1月12日(火)に行われたダカールラリー10日目、ステージ9は「ラリーの流れが変わるステージ」と主催者が位置づける砂丘群の中を行くルート。しかも、13日(水)のビバーク地に到着するまでの2ステージを、チームからのサポートを受けずに走るマラソンステージです。
フィアンバラ周辺の砂丘ステージは、南米ダカールの難所の一つ。細かい砂、点在する植物がルート選択を難しくし、時に50℃近くまで達する気温も参加者に襲いかかります。
この日、Team HRCのパウロ・ゴンサルヴェスは、総合2位のポジションから首位奪還を狙いました。総合トップの座にいるKTMファクトリーチームのトビー・プライス(オーストラリア)とのタイム差は2分5秒。これを逆転すべく、2日間のマラソンステージに出発したのです。
マラソンステージということを十分に考慮し、ペースをマネージしながら走るゴンサルヴェス。さらにタイム差を広げるべく、ハイペースを保つプライス。序盤から両者の思惑がぶつかり合う展開が続くと思われました。しかし、勝負の行方は意外な形で終焉を迎えました。
スタートから2時間近くが経過し、チェックポイント2へと到着する直前のことでした。ゴンサルヴェスのCRF450 RALLYが砂漠を走行中、植物に直撃。ラジエターに大きなダメージを受けてしまいました。冷却水が漏れ出し、結果的にエンジンに深刻なトラブルを抱えることになりました。
主催者は、この過酷なステージで多くの参加者が困難な状況にあり、高温下でのレース継続は危険と判断。中間地点付近のCP2以降のレースをキャンセルする決定を下しました。これにより、ゴンサルヴェスは、チームメートであるマイケル・メッジとパオロ・セッシのサポートを受けながら、マラソンデイ専用のビバークへと牽引されました。サポートを受けられない限られた状況の中、マシンの修復を試み、ラリー続行への可能性を模索しています。
スペシャルステージの短縮により、CP2までのタイムがリザルトに反映されることになり、Team HRCのライダーは、リッキー・ブラベックが5位、前日の電気系トラブルで、ビバークに深夜を過ぎてから戻ったマイケル・メッジが17位となっています。また、Honda South America Rally Teamのケビン・ベナバイズは、この日もCRF450 RALYを好調に走らせて2位。チームメートのアドリアン・メッジは19位で、それぞれこのステージを終えています。ダカールラリーの後半戦は、明日に予定されている2日目のマラソンステージを挟み、まだ続きます。
最新情報
ステージ9は途中でキャンセルされたことにより、リザルトが更新されました。その結果、Team HRCのパウロ・ゴンサルヴェスは、ステージ9は13位(総合3位)、ケビン・ベナバイズはステージ10位(総合6位)。そして、リッキー・ブラベックはステージ2位(総合9位)へと、それぞれ変更されています。
ウルフギャング・フィッシャー | Team HRC マネージャー
「私たちは今日、今回のラリーで最もハードな一日を体験しました。おそらく、走るにはあまりにも高かった気温の点で、ダカール史上最高に厳しかった、と言ってもいいでしょう。トップ争いをしているパウロ・ゴンサルヴェス選手が乗るマシンに起きたトラブルは、ラジエターに太い枝が刺さったことで冷却水が漏れ、給油ポイントに到着した時点で、エンジンはひどいオーバーヒート状態でした。もし、主催者がCP2でステージ9の中止を決定していなければ、ラリーを継続できる可能性はなかったでしょう。ゴンサルヴェス選手はパオロ・セッシ選手のサポートを受け、ビバークへと戻りました。現在チームメートとともに、ダカールラリーを続けられるよう修理を試みています。主催者は明日、新たなスタート方式を試みようとしています。2輪、4輪、トラックの各クラスの上位車両による一斉スタートをすると、アナウンスされていました。そのスタート順に関してはまだ発表されていません。2輪クラスの前に4輪、トラックが走行したワダチをたどることは、後続を走る予定のバイクにとって、とても苦労することになるでしょう」
※レポート、コメントは暫定結果に基づくものです。
TOMORROW'S STAGE
STAGE 10
ベレン 〜 ラ・リオハ
リエゾン(移動区間):283km スペシャルステージ(競技区間):278km 総移動距離:561km
