メンテナンスの注意点(フレーム編)
RS125R / RS250R / メンテナンス情報
車体のメンテナンス
フレーム
転倒などマシンに大きな力が加わった時には、フレームのチェックを行って下さい。小さな転倒でも予想以上に大きな力が加わっていることがあります。特に溶接部にはクラックや変形が起こり易いので念入りなチェックが必要です。
ホイールペアリング
ホイール単体でなく実車に組んだ状態で軽く回転する様に組み上げて下さい。目安としてホイール単体時にディスタンスカラーが両サイドのベアリングのインナーに押されてやや固いぐらいがちょうど良い。ディスタンスカラーが中で遊んでいるのはNGです。
キャリパーの清掃
キャリパーの清掃はブレーキクリーナーやガソリンなどを使わずに、中性洗剤で洗うようにして下さい。キャリパーのシールは洗浄剤、ガソリンで変形、膨らみを起こし、ピストンの戻り不良、引きずりなどの原因となります。
エンジンマウントの締め付け(RS125R)
エンジンマウント締め付け (RS125R)
1998年よりRS125Rではエンジンマウント搭載時のアッパー及びロアーのアジャストボルト・ロックナットの締め付けトルクも変更されています。(剛性感UPのため)
項目 | 〜1997年 | 1998年〜 |
アジャストボルト(アッパー・ロアー) | 0.4kgf.m | 1.5kgf.m |
ロックナット(アッパー.ロアー) | 2.6kgf.m | 4.0kgf.m |
又、トルク変更はありませんが、2000年よりRS125Rのリヤスイングアームピボットボルトが変更されています。(肉厚アップ)2001年からはリヤアーム・ピボット裏リブ・リヤサスマウント形状変更などトータルで剛性感を出しています。
フロントサスペンションの内圧調整
サスペンションのストロークを繰り返すと、シール部より内部にエアーが入り込む事によってサスペンション内部の圧力が上がり、ストローク(特に初期)に対して反力感のあるサスペンションになってしまいます。そこで走行前にスタンドを上げた状態でサスペンションの蓋(フロントフォークボルト)を外し、サスペンション内部の内圧を下げる事で初期から動きのいいサスペンションになります。(気温の低い状態ではフォークOILも固くなっており、乗り始め初期で特にごつごつと感じる事があります。サスペンションの減衰を圧側・伸び側共に2〜3ノッチ抜いて走り始めると違和感無く走り始める事が出来ます。ペースが上がりオイルが柔らかくなったら自分の正規セッティングに戻して走行し、そこからセッティングを進めるようにしてください。)
フロントアクスルトルク管理
フロントアクスルに対し、しっかりとトルクがかかるようにしてください。
アクスル割り締めボルトのトルク不足や、アクスルホルダー割り部ゴミ噛みによるアクスルに対してのトルク不足はフロント廻りの安心感、接地感などを大きく減少させます。
サスセッティングの方向性を突然見失ったり、関連性がなくなった時は確認して下さい。
又、フロントフォークを締め付けているトップ及びボトムブリッジ・ハンドルホルダー・ステアリングダンパーホルダーは各ボルト共に規定トルクにてしっかりと締めつけて下さい。締め付けトルクが極端に強かったり弱かったりするとサスペンションのフィーリングが大きく変わり、セッティングが出来なくなります。
マニュアルにある規定トルクを守って下さい。
項目 | RS125R | RS250R |
アクスルシャフト割り締め | 2.2kgf.m | 2.2kgf.m |
トップブリッジ割り締め | 2.3kgf.m | 2.3kgf.m |
ボトムブリッジ割り締め | 2.2kgf.m | 2.3kgf.m |
ハンドルホルダーボルト(8mm) | 2.2kgf.m | 2.2kgf.m |
ステアリングダンパクランプボルト | 1.0kgf.m | 1.0kgf.m |
*上記規定トルクはドライでの値です。 ウエットでは締めないで下さい。
(ドライとはパーツクリーナー等で部品を脱脂した状態です。)
リヤアクスルシャフト取り付け取り外しについて
250クラスにおいてもリヤスイングアーム変更に伴い125クラス同様セルフロックナットを使用したリヤアクスルに変更されました。このセルフロックナットは締めつけトルクが高い為、ちょっとした不注意で舐めやすいので注意が必要です。ネジ部のごみ噛み、汚れなどをきれいにしてから締め付ける様にしてください。
(締め付けトルク、RS125R:7.0kgf・m / RS250R:8.2kgf・m)
各部カプラー清掃
特に年式の古いマシンに良くあるトラブルとして、電装カプラー内部の腐食・汚れによる通電不良があります。特に雨の後などに発生する原因不明の失火トラブルのよくあるパターンがこれです。カプラーを外し、エアーなどでカプラー内部を定期的(特に雨走行の後)に清掃する事でトラブルを未然に防ぐ事が出来ます。又、清掃後のカプラーの取り付けは「パチッ 」と音がするまで確実に取り付けて下さい。しっかり奥まで入っていないと走行中振動で抜けてくる事があります。
安全の為に
2001年から125・250共にキャリパーボルトにワイヤーロック用の穴が付きました。走行前には必ずワイヤーロックを行う様にして下さい。 ワイヤーロックには緩んできたボルトを止める効果はあまり期待できませんが、ワイヤーロックをする習慣をつける事で、締め忘れのボルトを走行する前に発見出来る可能性が大きく向上します。万一ブレーキキャリパーが落ちた時は重大な事故につながりますので2000年までのユーザーの方、交換して使用する事をお勧めします。
ワイヤーロック穴付きボルト(RS125R・RS250R共通)
品番 | 部品名 | 価格 |
90111-NX4-710 | ボルト、フランジ10×31 | ¥400 |
RS250Rの注意点
ポジション変更
2001年RS250Rはポジションが大きく変更になっています。特にタンクの全長が短くなり、ハンドルとシートの間隔が狭くなった為、どんな体格の人でもマシンを積極的にコントロールできる様になりました。但し体格の大きな人がそのまま乗ると、ブレーキング時に下半身ホールドが甘くなり、ハンドルに余計な力が入って、マシンの持つ旋回性を落とす事がありますので、タンクにパットなどを付けてブレーキング時に下半身でマシンをホールドできるような工夫をしてください。
車高
2001年モデルはエンジン位置が2000年に比べ約50mmほど高い位置に取り付けられている為、マシンの重心位置も40〜50mm高い設定になっています。車高のセッティングを行なって行く上で、前後の車高を下げて行くと2000年モデルの様な切り換えしの軽い、軽快なフィーリングが出ますが、2001年モデルの持つ旋回力を引き出す為には大幅な車高ダウンは行なわないで下さい。
2001年モデルでは車体の重心位置、ディメンション、車体剛性などトータルで旋回性能を引き出していますので大きな仕様変更には注意が必要です。