1月11日(月)、サルタでのレストデイを終えたダカールラリーは後半戦に突入し、選手たちはサルタからベルンへの767kmを移動しました。この日、394kmのスペシャルステージ(競技区間)が行われました。ステージ8の特徴は、途中にリンクセクション(タイム計測をしない区間)が設けられた2部構成で、前半はダートロード、そして後半では気温が高く、砂の細かい砂丘群が選手たちを待ち受けていました。
ダカールラリー2016は後半戦から本格化する、という主催者の言葉通り、レストデイ明けのステージ8では、スリリングなタイムバトルが展開しました。総合トップで前半戦を終えたTeam HRCのパウロ・ゴンサルヴェスは、ステージ8を3番手でスタート。序盤はルート上のウエイポイント(GPSで管理されるルート上の通過点)を、快調なペースで走り、リードを広げました。総合トップの座を争うKTMファクトリーチームのトビー・プライス(オーストラリア)に対して、30秒から1分の差を保ちながら進み、ステージ前半の終了時点でリードを55秒に広げる形になりました。
しかし、後半パートのステージが始まって間もなく、ゴンサルヴェスは砂から岩が顔を出す悪路で転倒を喫し、CRF450 RALLYのナビゲーションパネルにダメージを負ってしまいました。本人がケガをしなかったのが本当に幸運だったほどのクラッシュでしたが、傷んだナビゲーションパネルをいたわりながら、最善のペースでこのステージをリカバリーし、2位のタイムでステージを終えました。しかし、ペースを落として走行した結果、ステージ8でトップのプライスに5分17秒差をつけられ、総合タイムで3分12秒あった差が逆転。トップの座を明け渡すことになりました。
総合タイムで2分5秒差の2位となったものの、明日から始まる今大会2度目のマラソンステージ(ビバークでチームからのサポートを受けずに2日間を走るステージ)に挑みます。
ほかのTeam HRCライダーは、総合11位にリッキー・ブラベック、総合50位にパオロ・セッシとなりました。このステージ序盤、電気系トラブルで修復を余儀なくされたマイケル・メッジは、現在ビバークに向けての移動を続けています。また、Honda South America Rally Teamのケビン・ベナバイズが総合5位、アドリアン・メッジが総合17位と、CRF450 RALLYの実力を見せるべく健闘しています。
パウロ・ゴンサルヴェス(ステージ8 2位/総合 2位)
「ステージ半ばのコブがたくさんある悪路でクラッシュしました。ケガをしなかったのはラッキーでした。マシンのダメージも少なかったです。ただ転倒によって、計器板を支えるフレーム部が折れてブラブラになっている状態で、それを片手で支えながら走りました。それと、電気系のワイヤーを切らないように注意しながらゴールを目指しました。最終的には、スタート地点で私よりも前にいたライダーに先んじてゴールできたことがうれしいですね。今日の結果には満足しています。そして、明日はもっといい日にしたいです。明日のマラソンステージで、トップに返り咲けるよう努力します」
ケビン・ベナバイズ(ステージ8 5位/総合 5位)
「今日のステージは2つのパートに分かれていました。サルタと、後半のベレン地域です。最初のパートは細い道と土のトラックでした。後半は、ナビゲーションが非常に難しい、砂と岩のステージでした。アントワン・メオ選手(KTM)と一緒に走っていて、私たちは正しいルートを見つけることができました。最も過酷だったのは、暑さと柔らかい砂でした。レストデイは終わりました。この辺りは私の地元で、家族や知り合いが近くにいます。私は、自宅に戻って寝ることができました。ラリー後半のために体力を回復できました。私は毎日攻め続けます。それが、さらにいい結果につながります」
本田太一 | プロジェクトリーダー
「今日から後半戦です。その滑り出しを決めるこのステージで、総合トップの座を確かなものとし、さらにタイム差を広げるため、ゴンサルヴェス選手はスパートをかけました。終盤まで、トップタイムをマークしながら順調な走行を続けていましたが、最後のチェックポイント付近で転倒。ライダーにケガはなかったものの、マシンにダメージを負い、ペースダウンを余儀なくされました。逆転され、総合2位となりました。また、マイケル・メッジ選手もステージ序盤に発生したトラブルの修復に時間を要し、遅れてしまいました。今日の結果は残念ですが、明日からはマラソンステージ。しっかりとマシンをメンテナンスし、ライダーたちとともに、総合トップの奪還を目指します」
※レポート、コメントは暫定結果に基づくものです。
TOMORROW'S STAGE
STAGE 9
ベレン 〜 ベレン
