雲に覆われた前半のステージとは打って変わり、夏らしい気温と晴天が広がったステージ12。スペシャルステージ(競技区間)のスタート地点までの長いリエゾンステージ(移動区間)へと、参加者たちは早朝にビバークを出発しました。午前9時20分から始まったステージ12の競技区間は481kmと長く、厳しい状況の路面が点在することから、後半戦最後の勝負どころに位置づけられていました。
ライダーたちはそれぞれの思惑と戦略により、見どころの多いレースを展開。その結果はダカールラリーらしく、明日のフィニッシュラインまで予測できない、目の離せない状況を作り出しました。
この日、Honda South America Rally Teamのケビン・ベナバイズは、6番手スタートと、タイムを縮めるには絶好のポジションからスタート。481kmのステージは、ガレ場(石が散乱するエリア)などが多く、ペースを上げれば、その分リスクも高まる気の抜けないものでした。
このステージにおいて、用意された11カ所のウエイポイント(GPSの通過点)の通過区間タイムを、ベナバイズは常に3番手以内とし、好ペースを保ちました。ステージ中盤にはさらにスパートをかけ、その後も乱れることなく、CRF450 RALLYをステージ3位に導きました。
総合順位でベナバイズのポジションを狙い、アタックをかけたのは総合6位のヤマハのエルダー・ロドリゲス(ポルトガル)でした。アフリカ時代のダカールからの経験を持つエキスパートは、勝負どころで最速タイムを叩き出し、ベナバイズとのギャップをわずか1秒まで短縮しました。
総合3位だったKTMのアントワン・メオ(フランス)が、ステージ終盤の転倒によるタイムロスで総合6位にダウンした結果、ベナバイズが総合4位、ロドリゲスが1秒差で5位へと、リーダーボードの順位を上げています。この僅差の勝負の行方は、最終のステージ13へと委ねられることになりました。
地元、アルゼンチンのライダーであるベナバイズは、ダカールラリー初参加ながら、落ち着いた走りで、現在Honda勢においてトップ。期待がかかります。
Team HRCのリッキー・ブラベックはステージ12を17位、総合では9位。パオロ・セッシはステージ16位、総合33位。Honda Brasilのアドリアン・メッジはステージ15位、総合11位。それぞれ明日、ロサリオのゴールに向けて準備を進めています。
リッキー・ブラベック(ステージ12 17位/総合 9位)
「本当に長い一日でした。起床が早くてあまり眠れず、身体的にハードでした。しかし、それ以外はよかったです。山の頂上付近は雨が降っていてとても寒く、滑りやすい路面でした。マシンにとってはかなり危険で怖かったです。フィニッシュでき、ファイナルステージを迎えられたので、今日はハッピーです」
ケビン・ベナバイズ(ステージ11 3位/総合 4位)
「今日のステージはとても長かったですね。今回のラリーの最長でした。岩が多い山間部のステージは危険でした。いくつかの障害をクリアして、いいペースを維持できてよかったです。明日のゴールに向けて走れることに満足しています。ですが、簡単でないことが分かっているので、注意しなければなりません」
ウルフギャング・フィッシャー | Team HRC マネージャー
「この2日間は、Team HRCにとって本当に不運でした。マイケル・メッジ選手がマラソンステージで脱落し、トップ争いをしていたパウロ・ゴンサルヴェス選手も、クラッシュによりリタイアしました。ゴンサルヴェス選手が軽傷で済んだのは幸いです。とても長い今日のステージで、セッシ選手とブラベック選手がいい走りをしてフィニッシュできたのは、我々にとってうれしいことです。難しい路面状況のトリッキーなステージでした。気持ちを奮い立たせ、明日のゴールに向かいます」
本田太一 | プロジェクトリーダー
「サン・フアンからビージャ・カルロス・パスの間で、900kmを超えるステージ12が行われました。Honda勢では、Honda South America Rally Teamのベナバイズ選手が総合4位と上位に位置し、Team HRCのブラベック選手が9位、セッシ選手が33位、Honda Brasilのメッジ選手が11位となっています。明日のスペシャルステージは180kmと短いものですが、ラリーのフィニッシュに向けて最善を尽くすべく、ビバークでマシンの準備を進めています。あと一日です。応援をよろしくお願いいたします」
※レポート、コメントは暫定結果に基づくものです。
