1月2日、アルゼンチンの美しい都市、ブエノスアイレスをスタートした第38回ダカールラリーは、現地時間1月16日にアルゼンチンの都市ロサリオでフィニッシュを迎えました。総走行距離9500kmの道のりに挑んだ136名のライダーのうち、84名が厳しいルートを乗り越えて完走。Team HRCのリッキー・ブラベック、パオロ・セッシ、Honda South America Rally Teamのケビン・ベナバイズ、アドリアン・メッジも2週間を戦い抜き、チームと共に完走を祝いました。
最終日、ビージャ・カルロス・パス〜ロサリオ間で行われたステージ13は、698kmを移動するものでした。そのうち、180kmのスペシャルステージ(競技区間)は、例年どおり下位からスタートするリバースグリッド方式となりました。ラリーを戦い抜いたビクトリーランという趣向でもあり、沿道のファンに挨拶をしながら走る参加者も多く、お祭りムードとなりました。
しかし、前日のステージ12の結果、総合4位のベナバイズは、総合5位のヤマハのエルダー・ロドリゲス(ポルトガル)とタイム差わずか1秒で最終日を迎えていました。
全84台がスタートをしたこのステージで、ロドリゲスが80番手、ベナバイズは81番手からスタート。この日、上位5名にはスタート間隔として3分間が与えられるものの、すでに80台の前走者がスタートした後の難しい状況の中、2人は見応えあるバトルを繰り広げました。
地元でも才能を高く評価されているダカールのフレッシュマン、ベナバイズと、ダカール経験豊富なロドリゲス。ステージの途中にあるウエイポイント1(※ルート上にある通過点。GPSで管理される)の段階で、ベナバイズが38分56秒、ロドリゲスが38分58秒と、2秒差でベナバイズが先行しました。続くウエイポイント2ではロドリゲスが1時間14分49秒に対しベナバイズは1時間14分52秒で、今度はロドリゲスが3秒のリードという一歩も譲らない激しい展開となりました。後半、ハイペースを維持し続けたベナバイズは、この180kmのステージでライバルに56秒の差を付け、総合4位を確定させたのです。
今大会には、Team HRC、Honda South America Rally Teamの2チームから9台のCRF450 RALLYがエントリーし、4台が完走を果たしました。そのうちセッシを除く3名はダカールラリーへの初挑戦であることなど、若手ライダーの活躍が目立つラリーでした。プライベート参加のHondaユーザー、マイケル・フェルカーデ(オランダ)は総合40位、ロブ・スミッツ(オランダ)が総合58位、ペドロ・ビアンキ・プラタ(ポルトガル)が69位でこの難しいラリーを完走しました。
ケビン・ベナバイズ (ステージ13 2位/総合4位)
「ダカールはとてもハードで難しいレースでした。しかし、このレースから、私は多くのことを学びました。とにかく私はロサリオに着きました。それは夢でした。ステージ優勝もできましたし、ダカールに出場したルーキーの中ではトップの成績です。いくつかのミスはしましたが、私は多くのことを学びました。そしてそれは、来年、もっとよくなるためのものだと信じています」
リッキー・ブラベック (ステージ13 8位/総合9位)
「初めてのダカールラリーを完走できて、とてもうれしいです。またここに帰ってきたいと思います。私は、このチームと一緒にいることができてうれしいです。これまで3回のラリーに出場しましたが、私にとって今回は大きな成果を得ました。初めてのダカールでトップ10に入ることができ、またチームのライダーの中でも唯一トップ10内でフィニッシュできました。来年もここに帰ってこられるなら、もっといい成績を狙いたいです。2015年6月、私は首を骨折し、6カ月間治療に専念しました。ドクターに言われました。『レースにカムバックしたいなら特別な食事をし、もっとカルシウムとビタミンを摂りなさい』と。世界最大のレースで目標を達成でき、入賞のメダルを獲得できて幸せです」
本田太一|プロジェクトリーダー
「2016年のダカールラリーが終わりました。勝利を目指してしっかりと準備を進めてきましたが、最終的にそれはかないませんでした。しかし、初参戦の若手ライダー、ケビン・ベナバイズ選手が4位、リッキー・ブラベック選手が8位、アドリアン・メッジ選手が11位で完走したことはよかったと思っています。マシントラブル等でホアン・バレダ選手、パウロ・ゴンサルヴェス選手を失い、また彼らが理想的な形でラリーができなかった点など、真摯に受け止めて、2017年でこのラリーに勝つための準備を進め、ここに戻ってきたいと考えています。今後とも応援をよろしくお願いします」
※レポート、コメントは暫定結果に基づくものです。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 | ペナルティー | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 4 | P.クインタニラ | ハスクバーナ | 01:51'27 | - | - | |
2 | 47 | ケビン・ベナバイズ | ![]() | 01:53'08 | 00:01'41 | - | |
3 | 7 | H.ロドリゲス | ヤマハ | 01:54'04 | 00:02'37 | - | |
4 | 3 | T.プライス | KTM | 01:55'49 | 00:04'22 | - | |
5 | 5 | S.ソヴィッツコ | KTM | 01:57'51 | 00:06'24 | - | |
6 | 23 | G.ファレス | KTM | 02:02'19 | 00:10'52 | - | |
8 | 48 | リッキー・ブラベック | ![]() | 02:04'10 | 00:12'43 | - | |
13 | 61 | アドリアン・メッジ | ![]() | 02:06'36 | 00:15'09 | - | |
42 | 123 | マイケル・フェルカーデ | ![]() | 02:20'56 | 00:29'29 | - | |
44 | 32 | パオロ・セッシ | ![]() | 02:21'24 | 00:29'57 | - | |
49 | 70 | ペドロ・ビアンキ・プラタ | ![]() | 02:25'16 | 00:33'49 | - | |
75 | 137 | ロブ・スミッツ | ![]() | 02:44'16 | 00:52'49 | - |
総合順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 | ペナルティー | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 3 | T.プライス | KTM | 48:09'15 | - | - |
- | 2 | 5 | S.ソヴィッツコ | KTM | 48:48'56 | 00:39'41 | 00:01'00 |
- | 3 | 4 | P.クインタニラ | ハスクバーナ | 48:58'03 | 00:48'48 | - |
- | 4 | 47 | ケビン・ベナバイズ | ![]() | 49:04'02 | 00:54'47 | - |
- | 5 | 7 | H.ロドリゲス | ヤマハ | 49:04'59 | 00:55'44 | 00:05'00 |
▲ | 6 | 42 | A.ファン・ベヴェレン | ヤマハ | 49:55'44 | 01:46'29 | - |
- | 9 | 48 | リッキー・ブラベック | ![]() | 50:20'42 | 02:11'27 | - |
- | 11 | 61 | アドリアン・メッジ | ![]() | 51:59'20 | 03:50'05 | - |
▲ | 32 | 32 | パオロ・セッシ | ![]() | 57:38'15 | 09:29'00 | 00:03'00 |
▲ | 40 | 123 | マイケル・フェルカーデ | ![]() | 60:20'19 | 12:11'04 | - |
- | 58 | 137 | ロブ・スミッツ | ![]() | 66:45'41 | 18:36'26 | 00:40'00 |
▲ | 69 | 70 | ペドロ・ビアンキ・プラタ | ![]() | 70:37'50 | 22:28'35 | 00:29'00 |
※ リザルトは暫定結果に基づくものです