リエゾン(移動区間):151km スペシャルステージ(競技区間):285km 総移動距離:436km
今大会2度目のマラソンステージが始まる。ベルンを起点にループ状に作られたこのコースがその1日目だ。ルートのほとんどが道なき道の連続。植物が多い砂丘やワジ(枯れ川)も含まれる。このステージはルートが分かりづらく、明快なナビゲーションこそが最大のテーマだ。参加者たちはチームとは隔離されたビバークで一夜を過ごす。頼れるのは自身の実力。ダカールラリーという冒険は続く。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 | ペナルティー | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 3 | T.プライス | KTM | 04:33'14 | - | - | |
2 | 2 | パウロ・ゴンサルヴェス | ![]() | 04:38'31 | 00:05'17 | - | |
3 | 4 | P.クインタニラ | ハスクバーナ | 04:39'46 | 00:06'32 | - | |
4 | 5 | S.ソヴィッツコ | KTM | 04:41'16 | 00:08'02 | - | |
5 | 47 | ケビン・ベナバイズ | ![]() | 04:41'20 | 00:08'06 | - | |
6 | 7 | H.ロドリゲス | ヤマハ | 04:42'33 | 00:09'19 | - | |
11 | 48 | リッキー・ブラベック | ![]() | 04:49'58 | 00:16'44 | - | |
16 | 61 | アドリアン・メッジ | ![]() | 04:55'51 | 00:22'37 | - | |
27 | 32 | パオロ・セッシ | ![]() | 05:12'08 | 00:38'54 | 00:01'00 | |
47 | 137 | ロブ・スミッツ | ![]() | 05:48'20 | 01:15'06 | - | |
49 | 123 | マイケル・フェルカーデ | ![]() | 05:50'02 | 01:16'48 | - | |
70 | 109 | フェデリコ・エドゥアルド・コーラ | ![]() | 06:31'22 | 01:58'08 | - | |
92 | 70 | ペドロ・ビアンキ・プラタ | ![]() | 08:15'33 | 03:42'19 | - |
総合順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 | ペナルティー | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
▲ | 1 | 3 | T.プライス | KTM | 27:28'56 | - | - |
▼ | 2 | 2 | パウロ・ゴンサルヴェス | ![]() | 27:31'01 | 00:02'05 | - |
- | 3 | 5 | S.ソヴィッツコ | KTM | 27:43'10 | 00:14'14 | 00:01'00 |
- | 4 | 4 | P.クインタニラ | ハスクバーナ | 27:50'22 | 00:21'26 | - |
- | 5 | 47 | ケビン・ベナバイズ | ![]() | 27:54'51 | 00:25'55 | - |
- | 6 | 49 | A.メオ | KTM | 27:57'40 | 00:28'44 | - |
▲ | 11 | 48 | リッキー・ブラベック | ![]() | 28:20'35 | 00:51'39 | - |
▲ | 17 | 61 | アドリアン・メッジ | ![]() | 28:51'47 | 01:22'51 | - |
▲ | 49 | 137 | ロブ・スミッツ | ![]() | 32:54'10 | 05:25'14 | - |
▲ | 50 | 32 | パオロ・セッシ | ![]() | 33:03'42 | 05:34'46 | 00:05'00 |
▲ | 51 | 123 | マイケル・フェルカーデ | ![]() | 33:07'05 | 05:38'09 | - |
▼ | 65 | 70 | ペドロ・ビアンキ・プラタ | ![]() | 34:46'00 | 07:17'04 | 00:14'00 |
▲ | 98 | 109 | フェデリコ・エドゥアルド・コーラ | ![]() | 44:07'33 | 16:38'37 | 02:27'00 |
※ リザルトは暫定結果に基づくものです