ラリーは南下を続けてラ・リオハへ。フィアンバラに広がる砂丘群に設定されたルートは、道でなく自然の中の荒れ地を行く。砂漠を走る"ダカールらしい"ルートにおいて、マシンも人もタフさを試される。その意味で、今大会最も重要なステージとなる。なにより、過去にフィアンバラで行われたどのルートよりも、砂丘セクションが長い。そんなステージが、デザートスペシャリストたちを歓迎する。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 | ペナルティー | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 3 | T.プライス | KTM | 03:26'58 | - | - | |
2 | 48 | リッキー・ブラベック | ![]() | 03:39'27 | 00:12'29 | - | |
3 | 49 | A.メオ | KTM | 03:40'22 | 00:13'24 | - | |
4 | 5 | S.ソヴィッツコ | KTM | 03:41'43 | 00:14'45 | - | |
5 | 42 | A.ファン・ベヴェレン | ヤマハ | 03:42'52 | 00:15'54 | - | |
6 | 23 | G.ファレス | KTM | 03:43'36 | 00:16'38 | - | |
10 | 47 | ケビン・ベナバイズ | ![]() | 03:49'06 | 00:22'08 | - | |
13 | 2 | パウロ・ゴンサルヴェス | ![]() | 03:58'54 | 00:31'56 | - | |
18 | 19 | マイケル・メッジ | ![]() | 04:32'09 | 01:05'11 | - | |
20 | 61 | アドリアン・メッジ | ![]() | 04:37'56 | 01:10'58 | - | |
27 | 32 | パオロ・セッシ | ![]() | 04:51'47 | 01:24'49 | - | |
40 | 70 | ペドロ・ビアンキ・プラタ | ![]() | 05:24'17 | 01:57'19 | 00:15'00 | |
45 | 123 | マイケル・フェルカーデ | ![]() | 05:42'49 | 02:15'51 | - | |
68 | 137 | ロブ・スミッツ | ![]() | 06:43'40 | 03:16'42 | 00:15'00 | |
72 | 109 | フェデリコ・エドゥアルド・コーラ | ![]() | 07:11'04 | 03:44'06 | - |
総合順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 | ペナルティー | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 3 | T.プライス | KTM | 30:55'54 | - | - |
▲ | 2 | 5 | S.ソヴィッツコ | KTM | 31:24'53 | 00:28'59 | 00:01'00 |
▼ | 3 | 2 | パウロ・ゴンサルヴェス | ![]() | 31:29'55 | 00:34'01 | - |
- | 4 | 4 | P.クインタニラ | ハスクバーナ | 31:34'35 | 00:38'41 | - |
▲ | 5 | 49 | A.メオ | KTM | 31:38'02 | 00:42'08 | - |
▼ | 6 | 47 | ケビン・ベナバイズ | ![]() | 31:43'57 | 00:48'03 | - |
▲ | 9 | 48 | リッキー・ブラベック | ![]() | 32:00'02 | 01:04'08 | - |
- | 17 | 61 | アドリアン・メッジ | ![]() | 33:29'43 | 02:33'49 | - |
▲ | 42 | 32 | パオロ・セッシ | ![]() | 37:55'29 | 06:59'35 | 00:05'00 |
▲ | 48 | 123 | マイケル・フェルカーデ | ![]() | 38:49'54 | 07:54'00 | - |
▼ | 53 | 137 | ロブ・スミッツ | ![]() | 39:37'50 | 08:41'56 | - |
▲ | 58 | 70 | ペドロ・ビアンキ・プラタ | ![]() | 40:10'17 | 09:14'23 | 00:29'00 |
▲ | 73 | 19 | マイケル・メッジ | ![]() | 44:04'49 | 13:08'55 | 03:17'00 |
▲ | 94 | 109 | フェデリコ・エドゥアルド・コーラ | ![]() | 51:18'37 | 20:22'43 | 02:27'00 |
※ リザルトは暫定結果に基づくものです