エンジン出力管理
RS125R / RS250R / メンテナンス情報
2次容積の測定
HRC製品の製造は厳しい管理の基で生産しておりますが、製品公差の関係上、組み合わせによっては2次圧縮がスタンダードの設定からややずれている場合があります。
圧漏れ防止のためピストン・リング・シリンダーにグリースを塗布し組み込む、上死点まで上げてトップ廻りのグリースを拭き取りシリンダーヘッドを組み込む。トップゲージを使用し上死点を確認する。シリンダーヘッド面を水平にしプラグ口より測定溶液(ガソリン:エンジンオイル=5:1)を50ccのビューレット(目盛りの正確な注射器でも可)を使用しプラグ座面まで注入し容量を測定する。
(ガスケット0.1mm違いで容積0.2cc変化する。)
RS125R | スタンダード11.6cc | 組み込み容積 |
RS250R | スタンダード12.1cc |
※2次容積を変更するとセッティングが大きく変わりますので注意が必要です。
※シリンダーガスケットを何度も再利用すると、熱や圧縮により厚さが変化し薄くなり2次容積が変化してしまうので、基本的に毎回交換とする。
2001年モデルのRS125Rは組み込み容積を計れないのでヘッド単体容積で2次容積を管理する。
(2001年ヘッド単体容積10.9cc)
点火時期の測定 (2002 RS250Rまで該当)
RS125は点検できませんがRS250はトップゲージ、タイミングライトがあれば確認できるので確認して下さい。
点火時期 | 1999年〜2001年 | 〜1998年 |
25°±1°/6000rpm | 24°±1°/6000rpm | |
20°±1°/10000rpm | 19°±1°/10000rpm |
尚、1998年までのマシンでパワージェットキャブを取り付けた場合は1999年〜2001年の点火時期とする。
※10000rpmで点検するのはかなり難しいので6000rpmのみの測定でも可。
ドライブチェーン
チェーンの長時間使用は駆動伝達効率を著しく悪化させ2〜3PSの出力ダウンとなります、早めに交換して下さい。レースでは初期伸びをとった新品がベストです。
チャンパー
チャンバーは2サイクルエンジンのパワー特性の決定において重要な役割を担っています。チャンバーのへこみや内部のカーボン、ピッチの体積はチャンバーの形状変化と同じで排気脈動を乱し大幅なパワーダウンを招くので注意して下さい。
水温調節
夏場の走行等ラジエターを全開で走る場合は調整出来ませんが、ガムテープ等で調整するときは55℃位にあわせて下さい。その他注意点として
(1) キャブセッティング時は常に同じ水温になるように注意すること。
(水温が5℃以上変わるとセッティングが合わなくなります。)
(2) 慣らし等で回転を上げずに走るときは水温が下がりやすいので注意すること、冬場など気温の低いときは水温が急激に下がり
低温焼き付の危険性があります。
(3) レース時は混戦を想定し2〜3℃低い水温になるように調整しスタートすること。
ラム圧車の注意点
燃料ホース(フューエルチューブ)が折れたり曲がったりすることでガス欠症状となることが有ります。特にラム圧装着車は燃料ホースが長めになるため、走行Gによるホース折れ曲がりで、ガス欠症状が発生する事があります。
(RS125Rでラム圧を取り付けている人)
ラム圧システムの各チューブ内に燃料が溜まらないようにして下さい。燃料が溜まってしまうと、空気の流れが悪くなり性能を発揮できないことがあります。又、各チューブの内径は最低でもφ5以上のものを使って下さい。あまり細いと全開時に必要となる空気量がタンクに送れず、5速6速でガス欠症状となります。もちろんホースの折れ曲がりにも注意が必要です。
ストレーナー・ワンウェイ部の詰まりが原因で燃料が流れないこともあります。
定期的に点検又は清掃して下さい。