TOMORROW'S STAGE
STAGE 13
ビージャ・カルロス・パス 〜ロサリオ
リエゾン(移動区間):518km スペシャルステージ(競技区間):180km 総移動距離:698km
ライダーたちはビバークから南に進路をとり、今大会最後のスペシャルステージに向かう。今までの距離を思えば180kmのステージは短い。しかし、冒険を知り尽くした参加者であれば、このステージがいかに大切かを理解しているはずだ。カーブが多く、砂と岩、そして起伏のある路面は集中力を要する。ゴールであるロサリオのポディウムの歓喜まで、あと700km足らずとなった。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 | ペナルティー | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 7 | H.ロドリゲス | ヤマハ | 06:00'24 | - | 00:03'00 | |
2 | 3 | T.プライス | KTM | 06:04'56 | 00:04'32 | - | |
3 | 47 | ケビン・ベナバイズ | ![]() | 06:05'19 | 00:04'55 | - | |
4 | 5 | S.ソヴィッツコ | KTM | 06:07'12 | 00:06'48 | - | |
5 | 42 | A.ファン・ベヴェレン | ヤマハ | 06:07'52 | 00:07'28 | - | |
6 | 4 | P.クインタニラ | ハスクバーナ | 06:12'47 | 00:12'23 | - | |
15 | 61 | アドリアン・メッジ | ![]() | 06:24'33 | 00:24'09 | - | |
16 | 32 | パオロ・セッシ | ![]() | 06:25'28 | 00:25'04 | - | |
17 | 48 | リッキー・ブラベック | ![]() | 06:28'07 | 00:27'43 | - | |
42 | 70 | ペドロ・ビアンキ・プラタ | ![]() | 06:58'23 | 00:57'59 | - | |
52 | 123 | マイケル・フェルカーデ | ![]() | 07:17'52 | 01:17'28 | - | |
66 | 137 | ロブ・スミッツ | ![]() | 07:46'57 | 01:46'33 | - |
総合順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 | ペナルティー | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 3 | T.プライス | KTM | 46:13'26 | - | - |
- | 2 | 5 | S.ソヴィッツコ | KTM | 46:51'05 | 00:37'39 | 00:01'00 |
- | 3 | 4 | P.クインタニラ | ハスクバーナ | 47:06'36 | 00:53'10 | - |
▲ | 4 | 47 | ケビン・ベナバイズ | ![]() | 47:10'54 | 00:57'28 | - |
▲ | 5 | 7 | H.ロドリゲス | ヤマハ | 47:10'55 | 00:57'29 | 00:05'00 |
▼ | 6 | 49 | A.メオ | KTM | 47:28'16 | 01:14'50 | - |
▼ | 9 | 48 | リッキー・ブラベック | ![]() | 48:16'32 | 02:03'06 | - |
▲ | 11 | 61 | アドリアン・メッジ | ![]() | 49:52'44 | 03:39'18 | - |
▲ | 33 | 32 | パオロ・セッシ | ![]() | 55:18'51 | 09:05'25 | 00:05'00 |
▼ | 41 | 123 | マイケル・フェルカーデ | ![]() | 57:59'23 | 11:45'57 | - |
▼ | 58 | 137 | ロブ・スミッツ | ![]() | 64:01'25 | 17:47'59 | 00:40'00 |
▼ | 75 | 70 | ペドロ・ビアンキ・プラタ | ![]() | 77:04'18 | 30:50'52 | 03:29'00 |
※ リザルトは暫定結果に基づくものです