜いた方が走り始めの違和感がなくセッティングが進め易いでしょう。
又、走行直後としばらく走った後ではフィーリングが変わりますので、決勝のレースラップを考慮したセッティングが必要です。
暖機の注意
寒い時期の暖機には特に注意が必要です。一度しっかりと暖めたエンジンでもタイヤウォーマーやその他の用意でエンジンを止めおくと、あっと言う間に冷えてしまいます。
コースINする時に、しっかりと水温が上がっているのを確認してから走行して下さい。(水温が低いまま全開にするとピストンとシリンダーの膨張率の違いから焼き付きに至る可能性が有ります)
冬場はセッティングが濃いめとなる為カブリ易くなります。特にパワージェットキャブ装着のマシンは、暖機中やピット内の移動で4000rpm以下の低回転が続くと、アクセル開度に関係なくパワージェットから燃料が噴出されるので、非常に濃い状態になりカブリが頻繁に繰り返される可能性があります。
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